昨年9月から、私の会社での役割が大きく変わった。 クックパッドのミッション「毎日の料理を楽しみにする」を世界中に伝える「エバンジェリスト(伝道師)」という肩書きが付いたのだ。私はこれまで以上に「毎日の料理」っていったい何なのか、より深く考えるようになった。 そうはいってもコロナ禍で、これまでのように気軽にあちこち現場を訪れることはできない。家にこもって仕事をすることが多い中、仕事仲間が勧めてきた動画に思わず心が踊った。 日本人が英語で「出汁(だし)」について実演している動画だ。いうまでもなく出汁は和食の真髄。でもその動画がユニークだったのは、単なる調理法ではなく、ストーリーを語っていたことだ。 出汁とは何か、昆布や鰹節はいったいどんなもので、どこでとれて、どんなふうに扱うのか。食材が持つ奥深い背景までも事細かに、時には他の国の家庭料理と比べながら、とてもロジカルにそして丁寧に説明していた。