2011年12月23日11:34 カテゴリ本エネルギー ファシストは「正義の味方」の顔をしてやってくる 今の日本のように長期不況が続くと、1930年代のようなファシズムが出てくるのではないか、というのはよく心配されるが、今のところ戦前のような超国家主義は大して大きな勢力にはなっていない。しかし「狂信的な社会運動」という広義のファシズムには、いろいろなパターンがある。本書も指摘するように、ファシズムにはイデオロギー的に右翼か左翼かは関係なく、中国の紅衛兵や日本の全共闘運動もその一種だった。 戦前のファシズムを代表するのは、蓑田胸喜である。今となっては忘れられた人物だが、戦前にはその影響力は強く、彼の主催する雑誌『原理日本』が国賊として糾弾した瀧川幸辰、美濃部達吉、河合栄治郎などは職を失い、蓑田の「日本主義」は皇道派青年将校の精神的支柱となった。戦前の日本を暴走させたのは軍や官僚機構の中枢では