岡山理科大学の林昭次准教授らは東京大学などと共同で、鹿児島県の奄美大島などに生息する国の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」が、他のウサギに比べて約5倍も成長に時間がかかることを突き止めた。外敵の少ない環境に適応したとみられる。外来種の流入や環境変化への対

インタビュー 奄美大島のマングース根絶、多難な道のりと外来生物のこれから 2025.01.06 関本一樹 / サイエンスポータル編集部 2024年9月3日、東シナ海に浮かぶ鹿児島県奄美大島において、生態系に大きな被害をもたらしたフイリマングース(以下「マングース」)の根絶が宣言された。外来種の根絶事例は世界にいくつか存在するがいずれも小規模で、東京23区よりも広い奄美大島全島級は世界初だといわれる。猛毒のハブ駆除のためにわずか30頭程度のマングースが放たれてから、実に45年目の出来事。根絶に至るまでの多難な道のり、そして外来生物問題のこれからを2人のキーパーソンに語ってもらった。 「早くやめたら?」と言われ続けた(阿部愼太郎さん・環境省 奄美群島国立公園管理事務所) ―阿部さんがマングース防除に取り組んだきっかけを教えてください。 大学を卒業し、民間企業に就職した1988年に奄美大島へやっ
令和6年9月3日(火)に開催された奄美大島フイリマングース防除事業検討会において、令和5年度末までの防除作業の確定値を踏まえた根絶確率の推定結果を基に、科学的見地から特定外来生物フイリマングースが根絶に達したと評価することが妥当であるとの評価が下されました。 環境省においても、上記検討会の評価に加えて関係機関からの意見も踏まえ、根絶したと判断することが適当と考えており、本日、フイリマングースが奄美大島から根絶されたことを宣言します。 フイリマングース 食肉目マングース科の1種で、原産は中東から中国南部、南アジアの広い範囲に生息しています。 全長はオスで60cm、メスで50cmほど、ニホンイタチの一回り大きいぐらいの大きさです。生まれた翌年の繁殖期(奄美大島では主に3月~9月)には妊娠、年に1回程度、2~7頭程度を出産します(平均2.26頭)。 フイリマングース(以下「マングース」という。)
原始的な姿を残す「生きた化石」のアマミノクロウサギに、「日本一美しいカエル」と呼ばれるアマミイシカワガエル。世界自然遺産の鹿児島県奄美大島で観察できる数々の希少種は、かつて姿を見るのが難しいほど減っ…
沖縄県の西表島(竹富町)に生息する国の特別天然記念物で絶滅危惧種のイリオモテヤマネコとカンムリワシは、食物連鎖の頂点にいるにもかかわらず、互いに競合しないで餌を分け合っていることを、琉球大学などの研究グループが明らかにした。フンに含まれるDNAから食性を解析し、季節を違えて同じ種類の餌を食べていることがわかった。沖縄には相互扶助の「ゆいまーる」という文化があるが、2種も同様の形で生き残ってきた。 イリオモテヤマネコ(左)とカンムリワシは季節でエサを食べ分けて共存できていることが分かった(イリオモテヤマネコ:琉球大学理学部動物生態学研究室提供 カンムリワシ:沖縄こどもの国提供) 食物連鎖の頂点同士の共存 世界自然遺産である西表島は沖縄島から約400キロメートル離れており、島の大半を環境省・林野庁が管理している。独自の生態系が存在し、県内の他の離島に比べて手つかずの自然が残る。この西表島で食物
「清流のアユ」が世界農業遺産に認定されている長良川で、北米原産の特定外来生物、コクチバス=写真、岐阜県提供=が相次ぎ見つかった。肉食で繁殖能力が高く、アユなどの生態系を脅かす恐れが高い。岐阜県は、国内の成功例がないとされる河川での「完全駆除」に乗り出した。 コクチバスは、類似のオオクチバスと並びブラックバスの通称で知られる。大正期に釣りや食用として国内に持ち込まれた。低水温や急流にも強く、天竜川(長野県)や那珂川(栃木県)などでアユへの食害が確認されている。 岐阜県内では、伊自良湖(山県市)で20年ほど前に初めて見つかったが、その際は水抜きをして駆除に成功。しかし、ここ数年、揖斐川や木曽川で見つかり、長良川でも昨年5月、美濃市内で初めて確認された。岐阜や郡上市でも報告が続くなど、アユ漁や鵜(う)飼いへの影響が危惧されている。
群れをなして行動する西表島のノヤギ=2023年5月9日、西表島東部のホネラ付近(環境省西表自然保護官事務所提供) 西表島で増加している野生化したヤギ(ノヤギ)について考える勉強会(主催・環境省西表自然保護官事務所、竹富町農林水産課)が9日と10日、離島振興総合センターと中野わいわいホール、竹富町役場で開かれた。地元関係者や有識者らが参加し、島内での侵入状況などについて情報共有を図り、防除と適正飼育を早急に進めていくことを確認した。 西表島では近年、西表東部を中心にノヤギの侵入・繁殖が確認されており、▽植生を食べつくすことによる生態系への被害▽踏みつけによる土壌流出・サンゴ礁への被害▽農作物への被害▽ふん尿による公衆衛生の被害―等が懸念されている。 西表自然保護官事務所によると、昨年ノヤギに関する情報は個体確認、痕跡確認含め95件で、2019年の9件から大幅に増加。東部の古見岳周辺で目撃情報
かつて絶滅のトキ保全、ESG債が一翼担う-発行ラッシュの日本で Ken McCallum、Ayai Tomisawa 日本ではESG(環境、社会、企業統治)債の発行が海外を上回るペースで増えている。こうした債券で調達された資金の一部は、環境破壊の影響を受けた生態系の保全や回復にも活用されつつある。 石川県はトキが生息していた環境の保全・継承などに充てるため、同県として初のグリーンボンド(環境債)を発行する。主幹事のみずほ証券が19日に明らかにした。年限は5年、発行額は50億円で、利率などの発行条件は来年2月ごろに決める見通しだ。 石川県によると、日本のトキはかつて能登半島をはじめ全国に生息していたが、乱獲や環境破壊で2003年に絶滅した。その後、中国から提供を受けて復活し、石川県では10年に鳥インフルエンザなどからの保護を目的に新潟県の佐渡から4羽を移送したことで飼育が再開した。県は早けれ
岐阜県の長良川でアユなどが食べられるのを防ごうと県は上流の郡上市にあるため池の水を抜いて外来種のコクチバスを駆除しました。 池からは10月3日までにおよそ670匹のコクチバスが見つかったということです。 ブラックバスの1種で外来種のコクチバスは、2023年5月以降、岐阜県内の長良川や木曽川で確認されていて、県などはアユなどが食べられるのを防ごうと駆除を進めています。 その一環として長良川の上流にある郡上市白鳥町中西のため池で、ほぼすべての水を抜いてコクチバスを駆除することになり、10月3日は県や漁協関係者などおよそ60人が集まりました。 9月中旬から水が抜かれ13メートルほどあった水深がけさの時点では1メートルほどまで下がっていて、集まった人たちは残った水の中に網を入れ、コクチバスなどの外来種のほか、アブラハヤやドジョウなどの在来種の魚を捕獲していきました。 その後、ポンプを使って池の水を
長良川の流域にある郡上市のため池で一斉に駆除された外来種の「コクチバス」について、岐阜県の水産研究所が生育状況などを調べた結果、おととし夏以降に密放流され、去年から繁殖が始まったとみられることがわかりました。 外来種のブラックバスの一種、コクチバスは、ことし5月に長良川では初めて美濃市で1匹が確認され、郡上市の長良川流域にある農業用のため池でも稚魚を含む100匹近くが見つかり、県などが7月27日、一斉駆除を行いました。 県の水産研究所が駆除した76匹の生育状況を詳しく調べたところ、生まれて2年未満の若い個体が67匹、4年以上の高齢の個体が9匹でした。 コクチバスは毎年繁殖しますが、この中間の年齢層の個体がいないという不自然な構成から、繁殖が始まったのは去年からとみられることがわかったということです。 また、コクチバスの繁殖期は春のため、今回駆除された高齢の個体はおととし夏以降から去年の春ま
大きくなって帰っておいで――。こんな書き出しで盛んに新聞記事にされた、子どもたちによる日中の「ウミガメ放流会」への疑問が、関係者の間で高まっている。「日中に放流してもほぼ死ぬ運命。やめた方がいい」。奄美海洋生物研究会の興克樹会長(52)は、5月25日にあった鹿児島県とウミガメが産卵する沿岸の32市町村の県ウミガメ保護対策連絡協議会で訴えた。ふ化したカメの生き延びる可能性が大きく低下するためという。 興会長によると、卵からふ化したウミガメは24時間以内に沖まで出ないと、体力を失って生き残れない。自然状態では真夜中などに浜から一目散に泳ぎ出す。それが、日中まで待って放流すると、その段階で何時間もロスしているうえ、日中は魚や鳥の活動時間帯に当たり、大半が餌食になるという。
外来マングース、奄美で根絶目前 希少種の天敵「元の自然に」―駆除にジレンマも・環境省 2023年05月05日07時12分配信 鹿児島県・奄美大島の外来種マングース=2005年3月(環境省奄美群島国立公園管理事務所提供) 世界自然遺産の鹿児島県・奄美大島で、環境省が駆除を進める外来種マングースの根絶が目前に迫っている。島の希少な固有種を捕食する問題が起きたためだが、もともとは人を襲うハブの駆除を期待して持ち込まれた経緯がある。関係者らは「人の都合でこうなった」とジレンマを抱えつつ、世界有数の多様な生態系を守る活動を続ける。 <動物関連ニュースをもっと読む> 奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長によると、マングースは1979年、約30匹が同県名瀬市(現奄美市)で放され島に定着した。しかし、ハブ駆除への効果はなく、より捕食しやすい希少種を襲うことが判明。アマミノクロウサギなど島固有の絶滅危
ドローンで上空から見た釧路湿原周縁部に稼働中の太陽光発電施設と大規模な計画の予定地(右上)。後方には雌阿寒岳の山並みが見える=北海道釧路市で2022年12月16日、市民提供 北海道東部の釧路湿原国立公園(釧路市、釧路町、鶴居村、標茶町)の南側周縁部の原野で、大規模な太陽光発電計画が水面下で進んでいる。予定地の大半は、氷河期の遺存種である両生類・キタサンショウウオが生息する湿原だ。国内でほぼ釧路湿原に生息が限られる種だが、2年前に改訂された環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB(EN)にランクが2段階引き上げられた。絶滅の危険度が一気に2ランクも上がった背景に太陽光発電の建設ラッシュがある。国立公園に隣接する貴重な湿原が太陽光発電に侵食され続ける現状に、市民は「このままではソーラーパネルの海になってしまう」と懸念の声を上げる。【本間浩昭】 資源エネルギー庁が11月に公表した6月末現在の10キロワ
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