労働経済学では、労働者個人に対してではなく、複数の労働者で構成されるグループに対してインセンティブを与えることによって生産性の上昇がもたらされることを明らかにする実証研究が多い。これは、労働者間での知識や技術のスピルオーバーが生じたり、社会的な規範・プレッシャーが存在することによる。これは子どもの学習には当てはまらないのだろうか。 本論文では、eラーニング教材「すらら」の学習者を対象に、2015年夏季に実施された学習時間と(ドリルの単元に相当する)ユニット修了数を競い合う「すららカップ」において、チームで参加する生徒らと、個人で参加する生徒らをランダムに振り分け、チームで参加する場合と、個人で参加する場合では、どちらが単位時間あたりのユニット修了数(=学習生産性)が高いかを比較した。また、このランダム化比較試験の結果をみると、チーム戦に割り当てられた子どもら(=処置群)のほうが、個人戦に割