21世紀を生きる少年たちは、どのようにして「一人前の男」になるのか。伝統的な通過儀礼が現在も残る社会もあるが、消えてしまった地域もある。 文=チップ・ブラウン/写真=ピート・ミュラー アフリカのケニア西部に暮らすブクス族の少年の名は、シャドラック・ニョンゲサ。その日は朝から羽根飾りのついた鈴を腕輪に打ちつけ、にぎやかに鳴らし続けていた。父親の家にあるマンゴーの木の下で腕を振って踊る少年の周囲では、年長の友人や親族たちが木の枝やつえを掲げ、勇気や女、酒にまつわる歌を歌う。 午後になると、シャドラックは母方のおじの家を訪ねた。おじは少年に平手打ちを食らわせ、めそめそするな、そんなことで一人前の男になれるのかと大声で怒鳴りつけてから、牛を1頭与えた。少年はこれからブクス族の伝統に従い、割礼の儀式を受けるのだ。 アフリカの部族に伝わる儀式 日暮れ頃には50人を超す人々が集まっていた。男性たちは大が
