アフリカ中央部にブルンジという国がある。ルワンダとタンザニアとコンゴ(かつてのザイール)に挟まれた小国だ。ガエル・ファイの 『小さな国(Petit pays)』の舞台である。 昨年秋、権威あるゴンクール賞の最終候補に残った作品。賞は逃したものの、いまや本家と肩を並べて毎年話題をふりまく「高校生の選ぶゴンクール賞」に選ばれた。35歳になるルワンダ人ラップ歌手の処女作であることも耳目を引いた。 物語は、作者と同じように、ルワンダ人の母とフランス人企業家の父を持つ少年の目線で語られる。ツチ族、フツ族、ザイール人、西欧人、様々な民族が共存するブルンジで、マンゴーの濃厚な甘い香りに包まれ、少年は幸福な子ども時代を送っていた。ただ、遠くに見える不吉な雨雲のように、隣国ルワンダの終わりのない内戦が「小さな国」にも影を落としている。ルワンダからの亡命者である母は、フランスで安全に暮らすことを夢見ている。
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