ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (135)

  • トレーニング・デイ - himaginary’s diary

    最近持ち上がった齊藤誠氏と飯田泰之氏の論争(というほどのものでも無いかも知れないが)を興味深く拝見したが、非自発的失業に関する齊藤氏の発言 実は、経済学研究の先端で厳格なトレーニングを受けた研究者は、「非自発的失業」や「自発的失業」という言葉をほとんど使わない。 を読んで、吉川洋氏が以下の著書で報告したルーカスの発言を思い出した。 ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書) 作者: 吉川洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1995/06/01メディア: 新書購入: 12人 クリック: 297回この商品を含むブログ (23件) を見る 少し長くなるが、その発言を報告した部分の後の吉川氏の現代経済学への評価も含め、以下に引用しておく。 一九七七年私はイェール大学の大学院生だった。イェール大学はアメリカ・ケインジアンの総帥ともいえるトービンの影響下に、当時米国でケインズ経済学が生き残っているほと

    JD-1976
    JD-1976 2010/10/22
  • Dr.クルーグマン または私は如何にして金融政策に頼るのを止めて財政政策を愛するようになったか - himaginary’s diary

    一昨日のエントリの冒頭では、クルーグマンがエズラ・クラインの要望をきっかけに起こした一連のブログエントリを紹介した。今日は、そのうちのカール・スミスのエントリに反応した10/6エントリの後半部分を紹介する。 But there’s another point Smith raises: why did some of us emphasize the need for fiscal stimulus, rather than just calling for more expansionary monetary policies? He writes: On the other hand, Brad and Paul like to focus on spending. I suspect this is in no small part because they think govern

    Dr.クルーグマン または私は如何にして金融政策に頼るのを止めて財政政策を愛するようになったか - himaginary’s diary
  • 日本の円売り為替介入への欧米ブログの反応 - himaginary’s diary

    欧米ブログへの反応、と言ってもそれほど数多く見て回った訳ではないが、意外に肯定的な評価が各所で見られた。代表的な論調は、これを機に皆が通貨安競争に乗り出した場合、その競争自体にはあまり益が無いだろうが、むしろその結果として各国の金融緩和が進むのが吉、というもの*1。 例えば、マシュー・イグレシアスは「非不胎化介入は成長への最後の最良の望みかもしれない(Usterilized Foreign Exchange Interventions Might Be The Last Best Hope for Growth)」と題した9/15エントリで、フェリックス・サーモンの以下の非不胎化介入の解説を引用している。 In other words, the Bank of Japan isn’t simply selling yen, it’s printing yen. (And then sell

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  • 失業に関する5つの神話 - himaginary’s diary

    WapoのFive mythsシリーズで、米国の経済政策研究所(Economic Policy Institute)のHeidi Shierholzが失業について書いている。以下はその要約。 失業手当ては人々に職を見つけにくくする 失業手当は、そもそもは解雇された労働者が自分の技術と経験に見合った職を見つける息継ぎの時間を与えるのが目的。しかし、今は息継ぎというよりはライフラインになっている。 確かに失業手当を打ち切れば失業者は必死に仕事を探すだろうが、今はその仕事が存在していないのだ。 失業保険は景気回復に寄与していない 失業者を支援するのは、職を創出する最も効果的な手段。というのは、失業者にとって、失業手当を料や家賃といった生活必需品に費やす以外に選択肢は無いので。 筆者(=Shierholz)の推計によれば、2009年の景気対策(ARRA)のうちの失業補償は、他に支出に回した場合に

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  • ヘリコプター・マネーあれこれ - himaginary’s diary

    「Nobody Understands The Liquidity Trap (Wonkish)」と題されたクルーグマンの7/14ブログエントリをきっかけに、ヘリコプター・マネーを巡りブロゴスフィアで各人各様の考察が見られた。 まず、デロングがクルーグマンに以下のように異議を唱えた。 クルーグマンはヘリコプター・マネーを一括減税に喩えてリカードの中立命題を持ち出しているが、リカードの中立命題が完全に成立すると信じている人はあまりいない。 現金をばら撒いた翌年に吸引機を持ったヘリコプターが現われて回収を行うことが前提とされているならば話は別だが、ヘリコプター・マネーと言った場合、通常それは想定されていない。 クルーグマンは、リカードの中立命題が完全には成立していないとしても、ヘリコプター・マネーの大部分が貯蓄に回ってしまうと予想しているが、“大部分”は“すべて”ではない。 まさに大部分が貯蓄

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  • ノアの洪水の最中に「火事だ!」と叫ぶことこそ最適戦略? - himaginary’s diary

    Nick Roweが面白いことを書いていたので、以下に拙訳で紹介する。 私が米国のブロガーだとしよう。私のブログは非常に人気があり、読者は私が言うことをすべて信じるものとしよう。一方で、実際に政策に影響を与えコントロールする人々は、私が完全にいかれていると思っているものとしよう。 そういう立場に置かれた場合に自分がどうするかは自分でも良く分からないが、どういう衝動に駆られるかは分かっている――「インフレがやってくる! ゼロ金利という金融政策は緩和的に過ぎるが、FRBの馬鹿者どもは手遅れになるまでそれが分からんのだ!」と叫ぶことだ。つまり、ノアの洪水の最中に「火事だ!火事だ!」と叫びたい衝動に駆られることだろう。 そして、私の予言は自己実現的なものとなるだろう。 人々がインフレと経済の実質成長を予想する世界では低過ぎる低水準の名目金利が、人々がデフレと経済の実質的な低下を予想する世界では高過

    ノアの洪水の最中に「火事だ!」と叫ぶことこそ最適戦略? - himaginary’s diary
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    JD-1976 2010/07/17
    インフレ期待の議論を読んで、まず思いついたのがコレだった。
  • クルーグマンの皮肉とDuyの反語・補足 - himaginary’s diary

    昨日のエントリに盛り込もうと思ったが、長くなったので割愛したTim Duyの最近の論説を以下に補足しておく。 まず、(問題となった7/8エントリの次のエントリである)7/11エントリの冒頭。 (石町日記さんのブログへのコメントでは、この最初の二段落にTim Duy自身の意見が表れている、と指摘させて頂いた) Policymakers are increasingly stuck between a rock and a hard place. It is likely the recovery remains intact, but at a pace that will fall short of policymakers expectations. Just how far short? That is the key question. In the absence of a fr

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  • クルーグマンの皮肉とDuyの反語 - himaginary’s diary

    “「Domo arigato, Bernanke-san」とクルーグマン教授が皮肉っている件=Tim Duyの指摘”と題された石町日記さんの直近のエントリを読んで、意外に思われた方も多いのではないだろうか? 常日頃リフレ派的な言説を吐くTim Duyを取り上げて、「まあ、フェアな見方ではないかと思う」「私はTim Duy派ですが…」という評価を下しているからである。 その一方で、石町日記さんは、最近のツイートで、リフレ派と一線を画し、現行のFRB(や日銀)の政策を支持するかねてからの姿勢を改めて明確にしている(例:ここ)。 反面、今回のエントリで取り上げられたTim Duyは、これまでFRB(や日銀)に対し、たとえば以下のような厳しい言説を吐いてきている。 ●2009/11/20エントリ「追い詰められたFRB(The Fed in a Corner)」より The Fed has ma

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  • 消費税、法人税、所得税と設備投資 - himaginary’s diary

    nyanko-wonderfulさんとBaatarismさんが相次いで消費税増税を取り上げ、消費税をはじめとする各種税金の推移グラフを示した。それらのグラフを見て小生の目を惹いたのが、話題の消費税や法人税の推移もさることながら、バブル崩壊以降の所得税の急低下ぶりであった。 nyanko-wonderfulさんの示されたデータソース「長期時系列データ|統計情報|国税庁」を見てみると、一口に所得税と言っても、まず申告所得税と源泉所得税に分かれ、さらに源泉所得税の対象所得が、利子所得、配当所得、上場株式等の譲渡所得等、給与所得、退職所得、報酬・料金等所得、非居住者等所得に分かれていることが分かる。そこで、以下では、所得税を申告所得税、利子所得税、配当所得税、給与所得税、およびそれ以外の所得税に分け、法人税と消費税と並べて描画してみた(単位:兆円[以下同じ])。 これを見ると、申告所得税、利子所得

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  • 日米のイールドカーブは似て非なるもの - himaginary’s diary

    レベッカ・ワイルダーがそう書いている(Angry Bearにもクロスポスト;原題は「Yield curves in Japan and the US: similar but not the same」)。 彼女はまず、クルーグマンの1年半前のブログエントリを取り上げているが、そこには以下のように書かれている。 But here’s the thing: the Fed can’t cut rates from here, because they’re already zero. It can, however, raise rates. So the long-term rate has to be above the short-term rate, because under current conditions it’s like an option price: short r

  • 少々のインフレか、然らずんば少々の社会主義か - himaginary’s diary

    スコット・サムナーが表題のエントリを書いている(原題は「A little more inflation or a little more socialism?」)。以下はその拙訳。 1930年代、右派は、適度なインフレ(物価を大恐慌以前の水準に戻す)と、より社会主義的な社会の間で選択を迫られていた。彼らは大きな政府が好きではなかったが、インフレ政策には最大限の抵抗を示した。結果として、1929年から1933年の間にデフレ政策が取られた。もちろん有権者は25%の失業率を受け入れず、結局、インフレの代わりに大きな政府が我々のもとに残された。 このビデオが示すように、今日の我々は基的に同じ選択に直面している。我々は金融政策で景気を上向かせることができるが、一方で、ファニーとフレディが何千億ドルも蕩尽するのを放置し、自動車産業を国有化し、失業給付を99週まで延長する、といったこともできる。それで

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  • スポンジボブ・スクエアパンツとアイデンティティの経済学 - himaginary’s diary

    最近Worthwhile Canadian Initiativeブログに加わったFrances Woolleyが表題のエントリを書いている(原題は「SpongeBob SquarePants and the Economics of Identity」)。 以下はその抄録。 SpongeBob SquarePants lives in a pineapple under the sea, makes the best burgers in Bikini Bottom, and loves life. Akerlof and Kranton's Economics of Identity explains why SpongeBob is so happy. An identity is a sense of self, "this is who I am". ・・・SpongeBob is

    スポンジボブ・スクエアパンツとアイデンティティの経済学 - himaginary’s diary
    JD-1976
    JD-1976 2010/06/19
    一方、パトリックはいつでも幸福だった。
  • GDPギャップあれこれ - himaginary’s diary

    Econbrowserのメンジー・チンが「Mind the Gap*1」と題した6/1エントリ*2でGDPギャップについて書いている。内容は基的にFRBのMichael T. Kileyが書いた論文「Output Gaps」の紹介となっている。 該当論文の要旨は以下の通り。 What is the output gap? There are many definitions in the economics literature, all of which have a long history. I discuss three alternatives: the deviation of output from its long-run stochastic trend (i.e., the "Beveridge-Nelson cycle"); the deviation of out

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  • ケチャップ理論 - himaginary’s diary

    昨日のエントリでEconomist誌のbuttonwoodというブログに触れたが、そこに以下のような記事があった。 SHAKE the ketchup from the bottle/first, a little, then a lottle. We've all struggled to deal with Heinz's best known variety. And the pseudoplastic nature of the sauce helps explain why quantitative easing could, if things go wrong, end up in hyperinflation. As Tim Lee of pi Economics suggests The central bank keeps "shaking the bottle" (i

    ケチャップ理論 - himaginary’s diary
    JD-1976
    JD-1976 2010/06/15
    あちらでは中央銀行といえばケチャップなのかな?
  • ラジャンの超低金利政策への疑問 - himaginary’s diary

    ラジャンが6/10ブログエントリで超低金利政策への疑問点を8つ挙げている。 短期金利を低く抑えることによって長期金利が低下し、企業投資が促進されると言われる。しかし、ゼロ金利から低水準のプラスの金利に引き上げることによってどの程度の追加投資が見送られるかは定かではないし、個人的にはその額が大きなものではないことに賭けても良い。現在、大企業は、資金調達の資コストをそれほど気にしておらず、それよりは収益、および、米国内に投資すべきかそれとも業務海外に移転すべきかについて懸念している。中小企業はそもそも資金調達できるかどうかを懸念しており、そのコストはやはりさほど気にしていない。十分な警告を発した上で小幅の引き上げによって金利を2〜2.5%にした場合、企業投資への影響がまったく無いとは言わないが、市場の準備が出来ていれば、投資や市況への悪影響は小さなものに留まるだろう。 低金利は住宅をはじめと

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    JD-1976
    JD-1976 2010/06/13
    アメリカが日本みたいになってしまうかどうかの瀬戸際? まだそこまでは追いつめられてはいないと思うが…
  • フリードマン「中央銀行に独立性は必要ない」 - himaginary’s diary

    Mostly Economicsでフリードマンの中央銀行の独立性に関する意外な見方が紹介されている。 ソースは、影の公開市場委員会(Shadow Open Market Committee=SOMC)*1の文書サイトにあるアンナ・シュワルツの小論。 It may be of some surprise that Milton Friedman, a believer in limited government, proposed subordinating the Fed to the Treasury department not as an ideal but as an improvement of existing arrangements. He contended that it would result in a single locus of power on moneta

    フリードマン「中央銀行に独立性は必要ない」 - himaginary’s diary
    JD-1976
    JD-1976 2010/06/10
    ポイントは「民主主義」にあるのだよなあ。ううむ。
  • 日銀の債務超過懸念へのバーナンキからの“回答” - himaginary’s diary

    康志氏が5/30のブログエントリで、長期国債を日銀が買い取り、その後売却した場合に生じる債務超過(ないし自己資毀損)についての懸念を表明している。 さて,かりに日銀が利払費2.4兆円を納付金として政府に納めたら,どうなるか。最初に十分な自己資がなければ,2.4兆円の国債の売却損の結果で日銀は債務超過となるだろう。債務超過になるのは,通貨発行益ではないものを,あたかも発行益のようにして政府に還流させてしまうからである。 通貨発行益 ( 経済学 ) - 岩康志のブログ - Yahoo!ブログ 以前(4/6)、ちょうど7年前の今日に行われたバーナンキ日講演を、岩氏のバーナンキの背理法批判への反論になっている、として紹介したことがあったが、同講演には、今回の岩氏の上記懸念への反論と読める部分もあったので、以下に紹介しておく(前回同様、原文と「リフレと金融政策」における高橋洋一氏訳を

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  • 政府債務のマネタイズを再定義する - himaginary’s diary

    Mostly Economicsに表題のエントリ(原題は「Redefining monetizing government debt」)が上がっていた。内容は、セントルイス連銀経済顧問のダニエル・ソーントン(Daniel L. Thornton)の論考「Monetizing the Debt」の紹介*1。 ソーントンによると、中銀によるマネタイズを、単に政府債務を買うこと、と定義するのは問題があるという。 The idea that the Fed monetizes government debt by the simple act of exchanging money for government debt is too narrow and uninteresting because the Fed conducts monetary policy primarily throug

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  • バラッサ=サミュエルソン効果破れたり? - himaginary’s diary

    最近1/30エントリにコメントを貰って、改めてバラッサ=サミュエルソン効果について考えていたのだが、そもそもバラッサ=サミュエルソン効果の前提となる国内賃金の収束はどの程度成立しているのか、ということがふと気になった。 そこで、国税庁の長期時系列データ・民間給与実態統計調査結果から業種別給与所得者数・平均給与データを取得し、グラフにしてみた。ここで業種分類は、2006年以前に使用されていた10分類を用いた*1。 まずは、1972年以降の平均給与の推移(単位:千円;以下同様)。 これを見ると、代表的な製造業である金属機械工業の給与は全体の最高水準に近いところで推移しているが、他の業種がそれに収束する傾向は見られない。 ちなみに、各業種の人数の推移は以下の通り(単位:百万人;以下同様)。 これを見ると、サービス業、卸小売業、金属機械工業が、直近時点で従事人数の多い3大業種であることが分かる。

    バラッサ=サミュエルソン効果破れたり? - himaginary’s diary
  • サミュエルソンと均衡財政の神話 - himaginary’s diary

    カンザスブログでランドール・レイ(L. Randall Wray)がサミュルソンの以下の言葉を引用している。出所は、かつてマーク・ブローグ(Mark Blaug)が作成した1時間番組*1でのインタビューとのこと。 I think there is an element of truth in the view that the superstition that the budget must be balanced at all times [is necessary]. Once it is debunked [that] takes away one of the bulwarks that every society must have against expenditure out of control. There must be discipline in the alloc

    サミュエルソンと均衡財政の神話 - himaginary’s diary
    JD-1976
    JD-1976 2010/05/02
    行動経済学的にもおもしろい題材かもしれない。