元日に放送された「この国のカタチ2014」というNHKの討論番組に出た際、若者中心のオーディエンスには、タイトルが司馬遼太郎(1923年生)の『この国のかたち』のパロディだという意識がないのに驚きました。現在の保守や右傾化と呼ばれているものにしても、それが「自覚せざるパロディ」になっていないか、という点検が必要ではないでしょうか。 右傾化の最大の背景は「戦中派の退場」だと思います。司馬や山本七平(21年生)のような軍隊体験を持つ人々が、国民大の物語の書き手として保守論壇の中心にいた頃は、戦争を日本人自身の「失敗」として捉えるという自意識が強くあった。存命の方だと読売新聞の渡邉恒雄さん(26年生)が、靖国参拝問題に関しては明確に安倍政権に反対しているのも、敗戦直前に徴兵されて、日本軍というものがとても自慢できない組織だと知っているからでしょう。 これに対し、兵隊に取られるより前に終戦を迎えた