刑事裁判の判決後、担当裁判官が被害者の損害賠償請求についても審理する「損害賠償命令制度」を利用し、被害者が賠償請求した事件の初公判が9日、東京地裁であった。 昨年12月から始まった同制度を利用した裁判が、同地裁で明らかになるのは初めて。被害者の女性は刑事裁判への被害者参加制度も利用しており、全国で初めて被害者側に国選の弁護士が付いた。 この事件では、住所不定、無職渡部栄治被告(43)が昨年11月、東京・世田谷区の駅前で占いをしていた30歳代の女性を殴ってけがをさせたとして、傷害罪に問われている。証人尋問に立った女性が、有料で占いをしていたことを証言すると、突然、渡部被告が「無償でやりなさい」と声を荒らげ、その後も「またやって(殴って)やる」などと叫んだため、裁判長から退廷させられた。女性は両手で耳をふさいで涙を流し、約10分間休廷した。 女性は、殴られて1週間のけがを負ったとして約58万円