<日本の大学では90年代以降、大学教員に占める非常勤講師の割合が急増し、待遇の悪さなどから講師の間に不満が高まっている> 京都大のiPS細胞研究所の助教が、論文の捏造と改竄が見つかって懲戒解雇された。有期雇用で「成果を出さなければ契約が更新されない」という焦りがあったのではないか、と言われている。最近の大学では不安定な有期雇用のポストが増え、多くの若手研究者が不安を抱えながら研究に励んでいる。 教壇に立つ教員も同じだ。大学の教員は、専任教員と授業をするためだけに雇われている非常勤講師の2種類に分かれるが、近年では後者の比重が増している。2016年の統計で見ると、専任教員(1)が18万4273人、非常勤講師が16万2040人だ。現在では、大学教員の半数近くが非常勤講師ということになる。 非常勤講師は、作家や研究所勤務などの本業がある「本務あり非常勤講師」(2)と、それがなく薄給の非常勤講師を