1.はじめに本稿は、我が国の温州みかんに代表される柑橘分野における、スマート農業[1]の動向を展望するとともに、今後の柑橘栽培技術の更なる高度化や、果実品質の向上等に向けたIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)への期待について論じる。 2.我が国における柑橘生産額の現状まず、我が国における柑橘生産額の現状を展望する。農林水産省「果樹をめぐる情勢」(令和5年5月公表)によれば、農業総産出額8兆8,384億円のうち、果実(果樹)の産出額は9,159億円(農業総産出額の約10%)となっている。同果実(果樹)産出額に含まれる「みかん」の産出額は1,651億円(果実産出額の18%)であり、我が国の柑橘市場の規模(産出額ベース)は約1,600億円の規模となっている(図1)。 3.柑橘栽培の流れ(年間)本節では、年間の柑橘栽培の流れ、および果樹農家が直