「鬼」の顔を墨で描いた平安時代後期(12世紀初め)の土器が奈良県橿原市の新堂遺跡で見つかり、市教委が2日、発表した。同時期の出土例は極めて珍しいといい、市教委は「鬼を土中に封じ込める祭祀(さいし)に使われた可能性もある」としている。3日は「節分」。 市教委によると、鬼の顔は、割れた土器の底の部分に直径10センチほどの大きさで描かれていた。角はないが、「へ」の字口や上向きの牙、太い眉毛、丸い目などの特徴が表現されている。 木枠の井戸の中に、鬼の顔が天を向く状態で土に埋もれていた。井戸を埋め戻す際、意図的に土器を割って鬼を描き、埋めたとみられる。 市教委は「平安時代の末法思想の影響で、地下世界に住むと信じられていた鬼が地上に出るのを恐れ、封じ込める祭祀に使われたのではないか。鬼を払う国内最初期の儀式の可能性もある」としている。 4日~3月31日、橿原市千塚資料館で展示される。