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ブックマーク / kangaeruhito.jp (22)

  • 二十五、「教祖」になれない | お坊さんらしく、ない。 | 南直哉 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    修行を始めて5、6年経った頃から、各地の寺院の大きな法要の役目を仰せ付かったり、時には説教を依頼されたり、ということが我が身に起こるようになった。 すると、仕事が済んだ後、世に言う「打ち上げ」のようなことがあり、住職や主催者、あるいは先輩などに、 「いやあ、ご苦労さん! ここはひとつ、ゆっくりしてもらおう!!」 と連れ出されて、「慰労」のご馳走になったりする。 この「ご馳走」はまことに結構なのだが、多くの場合、事はこれで終わらず、引き続き「二次会」の流れとなる。で、その行先が、接待する女性のいる店だったりすると、これが時に問題になるのだ。 私は基的に下戸だ。愉快な場所に行くのはよいのだが、下戸の自分が接待してくれる女性のいる場所に行くと、客のはずの私が妙に彼女らに気を使ってしまう。つい、 「夜遅くまで大変ですね」 などと、言わなくて良いことを口走って、自己嫌悪に陥ったり、会話が乏しくなる

    二十五、「教祖」になれない | お坊さんらしく、ない。 | 南直哉 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    akihiko810
    akihiko810 2023/06/13
    南直哉、やっぱ面白れぇなー
  • 第7回 分裂――機械屋vs.レコード屋 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    1963年、日クラウンへ移籍 前回から間が空いてしまった。前回は、デビューから1963年の紅白初出場までを駆け足で辿ってきた。勢いがつきすぎて、きわめて重要なトピックに言及していなかったことに後から気づいた。 1963年の紅白初出場時には、北島三郎はすでに日コロムビアの専属歌手から、新たに設立されたばかりの新会社・日クラウンに移籍していたのだ。その経緯は後に詳述するが、レコード事業部長として常務取締役だった社歴40年の伊藤正憲(1900-1992)が、元大蔵事務次官の著名な財界人で、株主の意向でコロムビアに送り込まれた会長・長沼弘毅(1906-1977)と対立し、「勇退」させられたことにはじまる。伊藤を慕う有力な社員ディレクターたちは、彼の辞職を不服とし、彼らが担当する専属作家・歌手を引き連れて新会社・日クラウンを設立した。そのなかに、五月みどりや守屋浩と並んで北島も含まれていた、

    第7回 分裂――機械屋vs.レコード屋 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 第5回 「流行歌」の誕生――浪曲からロカビリーまで | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    録音と実演の分裂――「はやり唄」から「はやらせ唄」へ 今回は、昭和初期における外資系レコード産業の日市場参入と、「声はすれども姿は見えず」を特徴とする「流行歌」の成立について概観したうえで、そこから逸脱する雑多な実演に由来する要素が、戦後、部分的に取り入れられてゆく過程についてみてゆく。そのうえで、1962年の北島三郎のデビューを、そうした巷の芸態の流入と、レコード会社専属制度の動揺という文脈のなかに位置づけてみたい。つまり、サブちゃんの個人史ではなく、文化史および産業史に注目して、北島三郎登場の背景とその意義を探る、ということになる。 北島三郎の代表曲のレコードジャケット(著者私物、撮影・新潮社) 大正時代、関東大震災前後には、異種混淆的な実演に基づく音と声の表現の文化が形成されていた。浪花節、安来節(やすきぶし)、女剣劇、書生節、映画説明と和洋合奏、小唄映画、といった、在来の芸態に近

    第5回 「流行歌」の誕生――浪曲からロカビリーまで | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 十六、よい宗教、わるい宗教 | お坊さんらしく、ない。 | 南直哉 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    かなり前のことだが、当時世間を驚愕させる大事件を起こした宗教団体、いわゆるカルト教団に、友人が入信してしまったという若い女性に会ったことがある。 「私がいけないんです、なのに私だけ無事で……」 会って話し始めた途端に、彼女は泣き出してしまった。 「私が入るはずだったんです……」 上京して大学に入り、最初にできた友人が入信したという。ものの好みも家庭環境も似ていて、彼女と出会い、東京でひとり暮らしをする不安がどれほど軽くなったかわからない。そう私に語った。 彼女は、小さいころからファンタジー系の書物が好きで、長じてからは思想・宗教、また流行り始めていたスピリチュアル的な言説にも興味があったという。 ある日たまたま、大学の周辺で、少し風変わりなヨガのグループが参加者を募集していた。 「すごく熱心な勧誘で、しかも言うことが理路整然としていて、なんだか説得力があったんです」 少し覗いてみようかと思

    十六、よい宗教、わるい宗教 | お坊さんらしく、ない。 | 南直哉 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 第2回 女性と子どもにとってのリアルなディストピア | 文学は予言する | 鴻巣友季子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    (*連載について) SFから日常へ――ディストピアの曲がり角 ここで、ディストピアとSFの関係に少し触れておきたい。 ディストピア文学はもともと未来を舞台にすることが多いため、19世紀の最初期から、SF的なアイテムを導入することが多かった。これはハイテク機器を搭載して未来都市を描くヴェルヌの『二十世紀のパリ』からしてそうで、オーウェルの有名作『一九八四年』に出てくる国民監視のための「テレスクリーン」なども「未来」のわかりやすい表象だろう。ディストピア文学というのは、SFに間借りしたサブジャンルのようなところがあったと思う。 マスキュリンでSF的な作品群に始まったディストピア文学は、しかしフェミニズムの台頭につれて1980年代あたりを境に、フェミニンで寓話神話的な作品群への傾きを見せる。肥大した先端テクノロジーの支配と、人間味の欠如を描くのがディストピアの常道だったが、それが様変わりしてい

    第2回 女性と子どもにとってのリアルなディストピア | 文学は予言する | 鴻巣友季子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 第1回 俺がやらなきゃ誰がやる | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    著者: 輪島裕介 2022年にデビュー60周年を迎えた北島三郎。日の演歌界をリードしてきた不世出の歌手の名前と、「函館の女」「与作」「まつり」といった代表曲を知らぬ人はいないでしょう。しかし、そのキャリアや音楽的功績について、どれだけの人が正しく認識しているでしょうか――。著書『創られた「日の心」神話』で、演歌というジャンルの“起源”に鋭く斬り込んだ音楽学者が、「北島三郎とは何者か」という壮大な問いに挑みます。 音楽学者、北島三郎に挑む これから北島三郎について論じる。 いうまでもなく北島三郎は、現在日で活動する演歌歌手のなかでおそらく最も有名な、そして圧倒的に「大御所」感が漂う歌手といえる。レコードデビューは1962年なので、今年2022年に60周年を迎える。1960年代の「なみだ船」「兄弟仁義」「帰ろかな」「函館の女」、さらに70年代後半の「与作」など多くの有名曲を持ち、東映の任

    第1回 俺がやらなきゃ誰がやる | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 「コミュ力」が高い人は「共感力」が低い? | 斎藤環×與那覇潤『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』刊行記念特別企画 | 斎藤環 , 與那覇潤 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    著者: 斎藤環 , 與那覇潤 精神科医・斎藤環さんと歴史学者・與那覇潤さんの対談『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋 』(新潮選書、5月27日発売)の特別企画として、前々回 、前回とコミュニケーションにおける「共感」の問題について考えてきました。今回はさらに驚くべき「共感」の裏側が……!? 同書の中から、一部を再編集してご紹介いたします。 双極性障害にともなう重度の「うつ」をくぐり抜けた歴史学者・與那覇潤さん(左)と、「ひきこもり」を専門とする精神科医・斎藤環さん(右)。 「発達障害バブル」を考える 與那覇 「時代を象徴する病」であるかのように、この十年間で一気に注目度が上がったメンタルの病気は発達障害ですね。「アスペ」(アスペルガー症候群)のような略称がネットで広まり、2017年には岩波明さん(精神科医)の『発達障害』がベストセラーになりました。むしろ有名になりすぎて、なんで

    「コミュ力」が高い人は「共感力」が低い? | 斎藤環×與那覇潤『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』刊行記念特別企画 | 斎藤環 , 與那覇潤 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
  • 南直哉『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』試し読み | 南直哉 『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』 | 南直哉 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社

    著者: 南直哉 なぜ私は仏教を選んだのか? なぜ仏教でなければいけなかったのか? 仏教のどこに惹かれたのか――。 曹洞宗の総山・永平寺の門を叩いてから30年余。「恐山の禅僧」南直哉師が、出家以来ずっと続けてきた仏教探求の旅。その成果としてまとめられたのが、1月25日刊行の『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』(新潮社)です。 「私がねらうのは、ゴータマ・ブッダに淵源する、私が最もユニークだと思う考え方が、その後の言説においてどのように扱われ、意味づけられ、あるいは変質したかを見通すことである。(中略)「無常」という言葉の衝撃から道元禅師の『正法眼蔵』に出会い、果てに出家した自分の思想的遍歴を総括しようとするものである」(序章「問いの在りか」より) と、書にもあるように、ブッダから道元までの思想的変遷を、「超越と実存」の関係から読み解いたものです。 その刊行を記念して、書所収の「プロロ

    南直哉『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』試し読み | 南直哉 『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』 | 南直哉 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社
  • 29. 特別になりたかった私たちへ(最終回) | おんなのじかん | 吉川トリコ | 連載 | 考える人 | 新潮社

    みんなが「花束みたいな恋をした」の話をしている。どいつもこいつもも杓子もである。もちろん私もした。大いにした。それだけでは飽き足らず、いままさにこの連載でも「花恋」の話をしようとしている。 2021年2月も終わりに差しかかった現在、コロナウイルスの新規感染者数が多少減ってきたものの、いまだ緊急事態宣言下にあるので、あくまで概念の井戸端――ツイッターやクラブハウスやラジオやポッドキャストなど――で観測するかぎりなのだが、おもに20代から40代にかけての文化系人間たちが、「花恋」を観たらその話しかできなくなってしまうかのように、ひたすらずっと「花恋」の話――というより「花恋」を呼び水にした自分語りを続けている。田舎生まれ文化系育ち自意識高めのやつらは大体友だちどころかできれば避けて通りたい私としては、彼らの話を聞いているだけで「いっそ殺してくれ!!!」という気持ちになってしまうのだが。 未見

    29. 特別になりたかった私たちへ(最終回) | おんなのじかん | 吉川トリコ | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 特別寄稿「前人未到の昭和史発掘。まさに巻を措く能わず!!」完全版 | 水道橋博士による12000字激アツ書評! 『沢村忠に真空を飛ばせた男―昭和のプロモーター・野口修 評伝―』 | 水道橋博士 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社

    著者: 水道橋博士 1973年にキックボクサー沢村忠で日プロスポーツ大賞を、五木ひろしで日レコード大賞を制した、二刀流のプロモーター・野口修の評伝『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝』が発売されました。 著者・細田昌志氏が取材・執筆に10年を費やした、圧巻の上下2段組み560ページノンフィクション超大作。このの元となった連載媒体「水道橋博士のメルマ旬報」を主宰する水道橋博士が、新潮社のPR誌「波」に書評を寄せてくださいました。 しかし、「それだけではこのの素晴らしさを語り尽くせない」と、誰に頼まれたわけでもなく、溢れる想いをぶつけた原稿を自主的に執筆。その文字数、なんと12000字! その激アツ書評を「考える人」に特別掲載することになりました。筆者、そして推薦者の圧倒的な熱量をぜひ受け止めてください!! 異形の大著が生まれたきっかけ ボクと著者との出会いは、テ

    特別寄稿「前人未到の昭和史発掘。まさに巻を措く能わず!!」完全版 | 水道橋博士による12000字激アツ書評! 『沢村忠に真空を飛ばせた男―昭和のプロモーター・野口修 評伝―』 | 水道橋博士 | 本の試し読み | 考える人 | 新潮社
    akihiko810
    akihiko810 2020/11/30
    1973年にキックボクサー沢村忠で日本プロスポーツ大賞を、五木ひろしで日本レコード大賞を制した、二刀流のプロモーター・野口修の評伝『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝』
  • 最終回 2021年8月20日~12月31日 | にがにが日記―人生はにがいのだ。 | 岸政彦 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    お知らせ(2023.5.17) 岸政彦さんの連載「にがにが日記」は10月に新潮社から単行として刊行される予定です(書下ろしも加わります)。どうぞお楽しみに。 (登場人物一覧はこちら) 2021年8月20日(金) にがにが日記も第3期である。 いや、何期とかないけど。 おさい先生の話ばかりで恐縮だが、子どもの頃は大変なおてんばさんで、女子のスカートめくりをする男子をしば、もとい、つかまえたりしていたらしい。 それでついたあだなが「女アマゾネス」だった。 どんなんや。 ていうかアマゾネスの頭に「女」要らんやろ もともと女やからな、アマゾネス。 どんなんやねん。 関係ないけど牛乳が好きで、何にでも牛乳を合わせる。ビッグマックとか、カレーとか、炒飯とか。 炒飯に牛乳、おいしいよ。 そしたら「ミルクドリンカー」って言われた。 昨日。 8月22日(日) ホテルで缶詰の一日。外国からの観光客が皆無にな

    最終回 2021年8月20日~12月31日 | にがにが日記―人生はにがいのだ。 | 岸政彦 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 「よりよいコミュニケーション」を考える映画(後編) | 斎藤環×與那覇潤『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』刊行記念特別企画 | 斎藤環 , 與那覇潤 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    『エターナル・サンシャイン』&『秋刀魚の味』 著者: 斎藤環 , 與那覇潤 精神科医・斎藤環さんと歴史学者・與那覇潤さんの対談『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋 』(新潮選書)の刊行を記念して、著者のお二人に、治療者の視点から、体験者の視点から、それぞれのお薦め映画について話していただきました。最終回となる今回は、「よりよいコミュニケーション」の条件を考える映画の後編です。ぜひご一読ください。 (前回の記事へ) 幸せは「操作主義」にはない 與那覇 私がお薦めする「よりよいコミュニケーションを考える映画」の二目は、ラブ・コメディの『エターナル・サンシャイン』(2004年・米)です。カップルを演じるのがジム・キャリーとケイト・ウィンスレットという組み合わせも異色ですが、それ以上に設定がめちゃくちゃひねってあるんですね。 ユニークなストーリーが評価されてアカデミー脚賞を受けまし

    「よりよいコミュニケーション」を考える映画(後編) | 斎藤環×與那覇潤『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』刊行記念特別企画 | 斎藤環 , 與那覇潤 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
  • 第3回 映画には適切な長さがある | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 (第2回はこちら) ――先生はマーティン・スコセッシよりスティーブン・スピルバーグ

    第3回 映画には適切な長さがある | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
  • 第1回 執筆中の『ジョン・フォード論』について | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 ――まず初めに私どものような小さな雑誌の書面インタビューに応じていただき、誠にあり

    第1回 執筆中の『ジョン・フォード論』について | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
  • 第1回 「この人枯れてない」 | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    著者: 古井由吉 , 蓮實重彦 先日亡くなった古井由吉さんは、『辻』単行刊行時に、蓮實重彦さんと「新潮」2006年3月号にて対談をしました。時代をリードしてきた同い年の小説家と批評家でありながら、お二人の対談はこの一度きりです。古井さんの追悼特集を組んだ「新潮」2020年5月号の蓮實重彦さんの追悼文にも、この対談の話が出てきます。対談を構成したのは私なのですが、緊張感と文学的高揚感のあふれるお二人の対話の場に立ち会えた記憶は、一生消えそうにありません。今回、古井さんご遺族と蓮實重彦さんのご厚意により、「新潮」掲載版の対談を復刻掲載いたします。(編集長 松村正樹) 古井 蓮實さんとは初めての対談になりますが、大学では同級生ですね。 蓮實 そう。東大では駒場の二年間同じクラスだったわけだし、立教大学では紛争中に教員として同僚だった。 古井 そうなんですよ。 蓮實 これも二年一緒でした。二人が

    第1回 「この人枯れてない」 | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
  • 受賞インタビュー「思想には仏教と仏教以外しかない」 | Webでも考える人 | 新潮社

    南直哉氏。住職をつとめる福井県霊泉寺にて。 僧侶としての「3つの顔」 ――南さんのプロフィールには「福井県にある霊泉寺の住職、そして青森県にある恐山菩提寺の院代(住職代理)をつとめる」とあります。僧侶として、それぞれの場所でどのような活動をされているのかについてお聞かせください。 1984年に26歳で出家してから、20年近く曹洞宗の総山である永平寺で修行生活をおくっていました。多くは数年の修行をもって下山し、それぞれの寺に戻る、というのが一般的なので、20年近く永平寺にいたというと、それだけで珍しいこととされます。 入門して15年が過ぎた頃、ある老師から「お前もそろそろ寺に入りなさい」と言われて、永平寺に籍を置いたまま同じ福井にある霊泉寺の住職となりました。伝統教団においては、住職をしてはじめて一人前みたいなところがあるので、その意味では霊泉寺の住職であることが、私の曹洞宗内の立場を支え

    受賞インタビュー「思想には仏教と仏教以外しかない」 | Webでも考える人 | 新潮社
    akihiko810
    akihiko810 2019/01/09
    南直哉
  • 「文藝評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた | 「文藝評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた | 高橋源一郎 | Webでも考える人 | 新潮社

    9月21日・金曜日の夜、「新潮」編集部から電話がかかってきた。おかしいな、と思った。今月は締め切りがないはずなんだが。イヤな予感がした。おれは、少しの間ためらった後、電話に出た。案の定だ。「新潮45」問題について書いてくれ、というのである。確かに、おれは、その問題についてツイッター上で少しだけ発言をした。それだけだ。面倒くさいし、何のためにもならない。一晩考えさせてくれ、といっておれは電話を切った。でも、おれは引き受けることになるだろう、と思った。「面倒くさくて何のためにもならないことは引き受けろ」は、高橋家の家訓なのである。 書くことを引き受けてすぐ、「新潮45」の休刊が決まった。この問題については、考えなければならないことが多すぎる。休刊の是非、雑誌や出版社、あるいは著者のあるべき姿、休刊の直接的な原因となったであろう小川榮太郎氏の論文の問題点、当該特集号の各投稿それぞれが抱えている異

  • [前編]改行のない“文字の壁” | 小山田浩子×津村記久子「奇妙な『庭』の作り方」 | 小山田浩子 , 津村記久子 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    著者: 小山田浩子 , 津村記久子 小山田浩子さんの最新刊『庭』は、芥川賞受賞作『穴』以来4年ぶりの著書。デビュー後間もない2013年発表の初期作品から、2018年に入ってから雑誌に掲載されたものまで、短篇・掌篇、計15篇を収める作品集です。刊行にあたって、デビュー作『工場』以来小山田作品を愛読してきた津村記久子さんと、津村さんの作品の大ファンだという小山田浩子さんの初対談が、大阪・心斎橋アセンスで実現。独特の文体について、書き始めたきっかけ、土地や方言のこと等々、ここでしか聞けない刺激的な対話の様子を、前後編に分けてお届けします。 津村  今日はこの『庭』という、当に面白い短篇集のお話を、著者の小山田浩子さんと一緒にさせていただきます。さっそくですが、小山田さんの文章って改行があまりないですよね。 小山田 そうなんです。改行を入れるところがよくわからなくて、書いていると自然にこうなって

    [前編]改行のない“文字の壁” | 小山田浩子×津村記久子「奇妙な『庭』の作り方」 | 小山田浩子 , 津村記久子 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
    akihiko810
    akihiko810 2018/08/06
    小山田浩子さんの最新刊『庭』は、芥川賞受賞作『穴』以来4年ぶりの著書。
  • (1) 小説と戯曲の違いって何? | 往復書簡「小説⇔演劇」解体計画 | 滝口悠生 , 松原俊太郎 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    『死んでいない者』で芥川賞を受賞した気鋭の小説家・滝口悠生さんと、「忘れる日人」「山山」を発表し、劇団をもたず演出もしない劇作家として話題の新鋭・松原俊太郎さん。 京都芸術センターの「演劇計画Ⅱ」というプログラムのひとつとして、昨年12月に京都でトークイベントを開催したのを機に、親しくメールのやりとりをしている二人。そのやりとりを、往復書簡として掲載します。 「演劇計画Ⅱ」で、松原さんが取り組んでいるのは、3年がかりで「上演を前提としない」戯曲を制作する、というプロジェクト。昨年12月のトークはその戯曲「カオラマ」の第一稿の公開を受けて行なわれましたが、往復書簡はこの戯曲の完成(年末に発表予定)後の来年3月まで、月2回更新の予定です。 滝口悠生→松原俊太郎 どうもです。地点による松原さん原作の2公演、観ました。 というか2回とも会場でお会いしましたね。 松原さんも東京滞在が長くて大変だっ

    (1) 小説と戯曲の違いって何? | 往復書簡「小説⇔演劇」解体計画 | 滝口悠生 , 松原俊太郎 | 連載 | 考える人 | 新潮社
  • 第3回 40歳を過ぎて、人生の「切符」を手にする | 阿古真理×村井理子 私たちは「ダメ女」なのか? | 阿古真理 , 村井理子 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

    (第2回へ戻る) 阿古 『料理は女の義務ですか』を書いたきっかけの一つは、自分たちが30代のころに、仕事でキャリアを積む一方、家庭があって子どもがいるという人が出てきて、葛藤も増えていくのを見てきたこと。私は私で、子どもはいないにしても家事がイヤで、料理をさせられるという苦痛の中にいました。それを一応は乗り越えた今、同じように後輩の女性たちが「なんで私ばっかり家事がこんなに大変なの!?」と怒っているという報道がここ数年ものすごく多くなっています。 村井 最近また「家事の分担やバランス」といった話題が増えましたよね。 阿古 それは、女性がキャリアを積み、子どもが産まれても働き続けることが当たり前になっている中で、フルタイムワークとフルタイム家事は両立不可能という状態になっているのが一つの問題だと思います。その年代では、実はまだ技能が足りないし人生経験も少なくて対応し切れないから、きついんだと

    第3回 40歳を過ぎて、人生の「切符」を手にする | 阿古真理×村井理子 私たちは「ダメ女」なのか? | 阿古真理 , 村井理子 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
    akihiko810
    akihiko810 2018/01/28
    『料理は女の義務ですか』