とにかく、テンポがいい。洒落ているとさえ思った。特にトップシーンが秀逸だ。漂ってくるのは紅茶の香り。優雅にティータイムを楽しむ、見慣れた赤い制服。しかしカメラを引くと、砲声鳴り響く戦場のど真ん中という状況。いったい、何が起こっているんだと観客もその中に放り込まれる。説明をしないのがまたいい。描写を重ねるうちに少しずつ全容をみせていき、成る程、これはエキシビジョンマッチで大洗と知波単学園が組んだ混成チーム、相手は聖グロリアーナと――え? なんて風に、状況をひとつ明かしていくと同時にサプライズをひとつ提供し、好奇心をくすぐっていくわけだ。その上、伏線の張り方も気がきいている。たとえば、一時帰省しみほを待っていた普段着のまほ。貴重なオフショットにグッときてしまうが、そんな普段着の姉の姿が実は伏線なのだ。まほの秘めたる想い、姉妹の絆、ドラマの縦糸はそこからするすると伸びていく。そして最終決戦、みほ
新人声優「ずかちゃん」こと坂木しずかにようやくスポットライトが当たった。『SHIROBAKO』第23話「続・ちゃぶだい返し」のラストシーンについて少し、書いておきたい。前回、しずかは自室で一人、テレビに出演しているフレッシュな声優をみながらビールをあおっていた。その様は胸に突き刺さり、痛々しかった。今回、まず憎い演出だなと思ったのは、キャサリンの妹・ルーシー役にしずかが選ばれるんじゃないかと視聴者に期待させている中、アルバイト先の居酒屋で映されるしずかのカットだ。静かに電話と取ったしずかの後ろは前回を引きずるように暗く、目の前は明るい。アフレコ現場にシーンを移す直前のこのカットは妙に引っ掛かった。どうして気になったかというと、23話のポイントは「誰と何を共有しているのか」だと思ったからだ。ラストシーンをみてみよう。宮森あおいは追加シーンのアフレコ現場に姿を現したしずかをみとめ、言葉にならな
『SHIROBAKO』のバランス感覚にはいつも膝を打つ。「虚構と現実」のバランスだ。このテーマで馴染み深いのは今敏監督だろうか。混淆していく現実と夢の世界を精緻な筆致で描き、入れ子構造に収める独特の手法を用いていた。アニメーション制作にスポットを当てた『妄想代理人』第10話「マロミまどろみ」は、比較対象として興味深いエピソードだ。同じ題材を扱うにしても、今敏監督と水島努監督の「ブラックジョーク度合い」とでも称すればいいのか、明らかな違いがある。とはいえ、『SHIROBAKO』の構造は今敏監督の作風と似ている。修羅場続きで一寸先に落とし穴が待ち構えている現実、けれど夢を持ち続けたいアニメーション制作という場所へのこだわり、その交錯が見所。そんな本作特有のバランスを支えているのは、隅々まで徹底して虚構と現実を対立させていること。主人公の宮森あおいを例にとってみよう。同期のタローこと高梨太郎と比
まあ,どのくらいの数のユーゴオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして,「研究者ではまったくないんだが,しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて,その上でユーゴ解体とはなんだったのかについてちょっとだけアカデミックな好奇心持ってる」ような,ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に,ユーゴ解体について学ぶための基本書となるような10冊を選んでみたいのだけれど。(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にナショナリズムを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として) あくまで「入口」なので,時間的・語学的に過大な負担を伴う現地語の3巻本,4巻本の通史は避けたい。ていうかそんなの俺も読んでねーし。できれば日本語,せめて英語の本にとどめたい。あと,いくら研究史的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。自主管理社会主義好きが岩田昌征の著書は外せないと言っても
たぶん、これは人生における「波紋」の物語なのだろう。『言の葉の庭』は新宿御苑の池に降る雨の波紋を映すところから始まる。美しい光の反射は新海誠監督の得意分野だが、本作に置いて反射は波紋という形になり、象徴的な現象として扱われている。本編でいちばん驚かされたのはクライマックス、マンションに反射する激しいの水紋だった。フローリングへ、扉へ、壁へ。水の映す場所に制限はないとでも言うかのような、水の底に沈んだイメージを「本当の気持ち」がある場所へと誘い、盛り上がりをみせるドラマと重ねた演出で、ああこれは15歳という多感な少年へ、27歳という社会に出た大人の女性へ、それぞれに「波紋」をもたらす祝福された時間の映画なのだとはっきりわかった。新海誠監督のテーマは一貫している。何処か届かないものへ手を伸ばすこと、美しいものを追い続けること。連なる時間と距離。年齢という歩んだ時間の違いを距離に、恋愛の断絶感に
超文学フリマに参加しました - activeエレンの続きです。 はてなダイアリー 上記の斧屋さんほか、超文学フリマは失敗だったという意見をいくつか読みました(斧屋さんははっきりと失敗と書いているわけではありませんが)。 ASCII.jp:「ニコニコ超会議2」ってどうだったのよ? 取材陣で語ってみた (1/4)|じゃあ、いつ撮るのか? 今でしょ! ニコニコ超会議2013 まとめレポート Axel Nico 「リアルの場で対峙しているのに、私と会話しているんじゃなくて、みている観客全員で会話している、そんなニコ動特有の空気をまとってました。要は「エスカレーターとかなにそれwww うけるーwww」ってみんなでコメントしあっている感じです。「なにそれww うけるーwww」ってリアルの世界でぜんぜんわかってもらえないひとたちがお互いの傷をなめあう世界がコミケだと思うんで、ニコ動も、同じようでいてベク
名著である「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー」で語られた、ある印象的な言葉を思い出してしまった。自分の求めていたイメージと寸分たがわぬイメージを生み出すことこそ、映画作家の夢だ。そこに、どんな妥協があってもならない。イメージの想像に厳密さを欠いているために、いい加減な映画ができてしまう。映像(イメージ)は映るものでなく、つくるものだ。水島努監督は『ガールズ&パンツァー』最終話の絵コンテを描き上げたとき、どんなイメージをしていたのだろうか。待たされた11話で高まった期待をものの見事に越えてくれた。去年の雪辱を晴らすべく立ちはだかる黒森峰にチーム一丸となってぶつかり、みんな主役なんだと言わんばかりの見せ場につぐ見せ場。可愛い作戦名とは裏腹に、徹底的な考証と妥協なき映像作りを重ねたと思わせる戦車戦アニメーション。ただ「凄いものを観ている」としか表現できない心境の中、持続する臨場感、息もつ
いよいよ明日に迫ってきた、3DS版ドラクエ7の発売日。 ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2013/02/07メディア: Video Gameクリック: 65回この商品を含むブログ (24件) を見る ダウンロード版も出るってことで、備忘録的メモ。 気になるのはダウンロードに必要な容量。オリジナルのPS版は確かCD2枚組だったし・・・・ 何故か任天堂のDQ7ページには表記されてないけど以下に記載されてた。 ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち 公式プロモーションサイト 必要なブロック数は11295ブロック(必要な空き容量2GB)とのことです。 とび森(最大1GB)より大きいとは・・・・・・プレイ時間だけじゃなくダウンロードも結構時間かかりそう(^^;; ちなみに、3DSのダウンロードソフトはSDカードに保存され、この空き容量は以
2013年1月22日(火)新宿ピカデリー スクリーン1 (司会の小林治氏の前説のあと、ゲストの出渕裕総監督と、庵野秀明監督が登壇) B:今日のゲストは、一応スタッフなんですよ。濃い目の話をしようと思ったんですが、あまり濃すぎるのも……と釘を刺されてます。 A:ヤマトファンの庵野です。オープニングの絵コンテを手伝わせていただきました。バーターだったんですよね。 B:業界では、よくある話です。 A:詳しくは言っちゃいけないっていわれました。 B:ちょっとお手伝いしました。 A:今バルト9でやってます。(会場拍手) ――いつもゲストの方にうかがっているのですが、庵野さんのヤマトとの出会いは、やはり1作目ですか? A:1作目の本放送になります。中2でした。 B:1話から観てたの? A:1話は見そこねた。 B:同じだ。 A:2話から観てびっくりして、テレビを録れるカセットを、親に英語の勉強をするとい
「とびだせ どうぶつの森」の世界も、すっかりクリスマスモードに突入。 とびだせ どうぶつの森出版社/メーカー: 任天堂発売日: 2012/11/08メディア: Video Game購入: 35人 クリック: 2,398回この商品を含むブログ (288件) を見る 相変わらず品薄状態が続いてるみたいだけど、年末年始に向けて、便利そうな情報をまとめてみたメモ。 攻略サイト情報満載で充実してますが、あんまり見ると面白くなくなるかも? 3DS攻略 | とびだせ どうぶつの森 攻略ガイドとびだせどうぶつの森 攻略GEMANIとびだせ どうぶつの森 攻略まとめWikiとびだせ どうぶつの森 攻略 交流 Wiki* 今の時期だと、クリスマスや雪だるまとかが旬な情報かも? 便利な攻略情報その他のお役立ち情報や小ネタ系。 【とびだせどうぶつの森】 つねきちの店での偽物の見分け方 - NAVER まとめ常識?
minori(以下敬称略)最新作『夏空のペルセウス』。 体験版の評判も上々のようですが(わたし自身もやってはみましたがここで感想をいうのは控えておきます。何か言うとしたら製品が出た後)、ゲーム以外のところが妙に騒がしいです。 制作発表時にTECH GIAN誌のインタビューで解散を示唆するような発言があったことで良くも悪くも注目が集まったのは中の人にすれば「計画通り(AA略)」なのでしょうが、それ以外にもやり玉に挙げられていることがあります。 いわく、なぜメーカーウェブサイトで店舗特典一覧を公開しないのか。 いわく、なぜ体験版をミラーサイトで公開しないのか。 いわく、なぜ体験版の分割ファイルをなぜ自分が結合しなければならないのか。 これらをやり玉に挙げる人たちの言い分は、ほぼ一点に集約されていると思います。 「ユーザー視点がない(足りない)」です。 そりゃあ確かに、店舗特典がメーカーウ
先日はてな村を卒業した 元ハックルさんこと岩崎夏海氏が、とあるホットエントリーに反応していた。 良いエンジニアの育て方 - ひがやすを blog これに続く一連のツイートで語られる岩崎氏の教育論については、個人的には何か異を唱えるつもりはない。 ただし、話が私の好きな漫画『MASTERキートン』に及んでは、ちょっと黙ってはいられない。 これは『MASTERキートン』の「屋根の下の巴里」(MASTERキートン完全版 2巻収録)というエピソードの一場面。「キートンのお父さんの先生の話」という部分は、後続のツイートで訂正されているように岩崎氏の記憶違いで、正しくは主人公の考古学者だけど保険調査員で糊口を凌ぐキートン・平賀・太一の恩師、ユーリー・スコット先生だ。 さて、ここで問題にしたいのは、ユーリー先生の「さあ諸君、授業を始めよう。あと15分はある!」は、「上から目線」の言葉なのか?ということ。
昨日の昼、Googleリーダーで我らがハックル大先生のブログの更新をチェックしていたら、新着記事で「この日記は、プライベートモードに設定されています。」と表示されて驚いた。実際にブログにアクセスしても記事が表示されない。一体、何が起きたというのだ。 ハックルベリーに会いに行く ■ハックル大先生、お前…消えるのか? 確かに、先日の「はてな村反省会」 の中継動画を見た時に、「近いうちにハックル大先生は、はてな村を去るつもりだな」という印象は受けた。 それ以前にも、ブログ引退を臭わせるツイートがあった。 元アルファブロガーなめんな - Togetter そもそも、Twitterを始めたこと ()が、大先生のはてなダイアリーを使った実験の終了と、Twitterに場を移した新たな実験の始まりを示している気がした。 ■待て、あわてるな。これは(株)はてなの罠だ しかし、まだあわてるような時間じゃない。
先日、『おおかみこどもの雨と雪』の批評を書いたら、一部の人々から「またデタラメなこと書きやがって!」とブコメやTwitterで非難された。その人たちにはいくつかの共通項があって、「1.アニメ好き」「2.ハックルが嫌い」「3.20代から30代の男性」「4.『おおかみこどもの雨と雪』を見てとてもとても感動した!」ということなのだけれど、一夜明けて女性のアニメ好きの人たちから『おおかみこどもの雨と雪』はあまり面白くなかったという評価がぽつぽつ聞こえるようになると、とたんに気勢をそがれて元気がなくなっているのが面白かった。それで、その人たちが慌てて自分の周囲を見回して、ハックルを非難している人たちの属性をあらためて確認してみると、そこにもう一つ「非モテ」という属性が加えられていることを知り、さらに意気消沈して非常にがっかりしていた。特にTwitterでは、月曜日にはあれほど元気だったのがみるみる萎
ぼくはブログを書いていると時々本当に読んでいる身近な方から「なぜブログを書くのですか? ハックルさんは作家だからそれは商品をただで提供することにはならないのですか?」と問われるけど、ぼくのブログは割と本気で全然誰も読んでいないので、何を書こうと自由なのです。誤字脱字も自由。それでぼくの作家としての評価が毀損されるということは丸出梨世で、その代わり評価が高まるということもまたないので、本当に気が楽なのです。特にぼくのブログは宣伝効果がほぼないということが割とはっきりしてきたので、宣伝を入れるとますます書くことが自由になる。その昔、自殺しようとした時に今生の思い出にと多摩クリスタルに行った話も勇気を振り絞って書いてみたけれど、割とスルーされたのでした。その分、話題になるのは子育ての考え方について疑義を唱えたりネット民の既得権益について何か抵触するようなことを書いた時だけ一瞬夏の夜の花火のように
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