「gettyimages」より 「上級国民」という言葉が一躍注目されている。4月に東京・池袋で死者2人、負傷者8人を出した自動車暴走事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)が現行犯逮捕されず、報道で「容疑者」ではなく「さん」「元院長」などの呼称が使われたのは、元官僚という「上級国民」だからだ、という憶測が広がった。 逮捕されないことや報道上の呼称については、それぞれしかるべき理由があるとして、憶測は否定されているようだ。けれどもこの出来事をきっかけに、一般国民にはない特権を持つ人々(上級国民)の存在がクローズアップされたのは、社会の仕組みを正しく知るために有意義だったといえる。 ネット上の議論を見ていると、上級国民とは根拠のない陰謀論の産物で、現実には存在しないと主張する向きもある。これは明らかに言い過ぎだ。上級国民という呼び名はともかく、国民が一部の特権階級とそ