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ブックマーク / honz.jp (44)

  • 2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ

    2011年7月15日にオープンしたノンフィクション書評サイトHONZ。日2024年7月15日をもちまして13年間のサイト運営に終止符を打つこととなりました。 2011年の東日大震災から、記憶に新しいコロナ禍まで。はたまたFacebookの時代からChatGPTの到来まで。その間に紹介してきた記事の総数は6105。 発売3ヶ月以内の新刊ノンフィクションという条件のもと、数々のおすすめを紹介する中で、様々な出会いに恵まれました。信じられないような登場人物たち、それを軽やかなエンターテイメントのように伝える著者の方たち、その裏側で悪戦苦闘を繰り広げていたであろう版元や翻訳者の皆さま。さらに読者へ届ける取次会社や書店員の皆さま、そしてHONZを愛してくださったすべての皆さま、当にありがとうございました。 サイトを閉じることになった理由に、明快なものは特にありません。こんなサイトがあったら

    2011-2024 この13年間における最高の一冊 - HONZ
    AKIYOSHI
    AKIYOSHI 2024/07/15
    いくつもの本と書評との出会いがありました。ありがとうございました。
  • 『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 - HONZ

    『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 一見、ライトノベルを思わせるタイトルだが、書は紛れもない実話である。ただし著者の半生は、まるでラノベの主人公のようにユニークだ。 著者は1992年千葉県生まれ。昔からどこまでも内向的で、考えすぎる人間だったという。そんな性格もあってか、大学受験や恋愛、就活の失敗などで心を壊し、大学を卒業した2015年からは、千葉の実家で引きこもり生活に突入。週一でバイトは続けていたが、それもコロナでなくなってしまい、さらに追い討ちをかけるように2021年からはクローン病という自己免疫系疾患の難病も患う。 驚くのはここからである。著者は引きこもりのかたわら、ルーマニア語を身につけ、2019年から小説や詩を書き始めた。その作品は現地の文芸誌に掲載されただけでなく、《Istoria literaturi

    『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 - HONZ
  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
  • 海外ノンフィクション全集を作ろう!@本の雑誌2021・9月号 - HONZ

    屋大賞ノンフィクション賞はじめ、ここ数年ノンフィクションを読む人が増えてきた。でもよくわからないのが海外ノンフィクション。いったいどんな作品があって、どんな風に面白いの?というわけでの雑誌のノンフィクション好き代表の杉江由次が、HONZの東えりかと誌でノンフィクション新刊レビュー担当の冬木糸一に声をかけた。無謀にもジャンル別50冊を語りつくすという。はてさてどんなラインナップになったやら…。 杉江 二十一世紀版海外ノンフィクション全集を編もうという座談会なんですけど、とりあえずジャンル別であげていきましょう。いちおう〈自然科学〉〈事件〉〈文化人類学〉〈冒険〉〈その他〉の5ジャンルを設定しましたが、もっといい分類があれば変えてもらってかまいません。 冬木 自然科学なら、サイモン・シンは一冊は入れておきたい。やっぱり『フェルマーの最終定理』ですね。                    

    海外ノンフィクション全集を作ろう!@本の雑誌2021・9月号 - HONZ
  • 『一度きりの大泉の話』初めて明かすあの日の出来事 - HONZ

    まるで神様が血を流しながら苦しんでいるのを目の当たりにしているようだった。その傷跡からは、半世紀近くたった今も鮮血が滴り続けている……。 1960年代の終わりから70年代にかけて、少女漫画という新しいジャンルが誕生した。女性の漫画家が一斉に登場して、自分たちの読みたい物語を描き始めたのだ。彼女たちの漫画は、それまで男の漫画家が描いていた女の子が主人公の物語とはまったく異質のものだった。 この新興ジャンルにとってきわめて幸運だったのは、歴史のはじまりにひとりの天才が居合わせたことだ。その人物の名は萩尾望都。彼女が生み出す作品は信じがたいことにすべてが傑作だった。優れた小説映画ですら萩尾作品の前では物足りなく思えるほどだった。天賦の才能を持ったひとりの人物によって、少女漫画はその誕生の時点からいきなり高みへと引き上げられ、サブカルチャーの最前線に躍り出た。萩尾作品に深い影響を受けた者にとって

    『一度きりの大泉の話』初めて明かすあの日の出来事 - HONZ
  • 『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ

    あんり氏は神学者で、その研究内容は必ずしも一般向けとは言えない。著作で扱っているのも、キリスト教の教義論争がメインコンテンツだ。なのに、その内容は、いつも同時代の問題意識にぴったりとシンクロしている。『反知性主義』しかり、『異端の時代』しかり。 今回の『不寛容論』も、まさにそういうだ。 日人はなんとなく、「キリスト教もイスラム教も、一神教で凝り固まっている連中って独善的だよね。それに比べて、多神教の日人はずっと寛容じゃん!」と思っている。実際、和辻哲郎、梅原猛、山折哲雄といった哲学系の日研究者でそう主張している人も少なくない。しかし、森氏は「それは違う」とはっきり述べている。 2018年に刊行された『現代日の宗教事情』というに紹介されている「世界価値観調査」によると、日は、調査対象となった6カ国(アメリカ中国、インド、ブラジル、パキスタン、日)の中で、「他宗教の人を

    『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ
  • 『アメリカン・プリズン──潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』「更生より収益性」の原理が支配する民営刑務所の実態 - HONZ

    カリフォルニア州矯正局は先日、8月末までに約8,000人の服役囚を釈放すると発表した。理由は言うまでもない。世界の囚人数のうち約4分の1を収容するアメリカでは、刑務所内での感染拡大が深刻な問題になっている。考えてみれば「密」を避けるうえでこれほどハードルが高い場所もないかもしれない。同州では2月以降すでに約10,000人が解放されている。 いくら手に負えないとはいえ、そこまでするのかと思った人もいるだろう。だが書を読んだ身からすると、起こるべくして起こった事態との印象が強い。新型コロナをきっかけに、もともとのいびつな構造が可視化されたという見方もできる。まして書のテーマである民営刑務所ともなれば、まだ明るみになっていないことも多いのではと想像してしまう。 州や連邦の手による公営とは異なり、民間企業が運営する「刑務所ビジネス」は、1970年代から加速した囚人数の増加を受けて急拡大してきた

    『アメリカン・プリズン──潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』「更生より収益性」の原理が支配する民営刑務所の実態 - HONZ
  • 『コーネル・ウェストが語るブラック・アメリカ 現代を照らし出す6つの魂』 - HONZ

    書は Cornel West, Black Prophetic Fire: In Dialogue with and Edited by Christa Buschendorf, Beacon Press, 2014 の全訳である。 著者コーネル・ウェストは、肩書きや職業だけではとてもとらえきれない人物である。強烈なひとつの魂、ひとつのパワーがとりあえず哲学者の姿をとっているとでもいおうか。実際のウェストはどんな日も黒のスリーピーススーツに黒のネクタイ、白のシャツにゴールドのカフリンクスという印象に残る装いである。書に、マーティン・キングが自分は毎朝、墓場に行く服を身に着けるのだと話していた、つまり常に死ぬ覚悟をして戦っていた、というくだりがある。実は、ウェストが着けているのも気で戦いに臨む装備なのだ。「死んだらこのまま棺桶に入れられるから」と人は言う。「あとはアフロだけきれいに整

    『コーネル・ウェストが語るブラック・アメリカ 現代を照らし出す6つの魂』 - HONZ
  • 『宿無し弘文』ジョブズが師と仰いだ日本人僧侶の生涯 - HONZ

    禅には昔からおっかないイメージがあった。 それはきっと若い頃に読んだエピソードが強烈だったせいだろう。 禅の始祖である達磨に弟子入りを乞い、覚悟のほどを示すために自らの左肘を斬り落としてみせた慧可のエピソードである。雪舟の国宝『慧可断臂図(えかだんぴず)』にも描かれた有名な場面だ。 この話を初めて知った時、あまりに訳がわからなすぎて混乱した。弟子入りを断られたからといって腕を斬る慧可もどうかしているが、それを見て「その意気やよし」と弟子入りを認める達磨もどうかしている。もちろん宗教というのは、自分のような凡夫の常識が及ばないものなのだろうが、それにしても無茶苦茶である。この訳のわからなさに加えて、坐禅で姿勢を正す際に使われる警策(きょうさく)の痛そうな印象もあいまって、禅は怖いというイメージが刷り込まれてしまったのだ。 だから、スティーブ・ジョブズがなぜ禅に傾倒していたのか、ずっと疑問だっ

    『宿無し弘文』ジョブズが師と仰いだ日本人僧侶の生涯 - HONZ
  • 『コロナの時代の僕ら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? - HONZ

    では4月24日発売予定の、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ*によるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文が期間限定で公開されていたので、早速、読んでみた。 このエッセイは、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えた2月下旬から3月下旬に綴られたものだという。著者は、このの印税収入の一部を、医療研究と感染者の治療に従事する人々に寄付することを表明しているそうである。 人間は過去を忘れることによって生きている。5千万人から8千万人の命を奪ったと言われる第二世界大戦の記憶でさえも、年月の経過とともに風化していき、今やほとんどの人にとっては忘却の彼方である。 だから、「まさかの事態」はまだ始まったばかりなのだが、もしも我々が記憶に留めようと努めなければ、すべてが終わった時、今回のコロナウィルスのことも簡単に忘れ去られてしまうだろう。でも、そうすることによって、我々は当に以

    『コロナの時代の僕ら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? - HONZ
  • 『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? - HONZ

    体重わずか数グラムのハチドリは、ほとんどの鳥が真似することも困難なホバリングをすることができる。空中の定位置に留まるためには、羽を打ち上げるときも打ち下げるときも揚力を発生さるような、回転可能な羽を進化させる必要がある。ハチドリがこの独特なデザインの羽を持つようになったのは、花蜜を吸うためであると考えられる。ホバリングは、花蜜を取り出すために威力を発揮し、ハチドリの小さな身体に十分な栄養をもたらすのだ。 ハチドリの羽の進化を促した花蜜は、顕花植物と昆虫の共進化の産物である。花は花粉を昆虫に運んでもらうために色やにおいを進化させ、昆虫は花からより多くの花粉を取り出して他の花に受粉させるような装備を進化させた。この植物と昆虫の共進化の果てに、高密度なエネルギーをもつ花蜜が生まれ、その花蜜を栄養源とするハチドリへと至ったのだ。 著者は、このようなイノベーションの連鎖を「ハチドリ効果」と呼ぶ。これ

    『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? - HONZ
  • 『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える - HONZ

    現代の世界は数え切れないほどのイノベーションが連鎖することでかたちづくられた。書の著者スティーブン・ジョンソンが前著『世界をつくった6つの革命の物語』で示したように、ある分野のイノベーションは全く別領域でのイノベーションを誘発し、ときに想像すらできない変化をもたらしうる。印刷機の発明はインターネットを、衛生観念の発達はマイクロプロセッサを生み出した。著者はこのような予測できないが因果関係の明確なイノベーションの連鎖を「ハチドリ効果」と呼ぶ。 それでは、このようなイノベーションを駆動しているものは何だろうか。それは、より長く生き多くの子孫を残したいという生存能だろうか、はたまた自由・平等・自立を求める高尚な思想だろうか、それともより効率的な生活を求める改善思考だろうか。もちろん、明確な効用をもたらす必需品を人類は強く求め続け、ワクチンのように有用なイノベーションをもたらした。しかし、必需

    『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える - HONZ
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ヒップでポップで、最高にかっこいいパンクなかあちゃんにインタビューしてきた!(その1) - HONZ

    ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が話題になっている。イギリス在住の保育士でライターであり、前作『子供たちの階級闘争』で新潮ドキュメント賞を受賞した、いま注目の書き手である。 書はアイルランド人の夫と自分の間に生まれた息子の目から見た、公立学校の様子や白人と移民との軋轢などが淡々と描かれている。時には日の未来ではないか、と思う場面が出てきて、多くの人が関心を寄せている。5月に上梓された『女たちのテロル』とともに『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のプロモーションで来日したブレイディみかこさんにインタビューをお願いした。とてもクールでチャーミングな人だった。 その2 その3 元底辺中学校の生活って? ―このを読み終わって思ったのは「こんな息子、欲しいなあ」でした。聡明で、ちょっとシャイで、彼の成長や事件を、近所のおばちゃんみたいにハラハラしながら読

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ヒップでポップで、最高にかっこいいパンクなかあちゃんにインタビューしてきた!(その1) - HONZ
  • 『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』 - HONZ

    書は、海外における日アニメ研究の第一人者による「宮崎駿論」決定版とも言うべき一冊である(原書はMiyazakiworld: A Life in Art, Yale University Press, 2018)。通読してまず実感するのは、著者スーザン・ネイピアの「ミヤザキワールド」に対する並々ならぬ愛情の深さだ。自身も優れたストーリーテラーであるネイピアの語り口は優しく滑らかで、宮崎の人生や時代背景が創作過程にどのような影響を与えたのかを、難解な専門用語に頼ることなく紐解いていく。ネイピアは、宮崎の作品世界を読み解くために、監督に関する膨大な日語の(そして日に日にボリュームを増す英語の)文献や資料を渉猟しただけでなく、作品にインスピレーションを与えた自然や場所にも自ら足を運んで観察している。 現在、タフツ大学で修辞学教授を務めるネイピアは、これまで日文学とファンタジーやアニメに関す

    『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』 - HONZ
  • 海鮮寿司とは違います 『旅する江戸前鮨』 - HONZ

    月に数回、私は屋さんに足を運び、を数冊買い、そこから一冊を選んでご紹介させていただいている。今回は『旅する江戸前鮨』である。どのように書けば、書の良さを引き出すことができるのか。料理の仕方を様々に考えながら、鮨をにぎる。いや、文章を書く。何度も読み返しているうちに、は手になじんでいく。 書の定義によると、新鮮な魚を単に酢飯の上にのせて出すのが「海鮮寿司」だ。それに対して、魚に塩をあて昆布じめにしたり、漬けにしたり、煮付けたりする。シャリに合うように魚を手当てするのが「江戸前鮨」である。これを読むまで、私はこの違いを知らなかった。そして読んだ瞬間、とある鮨屋でべたコハダの美味しさが蘇り、思わず腰が浮いた。 「あ、あれだ!」というわけである。これまで私がべたコハダとは、明らかな違いがあったのだ。それでずっと記憶に残っていたのだが「あぁ、あれは江戸前鮨だったんだ」と合点がいったので

    海鮮寿司とは違います 『旅する江戸前鮨』 - HONZ
  • 九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ

    この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつくるなど、その技術を次々と世の中にために活かし始めている。書は、そんな少年のこれまでの歩みについて書かれた一冊であり、同時にそうした「少年の両親が、いかにしてのびのびと成長し、核融合炉をつくれる環境を構築してき

    九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ
  • 『史上最大の決断』 - HONZ

    今から遡ること、70年前の1944年6月6日。北フランスのノルマン地方の海岸で史上最大の作戦が行われた。「ノルマンディー上陸作戦」だ。この上陸作戦は連合軍の格的な反攻作戦の一環で、上陸後ノルマン地方の都市、カーンを軸にし連合軍が大きく右回りをしながらドイツ軍の主力を撃滅するという「オーバーロード作戦」の初戦として行われた上陸戦だ。 アメリカ、イギリス、カナダ軍を中心に300万に及ぶ将兵が従軍。1944年6月6日に敢行された上陸作戦だけでも、機甲、空挺合わせ39個師団が参加し、13万3000名の将兵、1万4000台の各種車両、1万4500トンの補給資材が戦艦6隻、戦闘艦艇1070隻に護衛された、6000隻もの艦船舟艇によってノルマンディーに運び上げられた。さらに彼らの護衛のために2万機に及ぶ戦闘機、爆撃機、輸送機が飛んだという。まさに史上最大の作戦というに相応しい大規模の作戦である。 LC

    『史上最大の決断』 - HONZ
  • 『秘録イスラエル特殊部隊〜中東戦記1948〜2014』でイスラエルの裏面史が見えてくる - HONZ

    1948年の独立以来、イスラエルの特殊部隊が関わった作戦の数々を時系列で微細に入り伝えるノンフィクション。空港での人質奪還、中東戦争、エルサレム包囲戦、レバノン戦争、「テロリスト」の暗殺、原子炉空爆、ハマスとの闘い……その背景を知ることで、イスラエルの歴史や芯のようなものまでが見えてくる。 原題はNo Mission is Impossible. 『ミッション・インポッシブル』の、映画も真っ青な内容が続くのであながち嘘ではない。なにしろ著者は、世界最強と言われるイスラエルの対外情報機関「モサド」について書いたベストセラーノンフィクション『モサド・ファイル』 のマイケル・バー=ゾウハーとニシム・ミシャルのコンビだ。 マイケル・バー=ゾウハー自身がスパイ小説の巨匠で、そもそもの経歴がすごい。1938年にブルガリアに生まれ、建国の年にイスラエルに移住し、大学を卒業後中東戦争に従軍。大学で教鞭をと

    『秘録イスラエル特殊部隊〜中東戦記1948〜2014』でイスラエルの裏面史が見えてくる - HONZ
  • 「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ

    図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊『知の広場』『サブジェクト・ライブラリアン』『情報リテラシーのための図書館』『シリアの秘密図書館』 机は勉強する大学生や高校生に占領され、読みたいはだいたい貸出中、音を立てれば「シーッ!」と怖い目で睨むメガネをかけた図書館員、映画で登場する図書館の典型である。 インターネットで検索すれば欲しい情報がすぐに手に入ってしまう時代に、日を含む世界各国の図書館は生き残りをかけて、古いイメージから脱却しようと挑戦している。の虫だけを相手にしたサービスでなく、幅広い層に利用され、図書館ならではの専門性を活かした問題解決を行い、知識社会を生きる市民のサポーターとして、なくてはならない存在になろうとしている。 存在意義と役割をアップデートしようとする試行錯誤の過程を明らかにし、スペース、サービス、教育、社会的意義の切り口から図書館の高いポテンシャルを解放す

    「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ
  • 『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ

    去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。SNSを中心にびっくりするくらい拡散されていたのは気づいていたが、こうして実際に売れ行きが好調だと聞くと、レビュアーとしては嬉しいばかりだ。 それはともかく、初詣や恵方巻き、平安神宮の歴史が実は長くないという事実を含め、「日の伝統」と聞いて、なんとなくモヤモヤした思いや感情を持っている人がそれなりにいることも反響を見ながら感じていた。そんなわけで、柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚家・放送作家とマルチに活躍

    『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ