理彩さんは、裕子さんと遊んだ場面にも亡くなった父親の姿を描く。クリスマスカードも両親に向けて贈った=兵庫県内 あの原発事故さえなければ、幸せな日々が続いていたはずだった。東日本大震災の後、福島県二本松市から兵庫県内に妻と娘と避難してきた男性(38)が、昨年末、最愛の2人を残して自ら命を絶った。仕事を失い、兵庫で再起を期したが、将来への不安を拭えずうつ病を発症。残された遺書には「現状に打ち勝つ気力がもうない」と殴り書きされていた。 兵庫に移り住んで半年が過ぎた昨年11月。尾崎裕子さん(36)は長女の理彩さん(7)と帰宅して、夫の遺体を見つけた。取り乱す裕子さんに、理彩さんが泣きながらすがりついた。「早く病院に連れて行ってあげて」 二本松市に暮らし、国際機関の講師として働いていた男性。震災後、職場が避難所となったため職を失い、勤務先から提供されていた住居からの退去も迫られた。さらに、目に見えな