韓国の朴槿恵大統領が罷免された。日本の感覚では不思議な面の多かったプロセスではあるものの、弾劾は憲法に定められた手続きである。これからは大統領選や次期政権の行方に焦点が移ることになるが、その前に弾劾が認められた背景を振り返っておきたい。 私は今まで韓国司法に対して批判的な記事も書いてきた。今回の事態でも、韓国の検察や特別検察官による一連の捜査には無理が目立った。今後の公判では、無罪判決が相次ぐ事態もありうるだろう。ただし、弾劾審理については事情が少し違う。「司法の暴走」や「世論への迎合」と批判するのは簡単ではない。 不倫「偽証」で弾劾訴追されたクリントン氏 弾劾制度は、14世紀の英国に起源を持つ。国王の任命した大臣を議会が罷免するために始まった。現代においても、弾劾というのは「公職を剥奪するか否か」を問うものにすぎず、刑事罰に問えるかどうかは関係ない。韓国の憲法裁判所も今回の決定文で「弾劾