経産省元審議官がエルピーダメモリ株のインサイダー取引で逮捕されたが、中央官庁の場合、個別企業の株価に影響する情報を事前に入手する機会は少なくない。 インサイダー取引とは、「内部者」が会社の「重要事実」を公表より前に知って会社の株式を売買することだ。ここでいう「重要事実」とは、会社決算など投資判断に著しい影響を及ぼすような内部情報であり、「内部者」とは重要事実を公表されるよりも前に知ることができる会社関係者等を指す。 インサイダー規制は、これらの定義を厳格に決めるとともに法律で規制されている。この規制は比較的新しく、1988年の証券取引法改正によって導入された(現在の名称は金融商品取引法)。 その当時、私は大蔵省で関係部署にいた。米国ではインサイダー規制の歴史は古く、包括的な禁止規制があって、判例の積み重ねで禁止行為等が明確化されていたが、日本に導入するにあたり、法律上の限定列挙方式で