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ブックマーク / courrier.jp (194)

  • 古代ローマ人は「去勢された永遠の少年」をどう見ていたのか? | 彼か彼女か、それとも…

    なぜ古代世界には「去勢」の風習があったのか? 去勢された者はどんな存在と見られていたのか? 古代ローマ世界での場合を中心に、イスラエル紙「ハアレツ」の考古学記者が深掘りする。 世界で初めて故意になされた雄の去勢が何だったかは、永久に不明のままだろう。現代の歴史家たちは、去勢は畜産から始まったと示唆している。それは、望ましくない繁殖を減らし、より穏やかで、より肥えた牛や豚を生み出すためだったというのだ。 人間の男性の去勢はどうやら、罰の一種として最初に導入されたようだ。古代の史料は、誰が最初にそれを始めたのかを明快に語っている。これほど倒錯したことを思いつけるのは、女しかいないだろうと──。 ギリシャの歴史家ヘラニコス(前5世紀末に著述活動)は、アケメネス朝ペルシア(前550〜前330年)の王妃アトッサ(在位前520〜前486年)が最初の宦官を生み出したとしている。古代ローマ後期、ローマの住

    古代ローマ人は「去勢された永遠の少年」をどう見ていたのか? | 彼か彼女か、それとも…
  • 弾圧された言語の復権へ『ドラゴンボール』が果たした重要な役割 | カタルーニャ語やバスク語に吹き替え「スペインの公用語をより豊かに」

    『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』などの作品で知られるマンガ家・鳥山明の死去を海外メディアは相次いで速報し、世界中で悲しみの声が広がった。 なかでも、スペイン・カタルーニャ州の現地メディアは「鳥山の死にカタルーニャは泣いている」(現地メディア「カタルーニャ・プレス」)などの見出しで、格別な思い入れを持ってこのニュースに反応した。いったい鳥山は、同州にどんな足跡を残したのだろう? 弾圧された言語の人気コンテンツに スペインではフランコ独裁政権時代(1939〜75年)、カタルーニャ語などの地方の固有言語は公的な場での使用が禁止されていた。1975年のフランコの死後に民主制に移行し、1978年に制定された憲法で各自治州がそれぞれの地域の言語をスペイン語とともに公用語にすることができるようになった。こうしてカタルーニャ語は復権したものの、現在でも読み書きが苦手な人が存在するなど、弾圧の影響は残

    弾圧された言語の復権へ『ドラゴンボール』が果たした重要な役割 | カタルーニャ語やバスク語に吹き替え「スペインの公用語をより豊かに」
  • 日本の画期的カキ陸上養殖に仏紙「久米島で革命が起きている」 | その牡蠣は“あたらない”らしい…

    中毒の心配なしにべられる「あたらない牡蠣」の生産を目指し、沖縄県・久米島で開発が進む牡蠣の陸上養殖。日と同じく生牡蠣を愛する国、フランスの「ル・モンド」紙特派員が久米島へ、世界初の試みの現場を訪ねた。 プレハブの事務所、いけすのある温室、謎めいたコンクリートの建物……。日の南端にある小さな島、久米島の海辺に建てられたこの施設で、「牡蠣養殖の革命」が起こっている。 日企業ゼネラル・オイスター(GO)の子会社ジーオー・ファーム(GO Farm)が、この地で深海の水を使い、「あたらない」牡蠣を陸上養殖しているのだ。 「エイス シー オイスター2.0(8TH SEA OYSTER 2.0)」の陸上養殖技術の完成には、10年の研究を要した。「8TH SEA」とは、古代からの伝説にある7つの海に加えて、第8の海=深海を意味する。大量の水を循環させ、適切な餌を与え、最適な温度管理をおこなう。こ

    日本の画期的カキ陸上養殖に仏紙「久米島で革命が起きている」 | その牡蠣は“あたらない”らしい…
  • 山本耀司「夢に到達したと思ったら、僕は死んでしまうかも」 | 成功と挫折を経て、いま思うこと

    耀司の思考は独特な動き方をする。ついてこられるかと挑発するかのように、唐突に話題を変える。 「僕は新宿生まれなんですよ。新宿っていうのは最悪に……悪趣味な町でね。僕は小さいころから喧嘩っ早かった。喧嘩には負けたことがありません」と言って、にやりとする。「とにかくむしゃくしゃしていたんです」 若いころは喧嘩をふっかけたくて町を徘徊した。野球のバットを手にうろつき、米兵を殴ったこともある。「兵士はこんなふうに頭を抱えていましたよ」と言い、両腕で頭をかばう。 「顔を真っ赤にしてね。でもやり返してはこなかった。だから『米国人は好きだよ』と言ってやりました」 「ヒロシマ・シック」と揶揄されて 山のこだわりは不完全さ、アンバランスさにある。 ほとんどのデザイナーは正しいフォルムを作り、正しい糸を使うことに汲々とする。着て生活するためではなく見栄を張るためにあるような、完璧にSNS映えする服を作ろ

    山本耀司「夢に到達したと思ったら、僕は死んでしまうかも」 | 成功と挫折を経て、いま思うこと
  • デジャヴより奇妙で珍しい「ジャメヴ」って何? 日常に潜む不思議な現象 | とつぜん起こる「非現実感」のワケ

    「知ってるはずなのに…」 初めて経験するはずのことが、なぜか以前にも経験したように感じられる──「既視感」、あるいは「デジャヴ」と呼ばれるこの現象はよく知られており、実際に体験したことのある人も多いだろう。 しかし、デジャヴの反対ともいえる「ジャメヴ」という現象についてはあまり知られていない。2023年、このジャメヴについての研究が、「人々を笑わせ、考えさせた研究」に贈られるイグノーベル賞を受賞した。 研究チームのメンバーで心理学者のアキラ・オコナーとクリストファー・ムーランによれば、ジャメヴとは、「見慣れているはずのものが、何らかの形で非現実的、または新しいものに感じられること」。

    デジャヴより奇妙で珍しい「ジャメヴ」って何? 日常に潜む不思議な現象 | とつぜん起こる「非現実感」のワケ
    NSTanechan
    NSTanechan 2024/01/31
    老化じゃないの?と思ってしまった(割とあるので)
  • 100年前に“素人”経済学者が提案した「腐る貨幣」が再注目されている | 「未来の社会はマルクスよりゲゼルから学ぶだろう」

    そもそもお金とは何なのか? お金歴史は、経済学者ジェイコブ・ゴールドスタインが著書『貨幣 その誕生の真実』 (未邦訳)のなかで述べるとおり、「義務の概念と気まぐれな論理」から成り立っている。お金が発明される前、人々は物々交換に頼っていたがこれは非常に不便なシステムだった。ゴールドスタインいわく、「お互いの需要が一致」しなければ、交換は成り立たないからだ。私が小麦を持っていて、あなたが肉を持っているとしよう。私たちが交換を成立させるためには、私がちょうど肉を求めていて、あなたもちょうど小麦を求めていなくてはならない。これはこのうえなく効率が悪い。 価値と価値の交換は、世界中のあらゆる文化において存在する。たとえば結婚、殺人罪に対する刑罰、そして生贄(いけにえ)。こうした交換で使われたのは、子安貝、マッコウクジラの歯、長い牙を持つブタなどだ。これらの品物は、お金の持つ2つの大きな役割を果たし

    100年前に“素人”経済学者が提案した「腐る貨幣」が再注目されている | 「未来の社会はマルクスよりゲゼルから学ぶだろう」
  • 『進撃の巨人』の原作者・諫山創は「アニメ界に忘れがたい足跡を残した」 | 2023年に世界が注目した日本人100

    世界的な人気を誇る『進撃の巨人』。漫画原作と同様にその名を世界に轟かせ、アニメ界に大きな足跡を残したTVアニメ版は2023年、ついに終わりを迎えた。 最終回の放送を控えた11月、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「ストリーミングやSNS、検索回数などにもとづく指標によれば、アニメ『進撃の巨人』は、2021年に世界で最も需要の多い作品だった」と報じた。

    『進撃の巨人』の原作者・諫山創は「アニメ界に忘れがたい足跡を残した」 | 2023年に世界が注目した日本人100
  • 急増する「うちの子、天才児かも症候群」の裏側を仏誌が調査 | 「学校で“ギフテッド”でない生徒はうちの子だけ(笑)」

    近年、フランスでは「HPI」や「ギフテッド」と呼ばれる、高い知能を持った“天才”関連の書籍・ドラマシリーズがヒットしている。そしてそれは紙面やスクリーンを飛び出し、現実世界の親たちにこう思わせる。「子供が学校や社会に馴染めないのは、知能のせいかも」、「うちの子、天才児なのかも」……。実際、知能検査の要望は急増しているという。親を魅了し、振り回す。強迫観念とも言える現代社会の病を仏誌「ロプス」が調査した。 ある日の仕事中、臨床心理士のヴァレリー・レヴィは不思議な出来事に直面した。患者として来ていた子供が、IQテストに完璧すぎる解答をしたのだ。まるですでに一度受けたことがあったかのように……。「こんな高いIQがあればと、誰もが望みます」と、レヴィはため息をつく。 年間でどれだけの数のIQテストが実施されているのか、心理学者も正確には把握していない。だが、誌「ロプス」が問い合わせた専門家は皆、

    急増する「うちの子、天才児かも症候群」の裏側を仏誌が調査 | 「学校で“ギフテッド”でない生徒はうちの子だけ(笑)」
  • 高橋慶太が生んだ『塊魂』は20年を経たいまも拡大を続けている | 2023年に世界が注目した日本人100

    英ロンドンのコミコンで「塊魂」の王様のコスプレをしたファン Photo by Dan Kitwood/Getty Images 2004年『塊魂』という名のユニークなゲームが発売された。キャラクターが塊を転がしていくアクションゲームで、画鋲や鉛筆から果てはタンカーや高層ビルまでひたすらモノを巻き込んでいく。アメリカでも同時発売され(英語タイトルは『Katamari Damacy』)、いまでもカルトゲームとして愛されている。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、『塊魂』を「シュールなキャラクターとシンプルな操作性、キャッチーなサウンドトラックが、2004年のプレイステーション2用ゲームを傑作に変えた」と絶賛。20周年を迎えるいま、生みの親である高橋慶太に独占取材をおこなっている。 「芸術を作っても役に立たない」 武蔵野美術大学で彫刻を専攻していた高橋は、ゲームクリエイターに転向することを決意し

    高橋慶太が生んだ『塊魂』は20年を経たいまも拡大を続けている | 2023年に世界が注目した日本人100
  • わずか数分で聴衆の心を惹きつける“数学界のスーパースター”時枝正 | 2023年に世界が注目した日本人100

    仏紙「ル・モンド」は2023年5月、米スタンフォード大学の数学教授である時枝をこう評した。 「数学者は2つのグループに分けられがちだ。黒板にチョークで数式を書く理論派とプラスチックのシートにフェルトペンで書き込む応用数学者──しかし、日の時枝正は第三のカテゴリーに属している」 ル・モンドは、パリのアンリ・ポアンカレ研究所での時枝の講義に注目する。彼は数学や物理学における古典的な内容を取り扱う際に、チョークではなく大きなコインを用意し、それで理論を視覚的に伝えているのだ。 時枝が注目される理由は、「わかりやすく数学を広める」という彼の特殊能力にある。シンプルな道具を使い、深淵な数学理論を親しみやすく解説するその手法は「手品のよう」とも形容される。 時枝の経歴もまた非常にユニークだ。もともと彼は画家としての将来を嘱望されるほど絵画に長けていた。日を離れ、フランスに発ったのは14歳のころ。「

    わずか数分で聴衆の心を惹きつける“数学界のスーパースター”時枝正 | 2023年に世界が注目した日本人100
  • 英紙が指摘「日本は内部通報者の保護を強化するべきだ」 | 日本では告発をすると罰則が…

    不完全なホットライン 日の芸能界最大の性暴力スキャンダルが明るみに出た1ヵ月後の2023年4月、問題の芸能事務所は遅ればせながら、被害者が訴え出るための内部告発ホットラインを設置した。 だが、このホットラインには大きな欠陥があった。その利用対象者は旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)の従業員だけ、つまり、創業者の故ジャニー喜多川から虐待を受けていた可能性のある何百人もの旧ジャニーズ事務所に所属した男性芸能人には、その新たな仕組みを利用して被害を申し出る資格がなかったのだ。 スマイルアップが委任した外部専門家から成る調査委員会によれば、このホットラインの運用上の瑕疵は、同事務所の内部統制における数多くの重大な欠陥の一つに過ぎない。同事務所の内部統制の不備は、2019年に亡くなった喜多川が、1950年代に初めて疑惑が浮上して以来、性的虐待を重ねる事態を招いた。

    英紙が指摘「日本は内部通報者の保護を強化するべきだ」 | 日本では告発をすると罰則が…
  • 【解説】「シオニズム」とは何か? ユダヤ人はみなシオニストなのか? | 「反シオニズムは反ユダヤ主義」と米下院で決議

    米下院で12月5日、「反シオニズムは反ユダヤ主義」だと非難する決議が、圧倒的多数の賛成により採択された。この決議に法的拘束力はないものの、言論封殺につながりかねないとか、ユダヤ人の一部まで反ユダヤ主義者になってしまうといった批判が出ている。 「シオニズム」とは何か? カタールのメディア「アルジャジーラ」が、シオニズムとはそもそも何かを、この決議について報じた記事のなかで解説している。 シオニズムは、1948年のイスラエル建国に寄与した民族主義的なイデオロギーであり、ユダヤ民族は歴史的にパレスチナと呼ばれてきた土地で自決権があると主張するものだ。シオニストは、この土地を祖先からの故郷とみている。

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  • 集団的トラウマ研究者「ハマスに復讐してもイスラエルの悲しみは癒えない」 | 悲劇を経験した国家が回復するために

    イスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃した1週間後、ナサニエル・ラオール(73)は中部の都市ペタフ・ティクヴァで精神科医およそ50人を相手に講演をしていた。テーマは、極度の大災害に見舞われたイスラエル国民のレジリエンス(回復力)だ。 集団的トラウマとそこからの回復について語るラオール(左) ラオールは米イェール大学とテルアビブ大学の双方から、精神医学と哲学の名誉教授の称号を授与されている。彼は講演のなかで、トラウマを引き起こすような大災害を「財産や人命に壊滅的打撃を与える自然・人的な事象で、社会構造や基盤、生活、日常の慣行すべてに破壊的な影響を及ぼすもの」と説明する。 さらに彼の次のスライドには「テロによる災害」がこう定義されていた。 「人間の質や慣習の基的前提を覆すことを目的とした行為。個人、集団、国家に広範囲かつ鋭く波及する意図的な衝突で、生命を野蛮におとしめ、死と極度の危険を拡

    集団的トラウマ研究者「ハマスに復讐してもイスラエルの悲しみは癒えない」 | 悲劇を経験した国家が回復するために
  • モンゴルの8歳の少年が「チベット仏教」をめぐる争いの中心にいる理由 | ダライ・ラマと中国共産党の狹間で

    モンゴルにいる多くのチベット仏教徒を導く「ボグド」の地位に、8歳のモンゴル人の少年が指名された。だが、それはモンゴルが中国とダライ・ラマの政治的な駆け引きに深く巻き込まれることを意味する。その複雑な事情を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が現地で取材した。 その少年は、裕福で世俗的な人生を送る運命にあると思われていた。モンゴルの鉱業大手グループを経営する一家に生まれた彼には、首都ウランバートルにある社からグループを導くために選ばれる日がやがて訪れたかもしれない。 ところが、その8歳の少年はいま、ダライ・ラマと中国共産党の争いの中心にいる。 すべてが変わったのは、彼がほんの幼児だった頃だ。ウランバートルにある広大な寺院を訪れた彼の父親が、彼とその双子の兄弟をある部屋に連れていった。そこでふたりとほかの少年7人は秘密の試験を受けた。 子供たちは、宗教儀式に使う物が散乱した卓を見せられた。親のそ

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  • 「人を未来に連れていく」ために僕が考えていること|マーク・ニューソン独占インタビュー

    マーク・ニューソン 1963年オーストラリア生まれ。世界的に著名なインダストリアルデザイナー。2014年にアップルに入社し、同社製品のデザインも手がけている PHOTO: LISA MAREE WILLIAMS / GETTY IMAGES 1986年に「ロッキード・ラウンジ」というチェアで名を成して以来、マーク・ニューソンはずっとデザイン界の最前線で働きつづけてきた。最近では、Apple Watchをデザインした人物として認識している人も多いかもしれない。そんなニューソンに時代の変化、そして、いま必要とされていることについて話を聞いた。 ──アップルのジョナサン・アイブとはずいぶん前から交流があったようですが、どのように出会ったのでしょうか。どうして二人で仕事をするとうまくいくのか、そしてお互いからどんなことを学んだのかを教えてください。 初めて出会ったのは日で、1990年代の初めだっ

    「人を未来に連れていく」ために僕が考えていること|マーク・ニューソン独占インタビュー
  • 元セックスワーカーの俺だからわかる「女性が男に本当に求めていること」 | 彼女たちとの4年間を振り返る

    エスコートサービス業に従事していたオーストラリア人男性が回顧録を出版。クライアント女性たちが求めていたのは素晴らしいセックスだけではなく……。 エリーとサリーの場合 男性たちがエリー(仮名)に目を留めなかったわけではない。「私のほうが男性に興味を持てなかったんです」と彼女は言う。 友人たちが恋愛し、結婚して子供を持つなか、エリーの関心は「学校を卒業して大学へ行き、仕事を得て、その他いろいろなことをする」ことだった。 それは科学の分野のキャリアで実を結んだが、37歳になっても処女のままだった。「自分の一部が欠けているように感じていました」とエリーは言う。 54歳のサリー(仮名)は結婚や子供には興味がなかったが、「素敵な恋愛」は何度もした。彼女を悩ませてきたのは、一夫一婦制だ。 「それは私にとっては、どうでもいいことだったからです」と彼女は言う。 企業のマーケティング幹部であるサリーはこの10

    元セックスワーカーの俺だからわかる「女性が男に本当に求めていること」 | 彼女たちとの4年間を振り返る
  • 経済学者アンガス・ディートン 「米国の格差を深刻にしたのは私たちだ」 | ノーベル経済学賞の受賞者が明かす「自責の念」

    2015年にノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートンが、新著『米国の経済学 移民エコノミストが探る不平等の国』(未邦訳)を10月に上梓した。 米誌「ファスト・カンパニー」は同書を「経済学者にとって耳が痛くなる一冊」と称した。ディートンが、自身を含む経済学者やその助言を受け入れた大統領たちが犯した「過ち」に切り込んでいるからだ。 彼が「格差を招いたのは経済学者だ」と、自らのレガシーにまで疑問を投げかける理由とは──。

    経済学者アンガス・ディートン 「米国の格差を深刻にしたのは私たちだ」 | ノーベル経済学賞の受賞者が明かす「自責の念」
  • 毎日250キロのゴミをリサイクルする「プラスチックを食べる細菌」の未来 | 環境に猛スピードで適応する微生物たち

    小田たちの発見は出発点にすぎない。人間自身が作り出したこの地球規模の環境災害を少しでも軽減したいなら、この細菌はもっと迅速かつ効率的に働く必要がある。 イデオネラ・サカイエンシスに関する最初の実験で、彼ら研究チームはこの細菌と一緒に長さ2センチ、重さ0.05グラムのプラスチックフィルムを試験管に入れ、室温で放置した。すると、細菌は約7週間でこの小さなプラスチックを分解した。 極めて印象的な結果ではあったが、プラスチック廃棄物に有意義な影響を与えるには、そのスピードはあまりにも遅すぎた。 幸い、この40年間で科学者たちは酵素の設計や操作に驚くほど習熟した。プラスチックの分解に関していえば、「イデオネラ酵素は進化のごく初期段階にあります」と、ポーツマス大学の分子生物物理学教授、アンディ・ピックフォードは述べる。 「イデオネラ酵素を進化へと導くことが、科学者たちの目標なのです」 微生物たちの驚く

    毎日250キロのゴミをリサイクルする「プラスチックを食べる細菌」の未来 | 環境に猛スピードで適応する微生物たち
  • 米紙が報じる苦境「スシが大好きな日本の海から魚がどんどん減っている」 | 熱くなる一方の海水に漁師は対応できるのか

    卓には古くから魚介類が欠かせない。だが気候変動などによって海水の温度が変わり、この国の海から魚たちが消えている。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が日の漁業について報じた。 漁獲量の減少が止まらない日 毎年7月が終わりに近づくと、テラダ・ノリオら牡蠣の養殖業者たちは、輪っか状の針金につないだ何百枚ものホタテの貝殻を浜名湖の水中に沈める。 貝殻に付着した小さな黒い牡蠣の稚貝は成長し、およそ1年半後に収穫される。しかし牡蠣たちはまず、過酷さを増すばかりの海洋環境を生き抜かねばならない。 近年、海洋環境の悪化によって牡蠣の生産量は激減しており、日中の漁師を動揺させているのだ。 「牡蠣の養殖には100年以上の歴史があります。ですが、これほど多くの個体が死滅するのを見るのは初めてです」とテラダ(64)は言う。記録的な不漁に見舞われた3年前には、水揚げ量は例年の10分の1まで落ち込んだ。

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  • 音楽が止まり、文化が殺されている─アフガニスタンの芸術家たちの苦悩 | 恐怖政治が音楽を嫌う本当の理由

    音楽家や芸術家は、怯えながら日々を過ごしている。アフガニスタンの「文化の交差点」としてのアイデンティティは、厳しい抑圧政策に耐え、生き残ることができるだろうか? タリバンの政権奪取後、命さえ危うくなった音楽家たちの苦しみを、英紙「ガーディアン」が取材した。 命を狙われる音楽家たち 2021年8月上旬、タリバンがカブールに迫った頃、アフガニスタンのソーシャルメディア上には奇妙な広告が溢れかえっていた。音楽家たちが、自分の商売道具である楽器や機材を売りに出していたのだ。 その多くは、来の価値の幾分にも満たない額で投げ売られていた。音楽をこよなく愛するアフガニスタンにありながら、買い手はほとんどつかなかった。 「過去の経験から、タリバンが我々音楽家や楽器にどういう仕打ちをするかもわかっていました。やつらは芸術や音楽を嫌悪しているのです」 こう語ってくれたのは、アフガニスタン北部出身の49歳の歌

    音楽が止まり、文化が殺されている─アフガニスタンの芸術家たちの苦悩 | 恐怖政治が音楽を嫌う本当の理由