修行を始めて5、6年経った頃から、各地の寺院の大きな法要の役目を仰せ付かったり、時には説教を依頼されたり、ということが我が身に起こるようになった。 すると、仕事が済んだ後、世に言う「打ち上げ」のようなことがあり、住職や主催者、あるいは先輩などに、 「いやあ、ご苦労さん! ここはひとつ、ゆっくりしてもらおう!!」 と連れ出されて、「慰労」のご馳走になったりする。 この「ご馳走」はまことに結構なのだが、多くの場合、事はこれで終わらず、引き続き「二次会」の流れとなる。で、その行先が、接待する女性のいる店だったりすると、これが時に問題になるのだ。 私は基本的に下戸だ。愉快な場所に行くのはよいのだが、下戸の自分が接待してくれる女性のいる場所に行くと、客のはずの私が妙に彼女らに気を使ってしまう。つい、 「夜遅くまで大変ですね」 などと、言わなくて良いことを口走って、自己嫌悪に陥ったり、会話が乏しくなる
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