ウラル・西シベリアの既存エネルギー資源地帯が生産のピークを迎えつつあるなか、ロシアとしては新規資源地帯の開発が急務になっており、この意味で膨大なポテンシャルを有する北極は「戦略的資源基盤」と位置付けられるようになった。 第2に、戦略的な航路地帯としての意義が指摘できる。 近年、北極海の氷が縮小し、特に夏期には一般船舶でさえ通航可能なルートが出現したことは、世界の海運に大きなインパクトをもたらしつつある。 通航期間が限られていたり、途中の航路上に大都市が存在しないといった不利は指摘されるものの、極東と欧州の間を従来のスエズ運河経由の半分以下で結ぶことが可能となり、メリットはやはり大きい。 第3の意義は、戦略核抑止に関するものである。 地球儀を見れば分かるとおり、ロシアから米国へ弾道ミサイルを投射した場合の最短コースは北極上空である。また、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載したロシアの戦