ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (18)

  • どうやったら連続性を維持したまま意識をアップロードできるのか?──『意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く』 - 基本読書

    意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く (講談社現代新書) 作者:渡辺正峰講談社AmazonSFの世界ではよく人間の意識をアップロードして肉体の縛りから解放される、「マインドアップロード」と呼ばれる技術が扱われる。実際、人間の意識とはけっきょく脳内の化学的な作用の結果生まれるものであるという立場に立つのであれば、その作用をデジタル上でも機械上でも再現できればそこに「わたし」が宿るはずである。 今はまだSFの中の話にすぎないが、現実でもBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)技術や脳神経科学の進展もあり、徐々に現実味を増してきている──ときて、書『意識の脳科学』はまさにそうした「意識のアップロード」をテーマにした一冊だ。著者の渡辺正峰は神経科学を専門とする東京大学大学院工学系研究科の准教授で、研究だけでなく自身でも意識のアップロードを目指すスタートアップ「MinD in a Dev

    どうやったら連続性を維持したまま意識をアップロードできるのか?──『意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く』 - 基本読書
  • アンチ優生学の立場で、遺伝がもたらす人生への影響を「平等」の観点から考え直す──『遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―』 - 基本読書

    遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる― 作者:キャスリン・ペイジ・ハーデン新潮社Amazon近年、遺伝子研究が進展してきたことで身長や顔といった見た目の要素だけでなく、「学歴」のような生涯収入やそれに伴う生活の質に直結する部分も遺伝子の影響を受けることがわかってきた。しかしそうしたデータは気軽に世に出すと、何度否定されても議論が絶えることのない優生学や、何をもってして社会は「平等」や「公平」といえる状態になるかといった、簡単には答えのでない議論を呼び込むことになる。 しかし、実際に遺伝子によって学習能力や最終学歴に差が出るのであれば、議論が難しいからとか、遺伝による差が明らかになると優生学に結びつく可能性があるからと危惧し「遺伝的な差異をなかった/見なかった」ことにするのは間違っているのではないか。それ──遺伝的な差異による富の格差──がある前提で、平等についての議論を進める必要があるの

    アンチ優生学の立場で、遺伝がもたらす人生への影響を「平等」の観点から考え直す──『遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―』 - 基本読書
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/10/26
    遺伝による差があることを前提にして、遺伝的にドロップアウトしやすい子にはそれを防ぐような丁寧な教育を、という穏当な主張に見える。現状では「障害」認定されないと得られない合理的配慮を拡大する感じかな。
  • 魔術的闘争と共にアメリカの黒人差別の歴史を描き出す、ドラマ原作にもなったホラー連作短篇集──『ラヴクラフト・カントリー』 - 基本読書

    ラヴクラフト・カントリー (創元推理文庫) 作者:マット・ラフ東京創元社Amazonこの『ラヴクラフト・カントリー』はファンタジーや幻想系の作品で知られるマット・ラフによるホラー・幻想の連作短篇集となる。まだ黒人差別が色濃く残る1950年代を舞台に、黒人中心の登場人物らが次々と差別と魔術的騒動に直面する様を、連作短篇形式の長篇で、時に情緒的に、時にコミカルに描き出していく。 作は書名にも「ラヴクラフト」と入っているように、明確にクトゥルー神話の産みの親、H・P・ラヴクラフトとその著作が関係してくるが、それは(文庫解説にもあるように)シンプルにリスペクトだけがこめられているわけではない。ラヴクラフトには人種差別的な傾向が存在することが指摘されており、そうである以上作(『ラヴクラフト・カントリー』)でも無批判に取り上げられていくわけではないのだ。 「黒人差別の歴史を描き出している〜」などと

    魔術的闘争と共にアメリカの黒人差別の歴史を描き出す、ドラマ原作にもなったホラー連作短篇集──『ラヴクラフト・カントリー』 - 基本読書
  • あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』 - 基本読書

    給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く 作者:ジェイク・ローゼンフェルドみすず書房Amazon自分が毎月いくらもらえるのかは、日・世界経済がどうこうよりもよほど重要な目先のテーマである。だが、それ=給料はどうやって決定されているのか。真っ先に思いつくのは職種や立場だろう。大企業のCEOマクドナルドのバイトよりも稼げるのは間違いない。介護職の大半よりプログラマの方が稼いでいるだろう。そうした立場・職種に加え、個人の成果でも給料は変化する、すべきだと信じられている。 しかし、それはどこまで当か? 個人の成果はどれほど給料に関係しているのか? 介護職が重要不可欠で需要もあるのに賃金が上がらないのはなぜなのか? 1960年代にアメリカの一般的な経営トップは一般労働者の20倍稼いでいたのが、21世紀に入ると224倍から271倍も稼ぐようになったのはなぜなのか? それは当に

    あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』 - 基本読書
    anatadehanai
    anatadehanai 2022/05/22
    "70年代には民間の建設労働者の40%が労働組合に所属していたが、今では13%になっている。建設労働者の賃金は、労働組合を認めない企業の増加とともに下がっていった。"
  • 地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 - 基本読書

    魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い 作者:チャールズ・C.マン紀伊國屋書店Amazonこの『魔術師と予言者』は書名だけみるとファンタジィ小説だが、その実態は2050年、人口が100億に達した時の地球環境の危機について考察する大著である(ページ数は700を超える)。現在の地球人口は約77億人だが、すでに限界ぎりぎりの地球の資源状況が人口が増えればここから厳しくなっていくのは火を見るより明らかだ。 このままだと、料も、エネルギーも、水も、気候も、すべてが破綻しかねない。では、我々は未来に備えて何をすべきなのか? その対抗策について、書では科学の力を駆使することで、農業の生産性を上げ、エネルギーの供給量を増し、問題を解決せよ! と唱える一派らをノーマン・ボーローグを模範とする「魔術師派」。 地球資源には限界があり、人間は科学に頼るだけでなく抑制もしなければならない!

    地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 - 基本読書
  • 弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書

    AI監獄ウイグル 作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材をしその結果をまとめた一冊になっている。 書で描き出されているのは、チャットアプリによるメッセージや電話がすべて監視され、家の前には個人情報が詰まったQRコードが貼られ、身体情報から移動履歴などすべてのデータを元に犯罪を起こす可能性のある人物をAIが自動的にピックアップする「デジタルの牢獄化」したウイグルの姿である。これまで、断片的なニュース情報を読むことでウイグルで相当なことが行われていることはわかっていたつもりだったが、実際に収容所などを体験した人物のレポートはあまりにも衝撃的だ。 読み終えた夜は、自分が強制収容所に入っている悪夢を見たぐ

    弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書
  • 資本主義以外の選択肢を模索する、経済学者・政治家によるSF経済書──『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』 - 基本読書

    クソったれ資主義が倒れたあとの、もう一つの世界 作者:ヤニス・バルファキス講談社Amazonこの『クソったれ資主義が倒れたあとの、もう一つの世界』は、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』などで知られる経済学者にして政治家のヤニス・バルファキスによる、資主義に代わる制度についての提言を記した書というか、SF経済書というかといった感じの一冊である。 体裁としては完全にSF小説で、物語で中心になる時代は2025年と現代よりも少し先の未来。中心人物であるギリシャに住むコスタは、ユーザーの欲望を読み取り、それを擬似的に(脳内で)体験させる装置であるHALPEVAMと呼ばれるシステムを構築する過程で、偶然にも平行世界の自分と通信を確立することに成功し、自分(同名の人物でややこしくなるので、作中ではコスティ)とのやりとりを開始することになる。 で、このコスティ

    資本主義以外の選択肢を模索する、経済学者・政治家によるSF経済書──『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』 - 基本読書
  • ほとんどの人は本質的に善良であると、強力に性善説を推し進める一冊──『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』 - 基本読書

    Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book) 作者:ルトガー・ブレグマン文藝春秋Amazonこの『Humankind』は、オランダで25万部以上の部数を重ね、『サピエンス全史』のハラリにも絶賛され対談をし、ピケティに次ぐ欧州の知性などと呼ばれる、オランダの若手寄りの(1988年生まれ)作家、ルトガー・ブレグマンの話題作である。 この、書名だけだと胡散臭い宗教書にしか見えず、話題書というだけで手にとったのだけど、展開しているのはなかなか過激な主張だ。それは、『ほとんどの人は質的にかなり善良だ』というもので、ほとんどの人とかかなりとかちょっと微妙な修飾語がついていてそこはかとなく不安にさせるが、書はなぜそんなことが主張できるのかを、さまざまな実験・研究・歴史の事例から見ていくことになる。 それが過激な主張と思えるのは、人間が質的に善良とは

    ほとんどの人は本質的に善良であると、強力に性善説を推し進める一冊──『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』 - 基本読書
  • 蜜蜂が絶滅した世界──『蜜蜂』 - 基本読書

    蜜蜂 作者: マヤ・ルンデ,池田真紀子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2018/06/26メディア: 単行この商品を含むブログを見る2009年に刊行された『ハチはなぜ大量死したのか』は衝撃的な一冊であった。 原因不明の「蜂群崩壊症候群」によって2007年春までに北半球から4分の1、実数にして約300億匹ものハチが消えた。これによって、養蜂農家が大打撃を受けるだけでなく(商売道具がみんな死んでしまうのだから壊滅的だ)、ハチたちがリンゴに梨にアーモンドといった他の料を”受粉”させられなくなった事態と合わせて”なぜそんなことになってしまったのか”を解き明かしていく、魅力的なノンフィクションだ。 ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫) 作者: ローワンジェイコブセン,Rowan Jacobsen,中里京子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/07/08メディア: 文庫購入:

    蜜蜂が絶滅した世界──『蜜蜂』 - 基本読書
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、サイボーグになることを選んだ男──『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来』 - 基本読書

    NEO HUMAN ネオ・ヒューマン―究極の自由を得る未来 作者:ピーター・スコット・モーガン東洋経済新報社Amazon ALSという病 筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気がある。体が徐々に動かなくなっていき、最終的には自発的な呼吸も行うことができず、意識は明瞭で、感覚も残ったままにも関わらず、目以外(こちはも最後まで残るだけで弱まっていくようだ)のすべてが動かせなくなってしまう病気で、現在治療法は皆無である。進行もはやく、人工呼吸器なしでは余命は3〜5年ほど。日ではさまざまな理由から、約7割の人が人工呼吸器をつけずに亡くなるという。 現在の日では、一度人工呼吸器をつけたら、たとえ死にたいと思ってもそれを意図的に外すことは難しい。2020年には、ALSの女性の依頼によって医師2名が薬物を投与し死に至らしめた事件も話題になった。ニャンちゅうの声優である津久井教生さんの連載を読んだこと

    筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、サイボーグになることを選んだ男──『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来』 - 基本読書
  • 新しいテクノロジーを前に、我々はどのように「会話」すべきか?『あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて』 - 基本読書

    あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて 作者:ジョージ・エストライクみすず書房Amazon生物は遺伝子によってある程度その姿かたちや能力が決定付けられているが、近年のバイオテクノロジーの進歩によって我々はその「生まれ持ったもの」への介入が可能になりつつある。また、遺伝子改変といった大掛かりなものでなくとも、解析が進み、出生前であってもいくつかの病気はかなりの精度で判別できるようになった。 子供の障害の有無を判別することができれば、産む前に中絶するかどうかを選択することができる。たとえば、新型出生前診断(NIPT)は、採血でダウン症などの先天性疾患を判別できるとして広まっている。日でも2013年の導入以降、NIPTを利用する人は増え、陽性が確定したうちの9割が中絶に踏み切っているという(中絶率は国ごとに異なり、アメリカでは陽性者にカウンセリングや染色体異常のある赤

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  • 命の値段には大きな格差が存在する──『命に〈価格〉をつけられるのか』 - 基本読書

    命に〈価格〉をつけられるのか 作者:ハワード・スティーヴン・フリードマン,Howard Steven Friedman発売日: 2021/04/17メディア: 単行 はじめに 民事裁判における命の値付け 現在の命の価値より未来の命の価値の方が低いのか? おわりに はじめに 命に値段はつけられない、と言ったりもするけれど、現実的な問題として、日々命に値段はつけられている。しかも、毎回違った形で。たとえば、何らかの過失や災害によって人命が失われた時、そこにどうやって補償を出すのか。全員に一律同じ値段で対応するケースもあれば(これはあまりない)、各個人の属性・能力に応じた値段が支払われるときもある。たとえば、年収2000万の人間と年収200万の人間では将来的な収益が変わってくるので、この年収にあわせた補償額を──という発想がある。 実際、そのような「その人が将来稼いだであろう金額」によって補償

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  • その菌に感染したものは、知能が爆発的に増加する。ただし──『天才感染症』

    天才感染症 上 (竹書房文庫) 作者: デイヴィッド・ウォルトン,押野慎吾出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2018/08/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見る天才感染症 下 (竹書房文庫) 作者: デイヴィッド・ウォルトン,押野慎吾出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2018/08/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見るもし感染することによって爆発的に知能が増して、いわゆる”天才”になれる菌があるとしたら、あなたはそれに感染してみたいと思うだろうか。書『天才感染症』はまさにそんな”天才”と化す菌が存在したら──という状況を描いた、菌類SF小説である。とはいえ、ただただ頭がよくなるだけの菌などという都合のいい存在はない。頭が良くなったかと思いきや、その背後には”菌類”の生存戦略が存在しており、菌類vs人類とでもいうべき、未曾有の大騒動へと発展していくことになる。 物語

    その菌に感染したものは、知能が爆発的に増加する。ただし──『天才感染症』
  • イメージの奔流に支えられた圧巻の台湾幻想小説──『複眼人』 - 基本読書

    複眼人 作者:呉 明益発売日: 2021/04/05メディア: 単行この『複眼人』は、『歩道橋の魔術師』や『自転車泥棒』で知られる台湾作家、呉明益の最新邦訳作にして、代表作と言われている作品である。作に対する、ル・グインによる「こんな小説は読んだことがない。かつて一度も」というキャッチコピーの時点でおもしろそうだったし、刊行前の評判も凄い! というものばかりで、期待して読み始めたのだけれども、たしかにこれは何がと言いづらいのだが凄かった。 いったい何がこの作品の世界観のベースになっているのかわからないが、独特の神話的世界と台湾の小さな島や、現実に起こり得るもの──”海を漂流するゴミの島”の幻想的な光景がばらばらに語られていき、最終的には何がなんだかわからないうちにまとまって異様な光景と読後感に圧倒されることになる。自然と人間の関わりについての物語であり、幻想的な情景についての物語であり

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  • ケン・リュウによる、中国、日本、米国の歴史と文化を横断的に取り込んだ珠玉のSF短篇集──『宇宙の春』 - 基本読書

    宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:ケン リュウ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle作『宇宙の春』は、中国と米国、作家と翻訳家を股にかけて活躍する作家ケン・リュウの日オリジナル短篇集第四弾である。独立した話の短篇集なので、もちろん書から読んでも問題ない。第二弾、第三弾の短篇集が分厚かったことの反動か、今回は300p全10編とコンパクトになったが、その分シンプルに質の高い作品が揃っている。第一〜から第四冊までを並べた時に、第一と並ぶぐらい好きな巻となった。 作品の発表年としては2011〜20年のものが揃っている。全体をざっくり紹介しておくと、詩的に宇宙の壮大なスケールを歌い上げるような作品もあれば(「宇宙の春」)、未来のシミュレーションを行うSFプロトタイピング的な作品あり(「充実した時間」)、731部隊を「過去に起こったことを一度だけ実体験できる」特

    ケン・リュウによる、中国、日本、米国の歴史と文化を横断的に取り込んだ珠玉のSF短篇集──『宇宙の春』 - 基本読書
  • 罪を犯した人間をただ投獄するのは、正しいか──『囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて』 - 基本読書

    囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて 作者:バズ・ドライシンガー発売日: 2020/12/25メディア: 単行(ソフトカバー)この『囚われし者たちの国』は、刑事司法教育を教える大学ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスの女性教授であるバズ・ドライシンガーが9カ国の刑務所をまわって、今あるべき刑務所、許し、罪と罰の関係性について思考をめぐらせるルポタージュである。日にいると法律に違反したら(執行猶予はあるけど)投獄されて自由を制限されるのは当たり前でしょ、と思うが、世界を見渡してみると刑務所も罪の償い方も千差万別であり、何が正しいのかわからなくなってしまう。 書の著者は、出発点はアメリカの刑務所の実態のひどさから、刑務所についての疑問がスタートしている。アメリカが世界人口で占める割合は5%弱なのに、囚人が収容されている人数は230万人、世界の25%に達する

    罪を犯した人間をただ投獄するのは、正しいか──『囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて』 - 基本読書
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/01/02
    ある国を知りたければ監獄を見ろ、とはよく言われてきたことで。重要な視点。
  • 史上もっとも偉大な科学予測の試みとクラークに評された、科学と人類の未来について論じた先駆的名著──『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』 - 基本読書

    宇宙・肉体・悪魔【新版】――理性的精神の敵について 作者:J・D・バナール発売日: 2020/07/17メディア: 単行この『『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』』は、X線結晶構造解析のパイオニアであり分子生物学の礎を築いたと言われるJ・D・バナールによる、1929年に刊行された人類の未来について書かれた一冊である。原著が100年近く前であり、過去にみすずで刊行されたのも1972年と、言ってしまえば非常に古臭いである。 僕も今回みすずから新版が出るということではじめて読んだのだけれども、いやはやこれには心底驚かされた。バナールが書で論じたのは、今の我々が暮らす時代よりもさらに先、科学がさらに発展した状況のことであり、人間が身体を機械化し場合によっては宇宙に植民地を広げていくような時にいったい人類にいったい何が起こるのか、という未来のことなのである。そして、その論、そのヴィジ

    史上もっとも偉大な科学予測の試みとクラークに評された、科学と人類の未来について論じた先駆的名著──『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』 - 基本読書
    anatadehanai
    anatadehanai 2020/08/17
    人類、そんなに存続しなくてもいいと思ってるけど、どうせ生き延びるならこのへんまで行ってほしい。最後は光になって消える。いいな。
  • なぜ、無意味な仕事ばかり増えているのか?──『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』 - 基本読書

    ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 作者:デヴィッド・グレーバー発売日: 2020/07/30メディア: 単行この『ブルシット・ジョブ』は、文化人類学者であるデヴィッド・グレーバーによる「クソどうでもいい仕事」についての理論である。「クソどうでもいい仕事」とはなにかといえば、文字通りとしかいいようがないのだけれども、「その仕事に従事している人がいなくなっても誰も何も困らないような無意味な仕事」のことである。 原書で刊行された時から日でも大変に話題になっていた一冊で、楽しみに読み始めたのだけど、これがとにかくおもしろい! 確かに世の中にはブルシット・ジョブとしか言いようがないくだらない仕事が溢れているように見える。それがどれほどありふれているのか、またどのようなタイプのブルシット・ジョブが存在するのか。また、仮にこれが近年さらに増大を続けているとしたら、それはなぜなのか。そ

    なぜ、無意味な仕事ばかり増えているのか?──『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』 - 基本読書
    anatadehanai
    anatadehanai 2020/08/10
    この記事で例にされているような暇な仕事を「必要ない」として叩くと、維新的な人員削減、労働強化に塩送ってしまわないか? 元の本はそのあたりも何か考えてるのだろうが。ともかく未読なので読んではみたい。
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