アレクセイ(田中幸一) ドキュメンタリー映画 『日本鬼子 リーベンクイズ』の共同制作者で撮影も担当した小栗謙一が、「プロデューサーの言葉」として、次のように書いている。(※ 引用者註・以下、特に断わりのない引用は、すべて同映画のパンフレットによる) 【制作にあたって】 この映画の制作 意図は、戦争犯罪人を糾弾するものでも、また間違って証言者の勇気を讃えるものでもありません。あくまでも、日中十五年戦争の中でおきた事実の記録です。 終戦から五六年が経った今、その体験すら語れる人がいなくなりつつあります。不幸にして私たちは加害者の側の国民として生きているのですが、だからといって、この事実を見過ごすことはできません。加害、被害の立場を越えて、戦争が人間に及ぼす悪魔性を知ることに、この映画の重要性はあります。生命体である人間の記憶は、時に待ってはくれません。しかし、フィルムとして記録されたものは