見過ごすわけにいかない。 衆院憲法審査会での自民党中谷元氏の発言である。地方自治に関連して「地域に主権があるとはおぞましいことだ」と述べた。 「国と地方の在り方」をテーマに開いた審査会である。参考人として招いた4人の専門家から考えを聞き、意見を交わした。 その中で明治大の大津浩教授はこう述べた。 地域主権には国民主権をより豊かにする意味がある。地域に暮らす市民が地方の政治に参加することを通じて国をよくしていく、という考え方は重要だ―。 「おぞましい」はこの見解に反論する中での発言だ。中谷氏は「国の安全保障と、生命、暮らしを守る地方権限のあり方について、憲法にあらかじめ明記する必要がある」とも述べた。 主権はあくまで国のもの。そのことを改憲ではっきりさせたい。そんな発想と受け取れる。 その考えは正しいと言えるのか。答えは無論ノーだ。 主権者である私たちは国民であると同時に地域