1 第11回 一杯のコーヒーから学問の花咲くこともある 【今回取り上げる論文】 塚本浩司(2007) 「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」 物理教育 55-4 ▼それは女子高校生の「気づき」からはじまった! この論文の筆者、塚本浩司先生は、現在、千葉県の高校の物理の先生である。学術論文 は、大学の先生でなくても、雑誌を発行している学会に所属をしていれば書くことができ る。また、各高校でも、先生たちが書いた論文をまとめた「紀要」を発行しているところ も少なくない。 この論文「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」――タイトルを拝見して、 一瞬 「?」 と思ってしまったのだが、 読み進めていくうちにすっかり魅了されてしまった。 そこには、だれもが日常的に経験していながら、気づかない問題が隠されていたからだ。 今から 20 年前の 1992 年、塚本先生は、教え子のOさんという女