『蓮と刀』は今こそ読まれるべき「 “おじさん”社会に敢然と立ち向い、開かれたコミュニケーションをめざした痛烈評論!」。 こんなふうに紹介される文庫本を、今回は紹介したい。 本連載に登場するということはつまり、絶版本なわけだけれども。上に挙げた紹介文、なんとも、今っぽくないだろうか? まず「“おじさん”社会」という言葉。最近よく聞く「ホモソーシャル」を指す言葉っぽい。ざっくり説明すると、女性を排除して男性たちだけで社会を構築し、男たちの群れのなかでの付き合いによって権力を得る構造、という意味だ。そして、開かれたコミュニケーションを目指すぞと言っている。分断を避け、できるだけコミュニケーションを開いてゆく……これはまさに今のところ令和のテーマではないか。ほら、今っぽくないですか。 しかし本書の初版が発売されたのは1982年。今から40年前、もうすこしで半世紀も前のことである。 絶版になるには仕