筆者が歴代の五輪取材で携帯していたベスト。当時の大会のものや、他国の取材陣や五輪委関係者らと交換した記念のピンが多数付けられている photo : Toyama Toshiki 私はスポーツ記者でもないのに、夏冬合わせて計5回の五輪大会を取材したことがある。所属部署はその時々で異なったが、一貫して担当したのは「外国人選手」の記事を書くこと。さまざまな国の選手や報道関係者と接しつつ、ずっと感じていた疑問がある。 「五輪と国家」の関係っていったい、何だろう。普段のスポーツ観戦では記録や能力重視なのに、なぜ、人は五輪になると自国選手を優先して応援するのか。 もうすぐ韓国・平昌の冬季五輪が始まる。2年後には東京五輪が控える。その前に、じっくり考えてみたい。自戒も込めて。 郷富佐子(論説委員) ごう・ふさこ 1966年生まれ。マニラ、ローマ、ジャカルタ、シドニーの各海外支局などを経て2017年9月か
─文化の数値化とはどんなものですか。 国民文化や価値観の違いを数字で示そうという試みだ。指標は六つある。(1)権力格差(権力を持たない人がどれだけ国や組織の中でイニシアチブを取れるか)、(2)個人主義と集団主義(個人の利益と集団の利益がどう優先されるか)、(3)男性らしさと女性らしさがどれほど要求されるか、(4)不確実性回避(未知の状況にどれだけ不安を感じるか)、(5)実用主義(規範と実用性、どちらをより重んじるか)、(6)人生の楽しみ方(抑制的か充足的か)。 ─誰でもそれぞれの国の文化については漠然としたイメージは持っていますが、あえて数値化することの意味はなんでしょうか。 日本文化を読み解いてみよう。日本は集団の利益を優先する文化だということは日本人も漠然と知っているだろう。だが、他の国と比べてどれほど違うのかとなると心もとないのではないだろうか。 我々が11万人に30の質問をするなど
北朝鮮の脅威に緊張の高まる中、国際情勢をモチーフにした小説『米中戦争』の1、2巻がベストテンにランクインした。作家の金辰明(キム・ジンミョン)は、愛国心を心地よく刺激して定評がある。 世界銀行の調査員キムは、韓国の陸軍士官学校出身のエリート。非凡な推理力で、巨額の資金の動きを追うためウィーンに飛ぶ。捜査の過程で出会ったFBIの要員アイリーンはドイツ系の大富豪の娘。先代からロシアと太いパイプを持っている。彼女はキムに、ロシアがらみの国際的な陰謀を耳打ちする。 キムが心ひかれるのは、青瓦台(韓国大統領官邸)に招かれたドイツ生まれの韓国美人チェ・イジ博士。半島を取り巻く大国の利害とひずみを、数学の方程式で解こうと試みる。チェとキムがコーヒーショップで頭を突き合わせている様子は、まるで健全な中学生のよう。燃える愛国心は、色恋にも勝るのか。 作家は、昨今の国際情勢を特有の奇想天外な想像力で解き、壮大
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