「一度、はやぶさ2プロジェクトは立ち止まろうと思います」――。2018年10月11日、記者会見に登場した宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)「はやぶさ2」プロジェクトチームプロジェクトマネージャの津田雄一氏はこう切り出した(図1)。 JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」のミッションは、前回紹介したように、生命誕生のカギを握る水や有機物の存在が期待されるC型小惑星「リュウグウ」から、その“かけら”(物質)を持ち帰ること。できることなら、そのかけらを複数地点から、さらには小惑星内部の物質も含めて採取することを使命とする。このため当初の計画では、2018年10月後半に1回目のタッチダウン(着陸)を行い、それを含めて2019年5月ごろまでに最大3回のタッチダウンを実施する構想を描いていた。だが、リュウグウの状況が良く分かってきたことで、その計画をそのまま推し進めることはリスク