この間、とある本を、タイトルにはなんとなくおぼえがあるけど、あらすじにはまったく記憶がないので、たぶん読んでないんだろう、と思って、そのまんま、既視感もなく、展開も予想できないまま、読み終わって、解説にいたってから、読んだらしい、と気づいたことがありました。友桐夏『春待ちの姫君たち (創元推理文庫)』。大幅に改稿、とはいえ……。 また、別の本を、これ読んだんじゃないか、と疑いつつ、展開はまったく読めずにいたら、とあるシーンで、これぜったいに読んだという確信をえたものの、やっぱりラストまで予測がつかないまま楽しく読み終えました。若竹七海『悪いうさぎ (文春文庫)』。 唯一、おぼえがあったシーンは、主人公がオレオの食べ方をつっこまれるところ。 「葉村さんさあ、オレオの食べ方ヘンくない?」 「どこがよ」 「はがして中のクリームだけ食べて、あとから外側の黒いとこ食べるなんてさ」 いや、うん、オレオ