原爆投下時、広島市内の路面電車で働き、被爆した女学生たちを描いた演劇「チンチン電車で心の小旅行『桃の実』」が6月12、13日、土佐電鉄(高知市)の走行中の路面電車内で上演される。女学生の体験談や手記を元にした悲劇。貸し切り電車の通路を舞台にし、両側の座席から鑑賞するという趣向で、劇団を主宰する藤沢弥生さん(43)(東京)は「核を過去のものではなく、自分たちの身近な問題として受け止めてほしい。核のない世界に思いをはせて」と話している。 出征した男性社員に代わり、運転士や車掌となった広島電鉄家政女学校の学生らの実話を記した「チンチン電車と女学生――1945年8月6日・ヒロシマ」(堀川恵子・小笠原信之著、日本評論社)が原作。女学生らは被爆し、傷つきながらも、瀕死(ひんし)の仲間を看病。戦後は街の復興のため、廃虚の街に電車を走らせた。 上演を企画したのは、東京の演劇ユニット「モケレンベンベ・プロジ