『SFのSは、ステキのS』(池澤春菜/早川書房) SFといえば映画やアニメ、マンガでも定番の人気ジャンルである。しかしAmazonの2016年上半期売上トップ20を見ても、SF小説はランクインしていない。もしかしてSFは、こちらが思っているほど人気がないのか? そう思う一方で、読者がSF小説に対して難しそうだというイメージを持っている可能性も考えられる。もし仮にそれが正しく、読者諸氏の中でSFに苦手意識を持つかたがいるのなら、是非ともこの『SFのSは、ステキのS』(池澤春菜/早川書房)を手に取ってほしい。 本書は『S-Fマガジン』(早川書房)で連載中のエッセイをまとめた一冊である。作者の池澤春菜氏といえば、人気声優として既に20年のキャリアを持ち、歌手としても活躍。更に小学生時代より培った驚異的な読書量を誇ることでも知られる。実は父が作家の池澤夏樹氏であり、春菜氏は幼い頃よりその書棚にある