荻上:論壇や文壇の世界における「経済学者」の看板イメージは、「現在主流となっているアカデミックな経済学を担っている人」とは随分ちがった相貌になっていますね。アカデミックな場所で信頼できる論者の人が、必ずしもメディアで評価を受けるわけではないし、メディアで評価されている人も、ただ人気があるというだけで、政治決定の場面でまったく影響力を発揮していなかったり……といった具合に。 メディアでも活躍できて、政治的影響力もあり、学術的にも正しい発言をする人。こうした存在というのは、とても難しい。もしいれば、それに越したことはありませんが、それぞれ、別の力学で動いているシステムですから、一筋縄ではいかない。 それでも最近、飯田さんを代表として、「経済学者」としてメディアで発言する人たちの基盤も徐々にではありますが、変化しているように思えます。「メディアでプレゼンする能力」というプラグマティックな技法が問