「コンドームを備えつけていない理髪店やナイトクラブやバーは営業禁止」。急速に蔓延しつつあるエイズ対策の一環として、いかにも割り切った、日本ではちょっと考えられない現実的な措置が重慶市で実施に移され、議論を呼んでいる。 違法行為である売(買)春取り締まりは当面棚上げし、現実的なエイズ対策に的を絞った当局の姿勢に「英断だ」と評価の声がある一方、「売(買)春を公認するものだ」との反対論も根強く、賛否は相半ばしている。 建前を捨て、本音の手を打った 重慶に限った話ではないが、中国の理髪店やマッサージ店、ナイトクラブなどの中に、売(買)春行為を暗黙の前提にしている店が少なくないことは周知の事実である。もちろん違法行為なのだが、どこの国も建前と本音があって、なかなか一筋縄ではいかない問題ではある。 その一方で、エイズ感染の拡大は進んでいる。中国保健省、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界保健機関(