ソニーが、その強みを取り戻しつつある。 かつてのソニーの強みは、新しい価値観を人々に提供し、従来にはなかったライフスタイルや生き方=文化を生み出すことだった。同社が生み出した「ウォークマン」やパスポートサイズの「ハンディカム」は、世界中の人々に“新しい生き方”を与えるだけのパワーがあった。特にウォークマンは、外を歩きながら音楽をよい音質で楽しむという、新しい文化=ライフスタイルを人々に提案した。それがヒットし、ソニーは成長した。 しかし、その後のソニーは、自社の強みを見失ってしまった。特に、経営者が自社の向かうべき方向を定めることなく、事業ポートフォリオの拡大を目指したことは大きなマイナスだった。ある意味では、金融分野で多額の収益を上げることが、かえって同社本来の強み=コアコンピタンスを失わせることになったのかもしれない。その結果、同社は、人々に新しい価値観を提案するという意味でのイノベー