行動経済学に関する啓蒙的読み物の傑作が翻訳された。著者のダン・アリエリー教授は、2008年のイグノーベル賞の受賞者だ。高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効力が高いことを示したことに対して医学賞を受賞している。『予想どおりに不合理』は、彼が行った行動経済学に関する様々な興味深い実験結果を、わかりやすく紹介している。どの実験も、驚くほど自由な発想で考えられていることに感心する。それと同時に、人間の行動がいかに予測可能な非合理性をもっているのかを、実験結果から私たちは思い知らされる。 冷静な時とそうでない時に、人間の判断が違ってくることはよくあることだ。でも、冷静な時に、冷静でないときに自分がどんな判断を下すかを、きちんと予想できるだろうか。アリエリー教授は、このことをとんでもない方法で実験している。そういう実験を考え出す研究者も驚きだが、それに協力する被験者がたくさんいるというのも、私に