JR六甲道駅北西にある六甲風の郷公園(神戸市灘区六甲町)。広いグラウンドに遊具や池がある公園で、子どもたちが走り回る。加久(かく)久代さん(76)=同区六甲町1=はその様子をほほ笑んで見つめる。(篠原拓真) 【写真】〈救出できなかった事をお許し下さい〉隊員からの手紙に救われた 住宅は新しくなり、広い公園もできた。この一帯が焼けたなんて、今はまったく分からんでしょうね。 阪神・淡路大震災前、公園一帯は住宅密集地だった。夫の幾康(いくやす)さん=享年(50)=らと暮らしていた加久さん。近くの六甲宮前商店街で営んでいた米穀店は全壊。六甲町で発生した火災が延焼し、自宅も全焼した。 それでも、消防団に属していた幾康さんは直後から消火や救出に当たった。夜間パトロールや焼け跡の整理にも明け暮れた。 震災から8日間、いすでうとうとするぐらいやったと思う。「ちゃんと寝なあかんよ」と声を掛けても「みんなもおる