『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』(室橋裕和 著)辰巳出版 性病の病院の巨大なネオン看板や陰気な連れ込み旅館、夜になると現れる外国人の街娼たち……。ひと昔前の大久保・新大久保は、JRの駅が二つもありながら翳りのある雰囲気の、裏歌舞伎町の趣があった。 それが2002年の日韓W杯やその後の韓流ブームで一変し、コリアンタウンとして観光地化する。 ……といったあたりで認識が止まっている人も多いのではないだろうか。 実は現在、この界隈は多国籍の街になっている。 本書によると2011年の原発事故で多くの外国人留学生が帰国したため、政府がその穴埋めにとベトナムなどのビザを緩和したのがきっかけだという。 だから韓国のコスメやフードの店が並ぶ「イケメン通り」も賑わうが、本書のカバーに写る「イスラム横丁」も盛況だ。ここにはムスリムのための食材店や礼拝堂があるのでそう呼ばれるが、ベトナムやネパールなどの店も