国内の宇宙科学研究の中枢・宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスは、小惑星や月などに旅だった探査機や衛星を操る「宇宙の司令塔」でもある。世界に先駆けた成果を次々に出している同キャンパスの研究者らの活動を追った。 「エンジン止めろ」。3月27日、相模原キャンパス・運用管制室から指令が送られた。 約3億キロ・メートル離れた小惑星「イトカワ」をたち、地球に向かう小惑星探査機「はやぶさ」(最長5・7メートル、重さ約500キロ)はエンジン噴射をやめた。地球に近づき、慣性飛行と微調整で大気圏に突入できる見通しになっていた。 「イトカワの砂は採取できただろうか」。搭載しているイオンエンジン開発者で、指令を出した宇宙機構の国中均教授(49)は思いを巡らした。 ◇ 相模原キャンパスは、小惑星探査に必要な技術を実証するために開発されたはやぶさや、金星の大気運動を調べる金星探査機「あかつき」などの拠点