1 政権交代は何のためだったのか 鳩山由起夫が小沢一郎幹事長を道連れに首相の座を退き、菅直人が首相になったことで世論は一変した観がある。しかし、表紙を付け替えて政権の維持を図るなどという自民党流の政治手法を民主党が模倣するなら、菅政権の未来はない。ここで改めて、政権交代によって何を変えるべきなのか、確認しておきたい。 民主党政権が本来目指すべき理念は、三つのポストによって表現することが可能であった。第一は、ポスト冷戦である。その中身は、アメリカの一極主義的な軍事行動への追随を見直し、アジアにおいて平和を作り出すという方向性である。鳩山政権は、核軍縮への積極的な姿勢、東アジア共同体構想、普天間基地の海外移転など、この方向のアジェンダを打ち出した。 第二は、ポスト物質主義である。その中身は、成長の限界を踏まえ、持続可能性を鍵に経済のパラダイムを組み換えることである。鳩山首相は温室効果ガスの25