6月から裁判で言い渡される刑に新たな選択肢が加わった。言い渡された刑のうち、その一部について執行を猶予する「刑の一部執行猶予」制度だ。 6月2日には、覚せい剤取締法違反(使用・所持)の罪に問われた30代の女性に対して、千葉地裁が懲役2年、そのうち6か月を2年間の保護観察付きの執行猶予(求刑懲役3年)とする判決を言い渡されたことを皮切りに、各地で判決が相次いでいる。 刑の一部執行猶予はどんな制度なのか、何が期待されているのか。刑事手続に詳しい小笠原基也弁護士に聞いた。 ●目的は「再犯の防止」 「一部執行猶予制度とは、『犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるとき』に、実刑の中の一定期間について、執行猶予を付けるという制度です」 小笠原弁護士はこのように述べる。具体的には、どんな制度なのか。 「簡単に言えば、実刑のバ