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ブックマーク / www.anlyznews.com (63)

  • 財政政策を緊縮か反緊縮かの一軸で見ることなかれ

    ネット界隈のリフレ派の多くは、財政政策では反緊縮を合言葉にし、増税を嫌っている嫌税派でもある。外国事例や各種文献を持ち出しては、増税忌避を正当化しようとしているのだが、反緊縮を謳っていても反増税とは限らない。財政赤字の縮小ではなく、福祉予算の削減を緊縮と呼ぶことがある。財政政策を一次元では無く二次元で見るようにすると、リフレ派が参照している事例や文献は、リフレ派が求めているものではないことも多い。 1. 二軸で見る財政政策への嗜好 財務省の手先と罵られている麻生太郎氏などがそうだと思うが、景気の良し悪しで許容する財政赤字を変える人は多いので、ここ4年間ぐらいの景気改善を所与にし、財政赤字と福祉予算の二次元でネット界隈の嗜好を分類してみれば、以下のような感じになる。 2. 和風保守とリベラルの位置 2012年の消費増税を中心とした三党合意から、日の保守勢力は増税による福祉予算の維持を嗜好し

    財政政策を緊縮か反緊縮かの一軸で見ることなかれ
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    REV 2017/06/13
  • 科学的に飲食店内の副流煙が有害と言えるのか?

    店内などを原則禁煙(完全分煙された喫煙室は設置可)にしようとする健康増進法改正案に関して、賛否が色々とあるようだ。この改正の正当化をしたいあまりに、科学的なエビデンスを過剰に喧伝している人々がいるので批判したい。疫学調査から得られた統計は有意性も効果量も弱いものであって、喫煙習慣による発がんリスク上昇を知らなければ、そんなに強い信念を持てない分析結果であるはずだ。 1. 個々の研究に有意性が無い 国立がん研究センターのプレスリリースで、統計的に有意な数字で相対肺がんリスクが1.28倍(女性に限ると1.31倍)と言う結果が得られていて、これが代表的な疫学的根拠(もしくはそれのまとめ)になると思う。 9の独立した学術論文の分析結果をつなぎ合わせたメタアナリシスになっており、参照されている個別の研究は、配偶者やその他家族の喫煙習慣により、肺がんによる罹患/死亡相対リスクが上昇するか見たもの

    科学的に飲食店内の副流煙が有害と言えるのか?
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    REV 2017/05/30
    次は、「科学的に空飛ぶスパゲティモンスターは否定されたのか?」って題で、FSMの不在のエビデンスを過剰に喧伝している人々の批判をお願いします。
  • メカニズムデザインによる過剰予約時のやりくり法

    予約していても来ない客がいるため、航空会社は席数よりも多い予約を受け付けており、予約客が多くやってきた場合は、オーバーブッキングとして予約客の(大抵はやんわりとだろうが)搭乗拒否を行なっている。緊急かつ優先的に優待客や従業員を輸送しないといけないときに座席の余裕が無い場合も、同様にオーバーブッキングとして処理が行なわれる。 予約客としては、自分に非はない不都合だから、面白くは無い。日の航空会社は穏便に処理しているようだが、米国の航空会社にはこの始末が下手なところもあり、4月9日にユナイテッド航空が下手な対応をした上に、当初、まともに謝罪も行なわず激しい非難を受けていた*1。経営が下手な大企業が何故か多いMBAだらけの米国社会である。それはさておき、穏当に対処する方法を考えてみたい。 1. 抽選によるキャンセルは非効率 ユナイテッド航空は、まず、800ドル相当のバウチャーを補償として提示し

    メカニズムデザインによる過剰予約時のやりくり法
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    REV 2017/04/15
  • 時系列データの相関係数はあてにならない

    元官僚の高橋洋一氏が時系列データの相関係数が高い事を論拠にしているが、この論証方法は全くもって厳密ではない。 計量経済学では時系列データの相関係数はあてにならない事は80年代から良く知られており、これに関連した業績でエングルとグレンジャーは、2003年にノーベル経済学賞を受賞している。 高橋氏のトリックを説明したい。世の中には時間とともに変化していくトレンド*1と言うのが多くある。このトレンドがあるデータを二つ比較すると、どちらも時間に対して相関しているため、相関があるように見えてしまう。 例えば戦後、一人あたりの米の消費量は減少し、コンピューターの普及台数は飛躍的に伸びたが、この二つの現象を結びつけて考える人はいない。しかし、米の消費量とコンピューターの普及台数は、高い相関を持つ事になる。 実データの場合は屁理屈をつける事も可能かも知れないので、シミュレーションして確かめてみよう。

    時系列データの相関係数はあてにならない
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    REV 2017/01/20
    “戦後、一人あたりの米の消費量は減少し、コンピューターの普及台数は飛躍的に伸びたが、この二つの現象を結びつけて考える人はいない。しかし、米の消費量とコンピューターの普及台数は、高い相関を持つ事になる”
  • アベノミクスで自殺が減ったと言う前に

    WLK さんのコメント... >実は計量分析で景気と自殺率の関係を割り出すのは、かなり苦労する。そして推定される効果量も、意外と小さいものだったりする 性別年齢階級別に分解すると自殺死亡率の長期の傾きは正負混在しています。ご参考まで。 http://www.ism.ac.jp/risk/suicide/visualize/pdf/fig2-b.pdf 男性の場合を年齢効果・時代効果・コーホート効果に分解した研究では、時代効果の最大値は年齢効果、コーホート効果の最大値より小さくなっていました(2004年の論文)。これもご参考まで。 http://www.hws-kyokai.or.jp/pdffiles/200402-03.pdf >統計上の動機は死んだ人が申告しているわけではなく、周囲の推測でしか無いと言う事であろう。 これについては 精神保健研究 ISSN 0915-065X 第16号

    アベノミクスで自殺が減ったと言う前に
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    REV 2017/01/20
  • 『優生学と人間社会』を読んで左派のレッテル貼りを検証したら

    ネット界隈の左派が自明の禁忌としているものの一つに優生学があり、生命倫理や介護医療などで気に入らない言説に優生学だとレッテルを貼って回っているところがある。ナチス・ドイツの行なった障害者の安楽死計画と同じだと言いたいようなのだが、それにしては広範囲に適用し過ぎなところがあるし、彼らは妄信的かつ短絡的な議論しかできないので、その理屈を汲み取るのは難しい。そこで『優生学と人間社会』を読んで、優生学が禁忌とされる事情を確認してみたら、もっと大きな倫理的な話題が議論されていた。 書は優生学と優生政策の歴史を俯瞰することから、近年の生命科学の発達における倫理的問題に示唆を得ようとするで、イギリス、アメリカドイツ、北欧、日について詳細に記述されている。分類すると生命倫理のになるであろう。四人で章を分担して執筆しているがまとまりはあり、関連する科学や社会での各種現象に広く触れている。著者の間で

    『優生学と人間社会』を読んで左派のレッテル貼りを検証したら
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    REV 2016/12/25
    広い意味では「生殖の科学」を「優生学」と言うが、狭い意味では、『種の改良を目的とした、ニセ科学に基づく社会改良運動』を『優生学』と言ってる予感。
  • ドイツ近代史を手軽に確認するための四冊

    自分と政治的意見が異なる人間を、安易にレイシストやヒトラーと罵る左派の人々はよく見かける。あまりに安易にレッテルを貼るので、レイシストのヒトラーがどういう行為を行ったのか、ヒトラーが権力を握るまでのドイツ政治がどのような経緯を辿っていたのか、どうも彼らは良く理解していないようにすら感じる。逆に、安易に外交的妥協を批判する人々もいるのだが、対外強攻策を突き進んでいったドイツがどういう結果になったのかが、顧みられていないのが気になる。そういう自分も流れとして追えているわけではないので、新書四冊でドイツ近代史を確認してみた。何だかんだと現代の政治や思想に影響を与えているドイツ近代史が、こういう事になっているのだと分かるので、ネット界隈の右派や左派の人々にお勧めしたい。 一冊目は『ビスマルク - ドイツ帝国を築いた政治外交術』で、ビスマルクの伝記ではあるものの、プロイセンが中心となってドイツ帝国が

    ドイツ近代史を手軽に確認するための四冊
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    REV 2016/12/25
  • 「Aを批判するものは、Bも批判すべし」論法の意味すること

    ネット左派の「疑似科学を批判すべきならば、優生学も批判すべし」と言う議論からの展開だと思うが、「Aを批判する者は、Bも批判すべし」などと言う主張をする人を、「そもそも何を批判したいかわからない」「人格としては信用しない」と主張している人がいる*1。婉曲的な表現ではあるが、大抵のケースではそう不明瞭な主張ではないので指摘したい。大抵のケースでは「Aを批判する者は場当たりな道徳判断をしている」と主張していると捉えることができる。 Aを批判すると言う行為は、Aが規範に照らし合わせて問題があると言う判断を下していることを含意している。BがAと同様の性質を持つのであれば、Bも規範に照らし合わせて問題があると判断を下せるはずだ。Aを批判している者が、Aは問題だがBは無問題だと考えるとき、AとBは異なる性質を持つか、批判者の規範に普遍性が無いことになる。元の議論で言えば、疑似科学と優生学の違いが示されな

    「Aを批判するものは、Bも批判すべし」論法の意味すること
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    REV 2016/12/01
  • 助かるはずなのにホメオパシーで死んだ乳児はいる

    人気ブロガーだったイケダハヤト氏がホメオパシーが効くと言い出しネット界隈で非難されて、「ネット民はホメオパシーに親でも殺されたの?」と言い出した。何となく炎上マーケティングな気もするのだが、ホメオパシーに子どもを殺されたと思っている人がいることは、良く認識した方が良いと思う。もう忘れたのだと思うが、山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故のことだ。助産師が引き起こした事故であるため、日学術会議の金澤一郎東大名誉教授が声明でホメオパシーを非難するに至った。 代替医療自体に大きな弊害がなくても、それを試す事で適切な治療の機会を失う事がある。少しでも効果がありそうな主張をしている人々を非難するのは無意味とは言えない。蚊ならともかく、ムカデや蜂に刺されたときに効くと主張しているので、イケダハヤト氏の主張も弊害が大きい。例えばスズメバチに刺されたとすると、運が悪いとタイムリミットは一時間も無いそう

    助かるはずなのにホメオパシーで死んだ乳児はいる
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    REV 2016/10/16
    「人気ブロガーだったイケダハヤト氏」「人気ブロガーだった」「だった」 / 要は、俺は体験者だから喋る、お前は当事者じゃないから黙ってろ、っていういつものアレ。
  • 私は数式アレルギーの文系でして(ヘラヘラ

    数学ガール」で有名な文筆家の結城浩氏が『「私は数式アレルギーの文系でして」とへらへら笑う大人に耳を貸すな。』と言うエントリーをあげている。嗚呼、これ私のことだなと思った。難しい数式は読む気もないし、しっかり数学を学ぶ気は無い人で、ある意味、標準的な成人だ。数式を見ていると、息切れ動悸で苦しい。数式を見ていなくても、最近、そういう気がするが。さて、批判されている人々を勝手に代表して、返事を書いてみたい。 1. 数学を学ぶ機会は理文ともに限られる 「あなたはどんな意味でそれを言ってるの?」と言う問いがあるのだが、“文系”と言うところで難しい数学を使って説明されても理解するような学問的修練を積んでおらず、“数式アレルギー”で数学が出てくると強いストレスを感じる事を明言している。私に何かを理解させるとして、数学を使わないで済むのであれば、その方が望ましいと言うことだ。安息するために言っているわけ

    私は数式アレルギーの文系でして(ヘラヘラ
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    REV 2016/08/02
  • 空っぽのリベラルの心に魂を埋めるために

    で「リベラル」を自称する人々の思想的背景は、大学で習うような伝統的な哲学や倫理学とは関係がなく、社会運動をしていく中で培われたモノだと言って良いと思う。この傾向に問題を感じる「リベラル」もいるらしく、その主張を正当化するために倫理学方面の議論を参照しようとしているのだが、浮いた感じの議論になっていて宜しくない。流行りものに取り付かれていて、伝統的議論からの乖離してしまっている。少しはまともな議論が出来るように、簡単な文献を紹介してみたい。 1.『倫理学の話』 最初に読むべきは『倫理学の話』だ。2015年11月に発売された新しいで、かなり意欲的な構成になっている。倫理学者が書いていて、記述が平易で、辞書的に使える。功利主義など伝統的な議論はもちろん、ロールズ、リバタリアニズム、「NHK ハーバード白熱教室」に出演していたサンデル教授のコミュタリアン、そしてデリダまでが──普通の話をして

    空っぽのリベラルの心に魂を埋めるために
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    REV 2016/01/03
  • 不正の糾弾よりは、片っ端から再現実験をするのが世界の流れ

    下村文科相の意向と理研の対応はともかく、研究自体が虚構であった可能性を前提に、不正追求を徹底すべきと言う論調になってきたSTAP幹細胞事件*1だが、個別の事件で大騒ぎするのは、米国と比較すると何歩も遅れている。生命科学が特にそうらしいのだが、無数の不正があるわけで、片っ端から検証していき、さらには再現実験を行う動きが出てきているからだ。 小保方事件の前にも後にも、捏造事件は多々ある。広く報道されたもので、東京大分子細胞生物学研究所・加藤茂明元教授、東京大学附属病院の特任研究員・森口尚史氏、東邦大学医学部・藤井善隆准教授、東北大大学院歯学研究科・上原亜希子助教、筑波大学・村山明子講師が思い浮かぶ。日がひどいように思えるが、世界的にも少なく無い*2。これだけ不正が横行するのは、発覚しても罰則がせいぜい学術分野から追放されるだけ*3なのに対して、発覚する確率が低いからであろう。 しかし、The

    不正の糾弾よりは、片っ端から再現実験をするのが世界の流れ
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    REV 2014/08/07
     空飛ぶスパゲティモンスター説はでっちあげと糾弾するより、片っ端から不在証明するのが世界の流れ。向かいのホーム 路地裏の窓 こんなところにいるはずもないのに♪
  • あなたが知らないランダム化比較実験にある落とし穴

    女性だけで見ると、トリートメント群の成功率が低い。 トリートメント群の成功率が低い男性と女性のデータをあわせると、トリートメント群の成功率が高い全体のデータができてしまう。一体何が起きているのであろうか? 数字を注意深く見ると男女は80づつで同数で、トリートメント群とコントロール群も80づつ同数だが、男性のトリートメント群と女性のトリートメント群、男性のコントロール群と女性のコントロール群の数が異なる事が分かる。不十分な層化抽出方法だと、こういった偏りが出て来やすい。 単なる確率的な偏りだけではなく、調査員や被験者の行動によって偏りが入り込む可能性もある。論文では中国のメガネによる視力矯正の効果を測る実験の例があげられていたが、調査員の男女に対する態度が異なっていたようだし、教員や村の重鎮の子供はメガネを受け取らなかったそうだ。 RCTとは言え、しっかり層化抽出をしないと結果は信頼できない

    あなたが知らないランダム化比較実験にある落とし穴
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    REV 2014/07/14
    「頭の体操」の、「碁石箱に入った白石、黒石を任意に分けて、目隠しして石を一個取る。黒石を取る確率を最大化するには?」「一つの碁石箱に黒石一個、もう一つの碁石箱に残り全部」思い出した。
  • 囚人のジレンマを実際に囚人で試すとどうなるの?(カタカタカタ

    二人の被疑者が拘束されていて、それぞれ個別に隔離されて尋問されている。両方が黙秘すれば、二人とも微罪。一人だけが自白すれば、黙秘したもう片方は極刑だが、自白者は無罪。二人とも自白すれば、二人とも重罪。このとき二人とも黙秘を続けられず、二人とも自白してしまう。こういう現象を囚人のジレンマと言うのは、よく知られていると思う。 この囚人のジレンマの実験を、実際に囚人を使ってやってみた研究であるKhadjavi and Lange(2013)がBusiness Insiderで紹介されていた。 残念ながら刑期をかけた自白実験ではなく、コーヒーやタバコを報酬にした文字通りのゲームで、女囚と学生を比較したものだ。個人ブログ並みの釣りタイトル(Prisoners and their dilemma)にやられた感があるのだが、それとは別に実験結果は興味深いものとなっている。 実験は同時手番ゲームと逐次ゲー

    囚人のジレンマを実際に囚人で試すとどうなるの?(カタカタカタ
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    REV 2013/11/14
    「驚くべきことに同時手番ゲームでは、囚人のジレンマを回避する協力行動を、学生の37%、囚人の56%が行った。逐次ゲームでは、学生の63%が協力行動を行い、囚人はほぼ同様の数字だったという。」 次は共有地ゲームを
  • 汝、ランダム化比較試験を知ることなく現代科学を語ることなかれ

    これを知らずに現代科学は語れない、魔法のツール、ランダム化比較試験(RCT)を説明してみたい。 この世には様々なバイアスがあるのだが、疫学データには特に入り込みやすい。酒と健康の関係を考えよう。酒量が多い人と、酒量が少ない人を比較すると、前者が後者より健康だったりする。これで酒は健康にいいと結論づけていいのであろうか? 1. 逆向きの因果など、この世にバイアスは多い もちろん駄目だ。不健康な人は酒を控えるから、酒量 → 健康と言う因果関係だけではなく、健康 → 酒量と言う因果関係も成立してしまう。これを同時性と言う。相関関係を見ることができても、因果関係を特定する事ができない。ではデータからは、因果関係は分からないのであろうか? 2. 未知の要因は理論的に分類やコントロールができない そんな事はなくて、健康状態をコントロールできれば分かる。健康で酒を飲む人と、健康で酒を飲まない人を比較し、

    汝、ランダム化比較試験を知ることなく現代科学を語ることなかれ
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    REV 2013/07/06
    「因果関係を証明するのに必要なもの」って、学問の分野によって違うからな。RCTが必要な分野もあれば、読んだ原書の厚さとか、単著の数とか、たましいのかたちとか。映像記録がなくても証言があれば充分な分野も
  • 疑似科学を統計学的に否定すべき理由

    擬似科学ニュースが「統計的有意性がないという理由で、疑似科学を否定するのは間違っている」と主張している。 主張されるモデルの説得力が重要だと言いたいようだが、統計的有意性が重視されるのが現代科学なので、この主張に納得する科学者は少ないと思われる。 基的な科学的事実の認定方法を確認して、疑似科学に騙されない心構えを鍛えよう。 1. 理屈ではなく事象を重視するのが科学 メカニズムが説明されていないけれども、現象が確認されている事は少なくなく、理論モデルで説明できる事象だけを科学とすると、疑似科学でないものまで排除されてしまう。薬は生理作用が不明な事も多い。19世紀末に商品化されたアスピリンは70年間も生理作用が不明だったが、効果は認定されていた。インフルエンザ・ウイルスの体内での活動はまだ研究されているが、病原としては認定されている。重力も理屈は未確定*1だが存在を疑う人はいない。 2. 先

    疑似科学を統計学的に否定すべき理由
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    REV 2013/07/06
    「こうしておけば理屈の上では完全無欠の予定説も、科学的に肯定する必要が無くなる事は注意されたい。」
  • 理論と現実が矛盾したら、理論が間違っている

    疑似科学ニュースから科学と統計は同じものだと考えているのかと言う質問が来ていて、実は回答済み*1なので様子見していたのだが、再回答してみたい。理論と現実が矛盾したら、常に理論が間違っていると考えている。 現実の観測には困難が付きまとうわけで、バイアスや誤差を考えると観測データを信じていいのかと言う問題は残る。統計学が観測データの見方を教えてくれるわけだが、データが限られている場合は限界がある。それでも実験データ、疫学データなど複数の分析結果が同じ方向を向いていて、それが理論と相反していれば、理論が間違っていると考える方が妥当なはずだ。 1. 統計データにも信頼性の差がある 統計や計量は、誤差などを含む観測データから「事象」を切り出す手法だが、信頼性の高いランダム化対照実験(RCT)*2もあれば、解釈に注意がいる単回帰分析まで手法は幅広い。現実優先と言っても、計量データにも重みがあると言う事

    理論と現実が矛盾したら、理論が間違っている
  • 行動生態学の授業でゲーム理論を演じさせられる

    通常の大学の試験では周囲と協力して解答を書くことは禁じられているが、UCLAのPeter Nonacs教授は行動生態学の授業で、グループで議論して解答する事を許してみたそうだ。つまり学生を被験者とする行動生態学の実験を、試験時間を使ってやってみたと言う事らしい(POPSCI)。 授業は医学、歯学、薬学などの学生の初級コースで、学生に行動生態学者として思考することを求めているそうだ。行動生態学ではゲーム理論を使って、なぜ蟻の巣があのようになるか、どのぐらいウイルスは宿主に有害なのか、どのように人間社会が組織され機能する事など、生物の行動を記述している。 さて、この行動生態学の教授は、試験が教育ゲームがどのように進むか測る良い方法だと思いついた。教授は教育の成果を評価するために試験を行う。学生は良い成績を得るために試験を受ける。教授と学生の目標は同時に最大化されるであろうか。もし学生に自由にさ

    行動生態学の授業でゲーム理論を演じさせられる
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    REV 2013/07/01
    「あ、カンニングを通報したら10点をやろう」
  • 片瀬久美子のLNTモデルの説明の良く分からない部分

    疑似科学ニュースのエントリーについて書いていたら、サイエンス・ライターの片瀬久美子氏が「私の記事の方をちゃんと読んで欲しい」とコメントされていた*1ので、「放射線の健康影響をめぐる誤解 - その2.線形閾値なし( linear no-threshold: LNT )モデル」を拝読した。なるほど、疑似科学ニュースの批判はずれているようだ。しかし、片瀬氏の文章にも問題がある気がしなくも無い。 追記(2013/06/22 14:54):片瀬氏にTwitterで、「LNTモデル科学的知見を参考にして策定されたものだが、ALARAと組み合わせて使う実務的な道具であり、さらに今後の放射線影響の研究の進展によって改訂/訂正されうると見なしている。また、LNTモデルの対立仮説の支持も否定もしない」と立場を確認した。 1. 列挙している情報に整合性が無い 片瀬氏は第一段落で、全米科学アカデミーのBEIR V

    片瀬久美子のLNTモデルの説明の良く分からない部分
    REV
    REV 2013/06/22
  • 乙武騒動で考える;差別禁止に事情や理由は関係ないと言う主張について

    銀座のレストランtrattoria GANZOに予約を入れていたものの、オーナー・シェフに当日に車椅子だと知らされても対応ができないと言われて入店を拒否されたと、作家の乙武洋匡氏が嘆いていた(Twitter)。店舗側の謝罪で決着したのだが、色々な人の興味関心を惹いた様だ。 欧米と比較して日のバリア・フリー化の遅れを嘆く声*1と同時に、理屈抜きで車椅子ユーザーへの軽蔑的な態度が見られると批判している福祉の専門家らしい人がいた。しかし、今回の「差別」は態度の問題なのであろうか? 1. レストランが車椅子にすぐに対応できるかは疑問がある 二階の店舗まで狭い階段と廊下を、総重量130Kgと見られている電動車椅子と乙武氏を運ぶには、大人4人が必要になるそうだ。繁忙時にオーナー・シェフ他の従業員3名しかいない店舗だと不可能に思える。 乙武氏は体だけ運ぶように要請したらしい*2が、一階の廊下のスペース

    乙武騒動で考える;差別禁止に事情や理由は関係ないと言う主張について
    REV
    REV 2013/05/21