今年10月、インドネシアに高速鉄道を輸出する50億ドルの商談で日本が中国に敗れたとき、日本の技術力の偉大なる象徴であり、国民に愛される「新幹線」が却下されたことを国中が嘆いた。 しかし、今月は日中の立場が逆転し、インドのムンバイとアーメダバードを結ぶ総額150億ドルの高速鉄道建設プロジェクトを日本が獲得。中国の当局者は、これは一般競争入札ではなかったから敗れたわけではないと言い張った。 日本と中国はアジアにおける産業面の覇権と政治的影響力を巡って競い合っており、高速鉄道の売り込み合戦はその代理指標と化した。だが、当局者に言わせれば、この状況は一般の認識とは異なる現実を反映している。高速鉄道を本当に欲しがっている国はほとんどない、という事実だ。 「新幹線は日本のアイデンティティーの一部だ。売り込めるようがんばらねばならない」。実に気前の良い資金援助パッケージを日中両国が提示していることについ