日本国内の研究者グループが、従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話の発展継承を求める研究者を対象とした署名運動を始め、賛同者が千三百人を超えたことが十二日分かった。今月三十一日に記者会見を開き、日本政府に要望する予定で、賛同者はさらに増えそうだ。 (編集委員・五味洋治) このグループは「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」事務局。林博史・関東学院大教授と小浜正子・日本大教授を中心に、歴史、社会学など幅広い研究分野の学者計十五人が呼び掛け人になっている。 呼び掛け文では、河野談話を「内容について見解の相違はあるにしても、日本政府の事実承認と反省の表れとして、一定の積極的な機能を果たしてきた」と評価。「実質的に否定するような見直しは、国際社会との関係に深刻な緊張をひき起こす」と、談話見直しを進めるような発言があった安倍政権をけん制する。
東京電力が海外の発電事業に投資して得た利益を、免税制度のあるオランダに蓄積し、日本で納税していないままとなっていることが本紙の調べでわかった。投資利益の累積は少なくとも二億ドル(約二百十億円)。東電は、福島第一原発の事故後の経営危機で国から一兆円の支援を受け、実質国有化されながら、震災後も事実上の課税回避を続けていたことになる。(桐山純平) 東電や有価証券報告書などによると、東電は一九九九年、子会社「トウキョウ・エレクトリック・パワー・カンパニー・インターナショナル(テプコインターナショナル)」をオランダ・アムステルダムに設立。この子会社を通じ、アラブ首長国連邦やオーストラリアなどの発電事業に投資、参画していた。 子会社は、こうした発電事業の利益を配当として得ていたが、日本には送らず、オランダに蓄積していた。 オランダの税制について米国議会の報告書は、「タックスヘイブン(租税回避地)の特徴
中国が東シナ海に設定した防空識別圏に、日本政府が在日米軍に提供している訓練空域と射爆撃場の計三カ所が含まれることが分かった。米軍は航空機の訓練などに活用しており、中国側が強硬策に出れば、米中の衝突に発展しかねない。 (編集委員・半田滋) 訓練空域は沖縄本島から北西の東シナ海に設定された「沖縄北部訓練区域」で、戦闘機同士の戦闘訓練のために常時提供されている。約一万平方キロメートルある訓練空域の西端が中国の防空識別圏にのみ込まれた。 射爆撃場は尖閣諸島の一部に含まれ、艦砲射撃と航空機からの空対地攻撃に使われる「赤尾礁(せきびしょう)射爆撃場」と空対地用の「黄尾礁(こうびしょう)射爆撃場」の二カ所で、完全に中国の防空識別圏に入っている。
東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で国が費用を立て替えて進めている除染事業で、東電の子会社や東電OBが役員を務めるファミリー企業が、下請けとして参入していたことが分かった。政府・与党内では、除染を国費で負担する機運が高まっている。汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図になっている。 (大野孝志) こうした実態は、本紙が、発注者の環境省福島環境再生事務所に情報公開請求して得た資料で判明した。 下請け企業の態勢などが記された八市町村分の資料を見ると、元請けはゼネコンだが、うち四つの市町村で東電のファミリー企業が下請けに入っていた。いずれも一次か二次の上位の下請けだった。 福島県田村市の除染事業では、発電所保守を主業とする「東電工業」(東京都港区)が道路、山林管理業の「尾瀬林業」(荒川区)が森林をそれぞれ担当していた。両社
麻生太郎副総理兼財務相が改憲に絡め、戦前のナチス政権を引き合いに出した発言をしたことは、世界に不信感を広げた。ナチス政権の迫害を受けたユダヤ人にビザを発給し、多くの命を救った外交官に杉原千畝がいる。杉原千畝研究会の渡辺勝正代表に、杉原の行動と比較しながら麻生氏の発言の問題点をあらためて聞いた。渡辺氏は「世界から信頼される国になろうとした杉原の行為を無にした」と批判した。(大杉はるか) 「当時、日本政府はドイツ、イタリアと三国同盟を結ぼうとしていたこともあり、(ドイツが敵視したユダヤ人への)ビザ発給を許さなかった。それでも杉原は人道上だけでなく、日本の名誉のためにも、ユダヤ人を助けるべきだと判断した。この戦争はドイツの誤りであるということも分かっていたと思う」
トップ > 経済 > 経済Q&A > 記事一覧 > 記事 【経済Q&A】 TPP交渉の焦点「ISD条項」 海外投資トラブル回避 Tweet 2013年3月1日 安倍政権が近く参加表明するTPP(環太平洋連携協定)は「ヒト・モノ・カネ」の行き来を活発にするため、関税の引き下げに加えて企業の投資や知的財産の保護などのルールづくりも協議している。中でも参加国の交渉では「ISD条項」の扱いが焦点となっていて、日本国内でも注目度が高まっている。どんな仕組みなのか。 (岸本拓也) Q ISD条項って何。 A 英語の「Investor(投資家) State(国家) Dispute(紛争) Settlement(解決)」の頭文字の略称で、「国家と投資家の間の紛争解決」という意味になる。要するに企業などの投資家を保護するためのルールだ。 具体的には外国企業が投資先の国の対応によって損害を受けた場合、国連の仲
東京電力が二十二日に公表した報告書は、福島第一原発が三月に事故を起こした直後の状況を、作業員から聞き取った肉声により再現していた。そこには「死」の文字がいくつも並び、あらためて現場の過酷さが浮かび上がった。
東京電力が、保養所や接待施設の維持管理費、年8・5%もの利子が付く財形貯蓄などさまざまな社員優遇に必要な費用を、電気料金を決める際の原価に算入し、電気料金で回収していたことが本紙の調査で分かった。こうした事実を東電も認めている。東電の手厚い福利厚生は、電力会社を選ぶことができない消費者の負担によって維持されてきたことになる。 電力料金は「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出される。施設の修繕費や燃料費など発電に必要な費用を積み上げ、電力会社の利益を上乗せし、その総額を電力料金で回収する仕組み。 ただ、費用に何を計上するかは電力会社の判断に任されている面が強い。既に、官庁OBを受け入れている財団法人への拠出金や広告宣伝費など発電とは関係のない費用に入れられていたことが判明している。経済産業省の有識者会議(座長・安念潤司中央大教授)は今後、これらの費用は計上を認めない考えを示し、同省もその考えに
福島第一原発事故をめぐる政府や東京電力の記者会見では、しばしば珍妙な用語が飛び出す。「事故」と言えばいいのに「事象」が使われる。「老朽化」は「高経年化」、「汚染水」は「滞留水」に。「危険性を隠したがる原子力界の潜在意識の表れだ」と指摘する原子力の専門家もいる。ヘンテコな原子力用語を検証した。 (谷悠己)
環太平洋連携協定(TPP)交渉について、米通商代表部(USTR)の高官が、日本の参加を認めるには米政府・議会の非公式な事前協議が必要で、参加決定に時間がかかるため「受け入れが困難になりつつある」との認識を示していたことが、日本政府の内部文書で分かった。正式協議を合わせると米議会の参加承認を得るのには半年間程度が必要な見込みで、早期参加表明しても来夏にまとまる予定のルール策定作業に実質的に加われない可能性も出てきた。 日本に有利な条件を得るため早い参加が必要、というTPP推進派の主張の前提条件が崩れかねない状況だ。 野田佳彦首相は、今月十二、十三日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で参加表明を行いたい意向とみられ、民主党内で調整中。表明すれば、これが最速となる。 日本政府は、米国の承認手続きに関連し、米議会の了承には最低九十日間の協議期間が必要としていたが、事前協
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