昨年、高速船「テクノスーパーライナー」の挫折が大きなニュースになった。国が推進し、116億円を投じて建造した小笠原行きの高速船があまりに不採算なため就航できなかった。軍用を含む他の用途に使うこともできず、今も造船所に係留されたままだ。投資額こそ2桁少ないものの、東京湾アクアラインや本州四国連絡橋に匹敵する失敗である。 航空機を目指した高速船 根本的な原因は、空気圧で浮上する仕組みを使った高速船の航行システムにある。ペイロード(乗客などから料金を取れる積載重量)より燃料の方が重いシステムを採用していたのだが、現在の輸送機器で燃料の方が重くとも採算がとれるのは航空機だけ。それは、時速850キロメートルという高速で移動できるからだ。 高速船といっても、航行速度は航空機の10分の1以下でしかない。その程度の速度の輸送機器では、「燃料の方が重い」などということは許されない。このことだけでも、テクノス
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