今回のコラムは、少し根源的な問題意識を提起してみようと思う。 我が国では、デマンドレスポンスの議論が官学民で盛んに行われているが、そのニーズの主たる理由として系統周波数維持のために必要であるという議論がある。テスラの交流による給電が世の中の主流となるに従い、100年以上の間、周波数の維持・安定化は、発電機の物理的な慣性に依存してきた。 電力需要が増え、発電機に懸かる負荷が増えると発電機の回転は遅くなり、遅くならないように発電機に新たな回転エネルギーを外から注入しなければならなくなる。逆に負荷が減ると、発電機は空回りするように回転数が上がるので、回転数維持のためにはエネルギーの注入を減らさなければならない。これは単純な物理法則である。巨大な電力用の発電機は何トンもの重量があり、その慣性モーメントは巨大で、少しくらいの負荷変動では回転周波数は直ぐには変わらないところに着目して長い間周波数の安定