「ガス完全遮断」の可能性はゼロではない これまでの常識で考えれば、ロシアが欧州へ供給するガスを遮断するということはほぼあり得なかった。欧州で消費されるガスのおよそ3分の1はロシアからのものであり、ロシアにとって貴重な収入源だからだ。ロシアのエネルギー政策にくわしいターン・グスタフソン政治学教授(ジョージタウン大学)は「冷戦のさなかにあっても、ロシアはガスの輸出をやめることはなかった」と指摘する。 だが、同氏は現代において「プーチン大統領がガス栓を止める可能性はゼロではない」とも付け加える。いまのロシアには、ある程度の蓄えがあるからだ。 ロシアの国営企業「ガスプロム」は、天然ガスの供給において世界最大手の存在だ。同社が仮に欧州全土へのガス供給を停止した場合、1日あたり2億2800万ドル(約262億円)の損失を被ると試算されている。ロシアの禁輸出政策が3ヵ月続くとすれば、想定される減益は2.2