ヤンキース首脳陣は、今季シーズン中盤から黒田博樹投手(37)に絶大な信頼を寄せるようになったそうだ。きっかけは、黒田が少年時代に体験した日本式しごきトレーニングの実態を地元紙に語ったことだった。メジャー屈指のスーパースター軍団も日本の野球地獄に驚愕し、筆舌に尽くしがたい苦境を乗り越えた黒田の精神力に感服したというのだ。 「黒田が少年時代に置かれた環境は米国だったら犯罪になるのではないか。最近、日本でも親が訴訟をおこすなど、状況は劇的に変わっているが、当時は児童虐待、いじめだった。黒田はしごきを体験した最後の世代だ」 今年7月、黒田をインタビューしたニューヨークタイムズ紙が、専門家の意見を交えてこう論評した。インタビュー記事のタイトルは「ヤンキースの黒田は痛みの中からつくられた」。黒田の粘投の秘密を解き明かす内容だったが、まるで黒田を地獄から這い上がった怪物のように伝えていた。 確かに