今から6カ月前、筆者が参加した米国のCEO(最高経営責任者)が集まるビジネス・カウンシルの会合で、CEOの見解に関する――議論を呼ぶとは言わないまでも――印象的な調査が公表された。 米国議会が予定されている歳出削減と増税の「財政の崖」に危険なほど近づく中、この調査の結果は再検討されるだけの価値があるだろう。 CEOたちは5月、どの機関が健闘しているか尋ねられた時、自分の会社をリストの最上位に置いた(そう、本当に)。90%の人が、世界的な大企業が近年、経済問題をうまく処理してきたと答えたのだ。 1位は企業、2位は中銀、3位は中国政府という評価 支持する機関のランキングの第2位は各国の中央銀行で、中銀は80%のCEOたちに称賛された。だが、第3位になったのは――米国やユーロ圏の政府、国際通貨基金(IMF)に大差をつけて――中国政府だった。3分の2のCEOが、中国政府は自国の経済問題をうまく処理
著者プロフィール:伊吹太歩 世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。 また大物が女性問題で輝かしいキャリアを台無しにした。 2012年11月9日、米中央情報局(CIA)のデービッド・ペトレアス長官が辞任を発表した。CIAの職員に宛てた9日付声明で、ペトレアスは辞任の理由をこう説明した。 「昨日の午後、私はホワイトハウスに行き、個人的な理由によって、D/CIA(CIA長官)の地位を辞任したいと大統領にお願いした」 声明は続く。「37年以上の結婚生活で、婚外の性的関係をもってしまうという誤った判断をしてしまった。こうした行為は、夫としても、私たちのような組織の長としても、許されない。今日の午後、大統領は私の辞任を潔く受け入れた」 不倫相手の女性は、ペトレアスの伝記を執筆したジャーナリストの1人、ポーラ・ブロードウェル。40歳の彼女
建国の精神 アメリカ独立宣言に従えば、オバマ政権にもはや正統性はない Jim Young-Reuters バラク・オバマ大統領が勝利した米大統領選。この選挙結果と今後のアメリカの行く末に不満を抱く大勢のアメリカ人が、ホワイトハウスにある要求を突き付け始めた――わが州をアメリカから独立させよ、と。 ホワイトハウスのホームページに設置されているオンライン請願システム「We the People」には、大統領選以降で10万人以上の署名が集まっていると、BBCは報じている。 連邦政府からの離脱を求める請願は20州から起こっており、そのほとんどがミット・ロムニーに投票した有権者が多数を占める南部を中心とした共和党支持者優勢の州。だが民主党優勢の北東部の州もいくつか含まれている。 ワシントン・ポスト紙によれば、請願を提出しているのはアラバマ、アーカンソー、コロラド、フロリダ、ジョージア、インディアナ、
2012年のアメリカ大統領選挙は、バラク・オバマ現職大統領の勝利に終わりました。アメリカ大統領選挙とは、いわば米国でもっとも巨大なマーケティングキャンペーンであり、明確な期限があり失敗できないプロジェクトの1つです。 今回のオバマ氏のキャンペーンで話題になったのは、ITの活用とその効果でした。 詳細を報じたTIME誌の記事「Inside the Secret World of the Data Crunchers Who Helped Obama Win」によると、オバマ氏の地元シカゴに置かれた選挙対策本部にある「The Cave」と呼ばれる部屋では、効果的な手を打つために各州の有権者のデータを統合、その嗜好や動向を把握、分析。その結果ジョージ・クルーニー氏の影響力が高いと判断して彼による食事会を設けて資金集めに成功したり、スイングステート呼ばれ、勝敗の鍵を握る激戦州での選挙結果をさまざま
デヴィッド・ペトレイアスCIA長官辞任のニュースには驚きました。当初は9月にリビアで米大使を含む4名の米国人が殺害されたのが原因か、はたまた裏でスパイ戦争でもあったのか、とも疑ってもみたのですが、どうやらただの痴話喧嘩だったようです。単純化しますと、ペトレイアス氏の不倫相手である、ポーラ・ブロードウェル氏が、同じくペトレイアス氏と親しかったジル・ケリー氏に脅迫メールを送りつけていたのが発端のようです。あまりに頻繁に脅迫メールが届くので、ケリー氏が地元フロリダのFBI支部に相談してみたところ、FBIは発信源を特定、しかしメールのアカウントがCIA長官殿…何故???となったようです。ここでCIA長官のアカウントが何者かにハッキングされていると判断したFBIは捜査を開始、しかし内実が明らかになると…といったところなのでしょうか。ペトレイアス氏はCIA長官という要職にありながら脇が甘すぎたというこ
大統領選後の米国は、目の前にある危機対応が課題に。景気下振れリスクとなる「財政の崖」に経済界は戦々恐々。危機回避へ問われるのは「決められる政治」の実現だ。 宴の後の米国は現実に対処できるのか――。11月6日の大統領選一般投票まで、米国は党内の指名争いから数えると1年以上にわたる「お祭り」に沸いてきた。まもなく改選前の議員による連邦議会が再開となるが、政治家たちに祭りの余韻に浸る猶予はない。「財政の崖(フィスカルクリフ)」と呼ばれる大問題が控えているからだ。 これは2012年末から訪れる急激な財政緊縮を指す。12月31日をもって給与税減税やブッシュ減税と称される所得税減税など各種の減税措置が期限を迎える。一方、2011年に策定した予算管理法によって、2013年1月から国防費をはじめとする歳出削減措置が自動的に始まるなど、国民にとって負担増となる歳入増と歳出カットが同時期に発生する。 これらは
ミット・ロムニー陣営がバラク・オバマに勝った場合を想定し予め用意していた新政権準備サイトが、な~んと火曜の開票途中ポロッと公開になるハプニングがありました。 サイトは速攻で取り下げになりましたが、Political Wireの記者が光より速くスクリーンショットを入手し世界に知れ渡ることに...。 「失われた名ガジェット12選」じゃないですけど、この宇宙とは別のどこかにもうひとつ宇宙があるなら、そこではミット・ロムニー次期大統領が左斜め上を見上げて「より小さく、よりシンプルで、よりスマートな」アメリカを展望しているんでしょうか。あと少し票が多ければ今ごろはこれを眺めてたんだなあ...と思うと妙な気分ですね。 準備サイトにはロムニー新政権スタッフ募集ページもあります。 もう1枚のスクリーンショットには「ミット・ロムニー次期大統領就任式・パレードは2013年1月21日月曜日。詳しい日程は数週間以
大接戦の米大統領選を制したのは、バラク・オバマだった。しかし結果が出る前から確かなことが一つあった。この選挙の勝者は、これから回復に向かう経済の恩恵を受けることになる。よほど大きなヘマさえしなければ、悲惨だった過去10年に比べて素晴らしい経済手腕を発揮したかのように見られるだろう。 共和党のミット・ロムニー候補は、1200万人の新規雇用を生み出すと約束していた。この公約は批判されたが、その理由は実現不可能な数字だからではない。政策の手が入らずとも達成できる数字だからだ。 米調査機関のムーディーズ・アナリティックスは今年4月発表の経済見通しで、向こう4年間で1170万人の雇用が創出されると予測した。米大手調査会社マクロエコノミック・アドバイザーズも同様に、1230万人と予測した。 もちろん、誰もがそこまで楽観的なわけではない。米連邦議会予算事務局(CBO)は、やや控えめに960万人としている
失言と失態を繰り返す共和党の大統領候補ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を、保守派のコラムニストが寄ってたかってこき下ろしている。確かに本人にも落ち度はあるし、その性格にも難ありと思うが、すべてが彼の責任というわけではない。責任の多くは、思想的にアメリカ社会から孤立し、自制心を失っている共和党内のさまざまな政治勢力にある。 大統領選に出馬したときから、ロムニーは党内の自滅的な4つのグループの機嫌を取らなければならなかった。第1に、オバマ大統領のせいでアメリカは年収100万ドル超の富裕層には住みにくい国になってしまったと考える人々。第2に、オバマや有色人種に反感を持つ草の根保守派連合ティーパーティーの白人中高年。第3に、オバマの外交政策が弱腰だと批判するネオコン。最後に、扇動的な保守派ジャーナリストだ。 この4グループから銃を突き付けられれば、ロムニーはどうすることもできない。ロムニー
連邦政府は関知せず? 巨大ハリケーン「サンディ」の直撃を受けたニュージャージー州 Tom Mihalek-Reuters 大きな自然災害が発生したら連邦政府が救援に乗り出す──11月6日の大統領選で共和党のミット・ロムニー候補が勝てば、そんな常識も通用しなくなるかもしれない。 ロムニーは昨年、共和党の大統領候補を決める予備選の討論会で、財政赤字の削減に注力すべき時期に、連邦政府が災害時の支援に公的資金を投入するのは「不道徳」だと発言したのだ。 討論会でロムニーはまずこう切り出した。「連邦政府の手を離れて州政府に戻せるものがあれば常にそうするのが、正しい方向性だ。その方針をさらに進めて民間部門に戻せれば、なおいい。連邦予算の支出項目の中から『何を削減すべきか』ではなく、反対に『何を残すべきか』を考えるべきだ」 「でも、災害支援は残しますよね」と、司会役のジョン・キングが尋ねると、ロムニーはこ
ワシントンが今週、中国の通信機器メーカーに浴びせた痛烈な批判に目を通すと、我々はまだ別世界に生きているように思えるだろう。その世界では、通信網はAT&T、フランス・テレコム、ブリティッシュ・テレコム(BT)などの国営独占企業によって構築され、部外者は入ってこなかった。 しかし、我々はその世界に住んでいない。 米国の政治家が、別の選択肢の方がひどいという理由からフランス企業を支持する時、面倒な状況になったことが分かる。これが、中国政府および人民解放軍(PLA)の狡猾なフロント企業であるとの理由で、華為科技(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)を米国市場から締め出すことがもたらす効果だ。 両社を排除すれば、2006年に米ルーセントとフランス企業の問題含みの合併で誕生したアルカテル・ルーセントの助けになる。ルーセントは、1881年にAT&Tに買収されたオハイオ州クリーブランドのウェスタン・エレクト
米国大統領選挙に向けての共和党全国大会では、多数の演説の中で「日本」という言葉がただの一度も聞かれず、米国にとっての日本の比重の減少を改めて印象づけた――。 米国の大統領選挙はいよいよ本番を迎えた。共和党側の正副大統領候補を決める党全国大会は8月27日から30日までの4日間、フロリダ州のタンパ市で開かれた。大統領候補にミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事、副大統領候補にはポール・ライアン下院議員がそれぞれ指名された。 民主党も9月3日からノースカロライナ州のシャーロッツビルで全国大会を開き、現職のバラク・オバマ大統領とジョセフ・バイデン副大統領をそれぞれ候補に指名することが確定している。9月6日夜にはその民主党側の指名が受諾される。その結果、両党の正副大統領候補が最終的に決まり、11月6日の投票日に向けての本番の選挙戦が始まることになる。 党大会の演説は米国の関心事のバロメーター さて
(英エコノミスト誌 2012年8月18日号) ミット・ロムニー氏の副大統領候補の人選は、ロムニー氏自身にとってはリスクが高いが、米国にとっては有益だ。 ウィスコンシン州選出の若き下院議員で、壮健かつ聡明なポール・ライアン氏を副大統領候補として指名したことで、ミット・ロムニー氏は共和党と民主党を同じくらい喜ばせた。 共和党陣営にとって、ライアン氏は蒸留されたお茶のエッセンスのようなティーパーティーの権化であり、減税と小さな政府を決然と主張する人物だ。民主党にしてみれば、全く同じ理由からライアン氏は格好の標的になる。 しかし、もう誰も、ホワイトハウスの主になれた場合に何をするのか分からないと言ってロムニー氏を責めることはできない。 ライアン氏を好ましく思う理由は多々あるが・・・ 親しみを感じさせるライアン氏を好ましく思う理由は多々ある。ライアン氏は勇敢な男だ。ライアン氏は現実味のある赤字解消策
ロムニーは10戦6勝、代議員数404人を獲得したが… 3月6日、米共和党大統領候補指名争いは、中盤戦の天王山、スーパーチューズデー(10州の予備選、党員集会が集中)を迎えた。指名獲得に必要な代議員数1144人の35%を1日で一気に決める大イベントに全米が注目した。だが、結果は、「Republicans will have to fight on」(共和党員同士、引き続き戦わねばならず=Los Angeles Times, 3/7/2012)だった。 確かにフロントランナーである保守穏健派ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事(64)は指名獲得に向けて着実に前進した。戦績は10戦6勝、代議員404人を上乗せした(記事執筆時点)。(“CNN Politics, Primary -Scorecard-Election Center 2012-Elections & Politics from
静かで独特の雰囲気が漂う大学の図書館が好きな人は少なくないと思われますが、アメリカにはまるで映画のセットのようにクールな図書館を備えた大学が点在しています。 The 10 Coolest College Libraries | Complex 1:William T. Young図書館(ケンタッキー大学) 1998年に完成したケンタッキー大学のWilliam T. Young図書館。 中には素晴らしい階段があります。デザインはKallmann McKinnel & Woodによるもの。著名な利用者の中にはバスケットボール選手のジョン・ウォールなどがいます。 建造物はすべて「建物内にある建物」というコンセプトに基づいており、八角形の土地に建てられているそうです。 2:Bapst図書館(ボストン大学) アメリカで最も美しい図書館との呼び声も高いBapst図書館は、1924年にオープンしました。
Barack Obama米大統領は米国時間2011年9月16日、米特許法の包括的改正案「America Invents Act(米国発明法案)」に署名した。同法案の成立により、米国の特許制度は最初に発明した時点を重視する先発明主義から最初に出願した人を優先する先願主義に変わる。 1952年以来の抜本的な改正となる米国発明法案は、今年6月に下院を通過し、9月8日に上院で可決された(関連記事:米特許法の包括的改正案が上院を通過、先発明主義から先願主義へ)。これまでの先発明主義では米特許商標庁(USPTO)が最初に誰が発明したかを特定するのに時間がかかり、最近では仮決定までに2年、最終承認までにさらに1年を要していた。またそれにともなって訴訟が起こるリスクも高かった。 米ホワイトハウスは、先願主義になることで、起業家や企業はそれぞれの革新をより早く市場に投入することができ、新たな事業や雇用創出を
ペリー対ロム二ー「2強」対決の勝者は? 2012年11月の米大統領選に向けた野党・共和党の候補者討論会が9月7日、米ロサンゼルス近郊のレーガン図書館(シミバレー)で行なわれた。第40代大統領のレーガンは、共和党員にとっては「理想の大統領」。レーガン図書館はその「聖地」である。2012年3月には、同図書館を舞台に討論会が行なわれ、共和党指名争い前半戦の流れを決める。今回の討論会はその予行演習のようなものだ。ケーブルテレビMSNBCと政治専門サイトPoliticoが共催。討論の模様は全米に向けて実況中継された。 この討論会の主役は次の2人だった。一人は、8月13日に正式出馬するやいなや、直ちに支持率トップに躍り出た保守急進派のリック・ペリー現テキサス州知事(61歳)。討論会に臨むのはこれが初めて。迎え撃つもう一人の主役は、ペリー登場までトップランナーだった保守穏健派ミット・ロム二ー前マサチュー
9月11日で米同時多発テロ発生から10年の節目を迎えた。世界に衝撃を与えた事件は米国に何をもたらしたのか。政治的な区切りとはなっても、経済に残した爪痕はなお大きい。 雇用増ゼロ──。 9月2日に米労働省が発表した8月の雇用統計が、9月11日に同時多発テロ発生から10年の節目を迎えた米国経済の現状を物語る。人口増加が続く米国では、平時でも毎月10万人程度の雇用増が求められる。なおも9.1%と高水準にある失業率を本格的に低下させるには20万人増が必要とされる。それに対し今回の統計は、失業問題にもがく米国経済の実態をあらわにした。 この失業をもたらした景気低迷の直接的な原因は、リーマンショックが引き金を引いた世界的な金融危機だ。ただし、さかのぼれば「9・11」にたどり着く。当時のアラン・グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長は世界同時恐慌を懸念するあまり、低金利政策を長く続けざるを得なかっ
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