(上)通所し作業、犯罪傾向やわらぐも防げず…から続く 「おれ、めんきょとってくるまかう」 平成25年7月26日、京都地裁。裁判官から「最後に何か言いたいことは」と促されると、男(36)は体を震わせて叫んだ。直前に「くるまやさん、ごめんなさい」と述べた謝罪の言葉よりも大きな声だった。 当時、男は自動車販売会社の展示場で軽乗用車を盗んだとして逮捕、起訴されていた。罪名は常習累犯窃盗罪。10年間で3回以上、窃盗罪などで懲役刑を受け、さらに同じ犯罪を繰り返すと適用される。 だが、8月30日に言い渡された判決は無罪(求刑懲役3年)だった。自動車盗が「悪いこと」だと表面上は分かっているが、「社会から許されない違法行為とは真に理解しておらず、自制できなかった」と判断されたのだ。 知的障害だけを理由に、刑罰を科さない「心神喪失」を認めた異例の判決。刑罰を軽くする「心神耗弱」が妥当とみる検察側は、控訴してい