text by 蓮見令麻 Rema Hasumi 主役のいない、主役ばかりの演劇 2月の極寒の夜。閑散としたミッド・タウン。一見何の変哲もないオフィスビルの並びに、ジャズギャラリーの小さな看板はフッと現れる。エレベーターをあがって部屋に一歩足を踏み入れると、そこかしこでミュージシャン達が輪になり談笑していた。ファースト・セットが終わったばかりだったらしく、熱気がまだ漂っている。 私はひと通り挨拶を済ませて、友人と共にワインをとって後ろの方の席についた。 そうこうしているうちに、総勢16人のメンバーはステージに上がり、演奏の準備を始めた。 ダン・ワイスという人は、ここ十数年程の間、いわゆるブルックリン・シーンを引っ張ってきたドラマーだ。そして特筆すべきは、彼がタブラという楽器を通してインドの古典音楽を研究し、その複雑なリズムを時にドラムでの演奏に取り入れて彼独自のビートを作り出してきたという
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